四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『「問題文を読み間違える」のも、ケアレスミス』

2025.05.07

早稲田アカデミーの新学期(新学年)がスタートしてから3か月が経過しました。小4生くらいまでの方は、お子様の学習についてご覧になっていらっしゃる方も多いでしょう。「ゴールデンウィークには少し時間を取って、子どもの勉強を見ていた」、そんなお父さま・お母さまもいらっしゃるかもしれません。少し細かくお子様の学習を見ていると、保護者の皆様がイメージしていたのとはちょっと違うお子様の様子に気づかれる場合があるようです。漢字の暗記学習に意外に時間がかかっていたりとか、計算スピードが思ったよりも速かったりとか、そんなところに気がつかれている方もいらっしゃると思います。そして「ミスの多さ」についても気になってきている方も多いのではないでしょうか。


人間である以上、「ミス」はしてしまうものです。ひとつも「ミス」をしない完璧な人間はいないと思いますから、「ミス」をすることそのものを否定する必要はないでしょう。ただ、同じような「ミス」を繰り返すのはよくありませんし、「ミス」をしないように注意することも必要です。そのためには、自分が(お子様が)どのような「ミス」をしがちなのか、そしてその要因はなにか、といった点を意識することが大切です。


「あるクラスの生徒に一人2枚ずつシールを配ったところ92枚あまりました。さらに3枚ずつ配ったところ4枚不足しました。クラスの人数は何人でしょう」
この先に進む前に、皆様もこの問題についてお考えになってみてください。小学校5年生で学習する「差集め算」の基本問題です。


ある生徒の解答をご紹介します。
2枚ずつ配ったときのあまりは92枚、3枚ずつ配ったときの不足は4枚
2枚ずつ配るときの必要数と3枚ずつ配るときの必要数の差は…92+4=96(枚)
一人に配る枚数の差は…3-2=1(枚)
96÷1=96(人)


いかがでしょうか。この解答の中の「ミス」はわかりますでしょうか。解説にはこういう式と答えが書いてあります。
(92+4)÷(5-2)=32
答え 32人


もう一度、じっくりと問題を読んでみてください。ポイントになるのは「さらに」という一語です。この問題では「一人に2枚ずつ配ったあとに、さらに追加で3枚ずつ配った」という状況になっているのです。ただ、「ミス」をした生徒は「一人に2枚ずつ配ったあとに、(すべてを回収してから)新たに3枚ずつ配りなおした」という状況だと考えて、問題を解いてしまったわけです。問題の前提を読み間違えてしまっているのですから、当然正解にはたどりつきません。「2枚のあとに追加で3枚、だから一人がもらったのは5枚」という条件を読み取れてないのですから、解説の式に出てくる「5」という数字の意味も理解できないわけです。


さて、ポイントになるのはこの問題の解説が理解できたところで、どう考えるかというところです。単に「問題を読み違えていた」だけですから、算数としての「考え方」はできていたことになります。ですから「考え方は合っていたから大丈夫」と考えてしまうお子様が多くいます。実はそれでは同じような「ミス」をなくしていくことにはつながりません。「問題文を細部まで注意深く読む」「細かい表現の意味を考える」という点に注意を払うようにならなければ、こういった「ミス」を減らしていくことにはつながらないはずです。


算数で「ミス」というと「計算ミス」が一番に挙げられます。計算ミスの要因もいくつか考えられますから、どのような要因でミスをしているのかを分析することで改善に向かうはずです。ただ、計算ミスは学年が上がることで、さらには計算テストや計算ドリル(予習シリーズ計算など)を繰り返すことで、だんだんと改善されていくものです。


しかし、ここで紹介したような「問題文の読み間違い」「条件の誤認識」といった「ミス」は意識しないとなかなかなおらないものです。「解き方は合っていたから大丈夫」と終わらせてしまうのではなく、「次はきちんと問題を読もう」と考えられるようになり、その意識をもって問題を解くトレーニングを繰り返すことで、改善されていくはずです。

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