『悔しさも、情けなさも』
2026.06.17
「全国統一小学生テスト」の成績返却が始まっています。結果をご覧になったお子様の反応はいかがでしたでしょうか。「うまくいった!」と満足しているお子様は少ないのではないでしょうか。もし、そのテスト結果によって「塾のクラスが上がった」などがあれば、その「クラスが上がった」ということ自体がうれしくて、「結果がよかった」と思えるかもしれません。「全国統一小学生テスト」であれば、「決勝大会進出」という結果がついてくれば、それも喜べるでしょう。しかし、得点や偏差値だけで「満足できる結果」だったと感じられる場合は多くはないと思います。むしろ、テスト結果を確認して、落ち込んだり、機嫌が悪くなったり、涙を流したり……。なかには「もう塾に行きたくない」「勉強なんかしたくない」と言い出すお子様もいらっしゃるのではないでしょうか。
テストの結果を見て涙を流すお子様の気持ち(心情)は「悲しさ」ではないと思います。「クラスが下がってしまうかもしれない」「お父さんやお母さんから叱られてしまうかもしれない」といった「不安」「恐れ」なども、涙の理由としては考えられます。しかし、それ以上にお子様が感じているのは「悔しさ」や「情けなさ」なのではないでしょうか。「一所懸命取り組んできたのに、本番で解けなかった『悔しさ』」、「本当はもっと真剣にやらなきゃいけないとわかっていたのに、それをしなかった自分に対する『後悔』や『情けなさ』」…そんな気持ちが強いのではないかと思います。
高校野球の甲子園大会で負けたチームの選手たちが、「甲子園の土」を集めているシーンをご覧になったことがある方も多いと思います。皆様は土を持って帰る理由をご存じでしょうか。私は「甲子園大会に出場した記念なのかな」と思っていたのですが、別の理由もあるそうです。それは、「もう一度、甲子園に土を返しにくるため」。きっと、その瞬間の選手の気持ちは、「ここまでこられてよかったな」という満足感ではないでしょう。「悔しさ」「情けなさ」などが強いと思います。そして、その「悔しさ」「情けなさ」が、「再び甲子園大会に出場するぞ」という決意につながるのではないでしょうか。
サッカーのワールドカップが始まりました。日本代表の中心選手のインタビューをテレビで見ていたのですが、「高校1年で出場した県大会の決勝で、決定的なチャンスでゴールを外して敗退したことが自分のサッカー人生を変えた」と話していらっしゃいました。その敗戦が「サッカーに対する姿勢の甘さ」を見直すきっかけになり、今につながっていると。
「真剣な想いで取り組んでいたからこそ悔しい」「やらねばならないことをやれていなかった自分が情けない」……そんな想いで流す涙は、未来につながるのです。
「テストではいつもいい成績でいてほしい」……保護者の皆様がそう考えるのは当然のことです。「今日のテストは失敗してもいい」、そんなふうに考えてお子様を送り出す方はいらっしゃらないでしょう。それは、野球やサッカーの試合でも、ピアノやダンスの発表会でも同じだと思います。「勝ってほしい」「失敗しないでほしい」、そう考えて応援されるはずです。それでも、常にいい結果が出るとは限りません。その結果が思わしくなかったとき、保護者の皆様にはそれを受け止めていただき、「次」に向けて一歩踏み出せるように接してあげていただきたいと思うのです。単に「優しく」接するだけが必要なのではないでしょう。ときには「厳しく」話すことも必要かもしれません。
以前、「組分けテスト」で大きく失敗してしまった生徒がいました。お母様より「家で号泣し、『塾に行きたくない』と言っている」と相談のお電話をいただきました。電話を変わってもらって生徒と話しました。
「今君が泣いているのは『悔しい』からだね。その気持ちは、とても大切なことだと思うよ。今回のテストに向けて真剣に取り組んできたからこそ『悔しい』と思えるのだから。君が頑張ってきたことを、先生はよく知っているよ。でも、『悔しい』気持ちのままそこで立ち止まっていたら、先には進めないよね。次のテストに向けて君が進み始める、そのスタートが今日なんだ。だから、塾にきなさい。君ならまた頑張れるよ」
彼は、その日の授業に参加してくれました。少し元気のない様子でしたが、10分後にはいつもと同じように元気にやってくれていました。
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