『机に向かう前の習慣を』
2026.04.10
小学校でも新学期が始まりました。早稲田アカデミーでは2月に新学年を迎えていますが、4月からは新しく学ぶ内容も増え、難度も上がっていきます。ご家庭での学習密度も意識する必要が出てきますので、今回はそんなお話を。
塾の授業が終わった帰り道、歩きながら、もしくはお迎えの車のなかで、お子様に「今日の授業はどうだった?」とお尋ねになることも多いのではないでしょうか。
「算数は立方体の展開図をやったよ」 「どうだったの? わかった?」 「うん! わかった!」
と、そんな会話がよくあることでしょう。「わかった」と答えてくれたので安心していると、次のテストで返ってきた結果を見て青くなる……。そんな経験をお持ちの保護者の皆様もいらっしゃるでしょう。
よくいわれることですが、「わかる」と「できる」は違います。ある程度成長してくると「わかった」ことがすぐに「できる」ようにもなってきますが、小学生の間は学んで理解したことを「できる」ようにするトレーニングがとても大切なものなのです。そういう意味では、中学生や高校生の学習方法・学習スタイルとは大きく異なる点がある、とお考えいただければと思います。
授業で理解したことを「できる」ようにするのが家庭学習です。塾での授業時間は限られていますので、そのなかの演習時間だけで完璧に「できる」というレベルまで進めるのは、なかなか難しいものです。結果として、家庭学習で「できる」ようにトレーニングをしなければなりません。塾で出される宿題は、そのための教材が多いものとお考えください。一方で中学受験へ向けた学習内容は、その学齢の生徒にとって難しいものも含まれます。そういった一部の宿題は、自分で「できる」ところまでいかなくてもかまいません。しっかりと考えてくることによって、次回の授業につながるものもあるとご理解ください。
「なかなか集中して机に向かえなくて……」「座ってから勉強を始めるまでに時間がかかってしまいます」というご相談をよくいただきます。趣味やゲームなどお子様の好きなことであれば、「やりたくて仕方がない」という気持ちがあるのですぐに始めるでしょうし、すぐに集中することができるでしょう。しかし、家庭学習や宿題は「とてもやりたい」というものではありませんので、やり始めてすぐに集中して、一気に進めていくのはなかなか難しいのです。子どもだけではなく、大人でも「やりたくないもの」を行うときには「腰が重く」なってしまうのはよくあることではないでしょうか。ただ、実際に何かを始めてみると、心理学的にいわれる「作業興奮」というような状態に入り、だんだんと集中していける……というのは、大人も子どもも変わらないことのようです。
大人になると、やる気が起きなくても「とりあえず始める」ということができるようになりますが、子どもの場合にはなかなかそうはいかないものです。「お母様が何度も言ってやっと始める」「ときにはそれでケンカになる」というようなお話もよく伺います。そういうときには「勉強を始める前に習慣的に行うことを決めておくのも一つの方法です」とお答えすることがあります。その方法について、具体的にいくつかアドバイスをさせていただきます。
①軽く体を動かす これは保護者の皆様も経験があるのではないでしょうか。私も集中して原稿などを書こうとする前には、体を動かすことがあります。私の場合は、背筋を伸ばしたり、肩や首を回してみたり、といったレベルですが、小学生の場合は「運動」というレベルでもよいと思います。「勉強前には玄関の前で縄跳びをする」という話を生徒から聞いたことがあります。その生徒のお母様からは、雨が降っていて外で縄跳びができないときは、なんとなく集中できていない様子だとお伺いしました。体を動かすことで、血行が良くなり、頭の働きもよくなるという生理学的な裏付けもあるようです。
②お手伝いを15分間する 「この子、大根おろしが得意なんですよ」というお話をあるお母様から伺ったことがあります。家庭学習を始める前の習慣として、「お手伝いをする」というお子様もいらっしゃるようです。キッチンでお母様とちょっとした会話をしながらお手伝いをすることで、気持ちが切り替わるのだと思います。先にご紹介した「体を動かす」ことも考えると、「お風呂掃除」などもよいかもしれません。
③学習環境を整える これも私の話で恐縮ですが、集中して作業をしようというときには「机の上を片付ける」ことから始めます。きれいに片付けたところで、「よしがんばるぞ」と背筋を伸ばして取り掛かるわけです。目の前の机に、勉強に必要ないものが置かれていれば、当然集中できないでしょう。きれいに片付けた机に、今日勉強する教材と筆記用具を並べる、それも集中するための一つの方法だと思います。
それ以外にも、「部屋の空気を入れ替える」という方法を実践されている方もいるようです。窓とドアを開けて、空気を入れ替え、深呼吸をしてから勉強をスタートするというお話でした。頭を働かせるためには新鮮な空気(酸素)が必要ですので、これも生理学的に理にかなった方法のように思います。勉強中に眠くなってきたときなどでも、窓を開けて新鮮な空気を吸うことで目が冴えてくるものです。
さらには、「机の前に貼ってある『目標』を声に出して読む」「カレンダーの今日の日付に×をつける」「決まった飲み物を飲む」「小学生新聞に目を通す」といった勉強を始める前の「習慣」も聞いたことがあります。お子様の性格やタイプに合わせて、集中して家庭学習に取り組めるような習慣を早めにつくり上げていただければと思います。
- 2026.04.10 『机に向かう前の習慣を』


