『入試問題から考える』
2026.01.28
千葉・埼玉の入試結果が出てきています。また、全国的に注目度の高い灘中の入試結果も判明しています。早稲田アカデミーの「合格実績速報」のページに掲載していますので、ぜひご覧ください。今年も早稲田アカデミーの受験生たちは頑張ってくれています。2月に行われる東京・神奈川の入試結果にもご期待ください。
灘中の入試については毎年いろいろと話題になるのですが、今年は国語の問題が大きく取り上げられているようです。SNSなどでご覧になった方もいらっしゃると思いますが、詩が出題されました。それも、パレスチナのガザ地区に住んでいる子どもの目線で書かれた詩です。著作権の関係もあり、この記事をご紹介することはできませんが、お調べいただくと見つかると思いますので、よろしければ探してみてください。
私も解いてみたのですが、読んでいて、また実際に問題を解いてみて、いたたまれない気持ちになる内容でした。問題そのものは難解ではなく、ある意味「灘らしい」良問です。ただ、テーマが「重い」という点が話題になっているようです。現在進行中の国際的な紛争が、社会の入試問題として取り上げられることはあまりありません。今回は国語の「詩の読解」としての出題ですが、パレスチナ・ガザ地区の現在の情勢をある程度理解していなければ解きにくい問題だったと思います。
灘中の入試科目は国語・算数・理科の3科目であり、社会は出題されません。ただ、今回の出題は、「社会的な問題についても関心を持ってほしい」という中学校からのメッセージが込められたものだったようです。
「読んでいて涙が出そうになった入試問題」という点で思い出したのが、2011年の桜蔭中の入試問題です。広島の被爆者の姿を描いた、井上ひさしさんの「少年口伝隊一九四五」からの出題でした。「朗読劇」として書かれたものですので、物語というよりも散文詩に近い印象の文章でした。この文章でも、原爆が投下された広島の悲惨な情景が書かれています。中学校の、しかも女子中の入試問題としてはややショッキングな描写も出てきます。私の担当していた生徒が、2月1日の入試が終わって校舎に寄ったときに「読んでいて涙が出そうになった」と話していたのを思い出します。ただ、そのときにも「桜蔭らしい、いい問題だな」と思った覚えがあります。文庫として出版されていますので、ご興味がある方はお読みになってください。
灘中の算数の問題も解いてみました。「面白い問題」も「いい問題」もいろいろあったのですが、算数一日目(灘中は国語と算数の入試は一日目・二日目の2回あります)の大問1が面白いものでしたのでご紹介します。
「面白い」といっても、「算数的な面白さ」とは少し違います。単なる計算問題で、特別な解き方も工夫も必要ありません。ただ、計算をしていくと途中で「2026」という数字が出てきます。いわゆる「年号問題」です。ただ、「2026=2×1013」であり、「1013が素数」である……という点は受験生なら誰でも知っているはずなので、そこも特に話題になるような部分ではありません。
「あの計算問題の答え、『おしゃれですよね』」と教えてくれたのは、算数の講師です。私は気付いていなかったので、「2026が出てくる問題だよね。答えが『おしゃれ』……?」と返事をしてしまったのですが、答えは分母が「101」、分子が「8」となる分数でした。彼は「『2026』だけじゃなくて、『101』も『8』も、今年に関係する数じゃないですか」と言うのです。
確かに、分母の「101」は「昭和101年」、分子の「8」は「令和8年」と関係する数です。「偶然かな」とも思ったのですが、ここまで偶然が重なることは少ないでしょう。おそらく、作問者の先生のちょっとした「遊び心」ではないかと思うのです。もちろん、こうした点に気づかなくても解ける問題ですし、合格した生徒のなかにも気づいていない人は多いと思います。ただ、答えが出たときに「あれっ」と思って、次の瞬間に「にやっ」とした生徒もいたのではないでしょうか。
この計算問題も、ある意味「灘中らしい」問題のように思っています。
- 2026.01.28 『入試問題から考える』


