四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『「ほめる」「しかる」も大切ですが……』

2026.10.16

子育てにおいては「ほめる」「しかる」が大切であるとよくいわれます。さらに、塾も含めた小学生の習い事では「ほめる」「しかる」「励ます」という三つの要素が必要になるともいわれるようです。この点に関しては私も全面的に賛成です。小学生にとっては、親を含めた周りの大人からの「評価」がとても気になるものですし、大人からの「声掛け」によって気持ちが大きく上下するものだと思うからです。


進学塾でも、子どもへの「声掛け」がうまい講師は成績を上げることができる、といわれることがあります。ちょっとした「声掛け」によって、生徒のやる気を引き出し、結果として前向きに学習に取り組ませることができるようになるからでしょう。「成績を上げて志望校へ合格させること」が進学塾講師の役割だとすれば、「教えることがうまい」というのももちろん必要なことですが、「生徒のやる気を引き出す」というのはそれ以上に大切なことでもあると、最近よく考えたりもしています。特に、今後「教える」ことができるAIがさらに進化していけば、講師の存在意義は生徒に対して「前向きな気持ちをつくる」「やる気を引き出す」「本気にさせる」というところになっていくと思っています。


「声掛け」や「ほめる」「しかる」がうまい、というのはどういうことなのでしょうか。私は「子どもの気持ちを考えて接すること」が、その基本にあると考えています。ほめて欲しいときにほめる、しかられるだろうと感じているときにしかる、そんなイメージです。逆を考えてみればよくわかるはずです。テストで好成績をとって「ほめてほしいな」と考えているときに、逆にしかられてしまえば、上向きかけていた気持ちは一気にしぼんでしまうことでしょう。悪い成績で「しかられる」と感じているときに、なにも言われなければ、「見捨てられた」という気持ちになってしまうことがあるかもしれません。ご家庭でお子様に接するときにも、「今どのような気持ちでいるか」を考えてあげるだけで、「ほめる」「しかる」がより効果的なものになると思います。


さて、「ほめる」「しかる」と比べると難しいのが「励ます」です。お子様の気持ちに視点を置いて考えると、「励ます」ことが必要になるのは、お子様の気持ちが落ち込んでいたり、沈んでいたりするときでしょう。努力をしたのに結果が出なかった、そんなときではないでしょうか。そこでどのように接すればお子様の気持ちは上向きになるのかを考えていただきたいのです。


「励ます」ための言葉としてまず思い付くのは「頑張れ」「頑張って」という言葉です。ただ、進学塾の講師という立場からすると、これらは「励ます」ための言葉というより、単なる「あいさつ」のような言葉です。校舎の前で、登校してきた生徒に「よし、今日も頑張ろうね」と声を掛けるようなイメージです。


落ち込んでいるお子様の場合、その多くはすでに一生懸命頑張っているはずです。それでも結果が出ない、なかなかうまくいかない、そんな状況でしょう。そんなときに、さらに「頑張れ」という言葉を掛けたとしても、前向きな気持ちになれるでしょうか。それどころか、ときには「もうこれ以上頑張れない……」という気持ちになって、より深く落ち込んでしまう可能性もあると思うのです。


では効果的に「励ます」ためには、どうしたらよいのでしょうか。まず必要なのは、やはり子どもの視点に立って「共感」することだと考えています。「成績が上がらない」「うまく家庭学習が進まない」という事実だけではなく、そこから生まれてくる気持ちをとらえて、そこに「寄り添う」というようなイメージです。単に落ち込んでいるというだけではなく、そこにはいろいろな気持ちが生まれているはずです。「何をやってもうまくいかない焦り」「自分に対するふがいなさ」「親の期待に応えることができない情けなさ」「自分には難しい(と思われる)勉強をしなければならない重圧」「友人にはできる問題が解けない悔しさ」などなど……。そこをしっかりととらえることが「励ます」ためのスタートラインだと思うのです。そのスタートラインがズレてしまっていては、掛けた言葉が心の奥まで届くことはないはずです。


気持ちに「寄り添う」ことができると、子どもは安心してくれるはずです。「自分のことをわかってくれている、いつも応援してくれている」という安心感は、どんな言葉よりも強い「励まし」になると、私は考えています。


大きなテストの前はお子様をハイタッチで送り出す、というお話をあるお母様から伺いました。試験会場まで送っていったところで、右手と右手をパンと合わせてから門をくぐらせる、ということでした。「お母さんが自分のことを応援してくれている」という気持ちを一瞬でつくることができる、効果的な方法だと思います。スキンシップは、ときに言葉よりも心に響くものだという話を聞いたことがあります。参考になさってください。

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