四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『読書感想文の書かせ方 ~表現力のトレーニング~』

2021.07.02

梅雨らしいジメジメとした天気が続いています。7月に入りましたが、なかなか気温も上がってきません。ここから一気に暑さが増してくると、体調管理も難しくなってきそうです。昨年の夏に続いて、マスクが必須の夏となりそうなので、マスク着用時の暑さ対策などにもご留意ください。


先週の記事(6月25日)で、「中学受験国語学習」の第3回目として「表現力・記述力」について触れました。今回はその部分をもう少し掘り下げて書かせていただきます。


中学入試の「記述式」設問は、国語だけではなく、理科や社会でも、場合によっては算数でも出題されることがあります。そのため「記述が苦手でいつも空欄にしてしまう」というご相談を受けることがあります。記述を苦手とする理由はさまざまですので、対処法もお子様によって異なります。


一般的に国語の説明的文章や、理科・社会の記述問題の場合、必要となるのは論理的な説明能力です。問われていることに対して、きちんと因果関係を把握し、必要な語句を選別し、わかりやすく簡潔にまとめることが必要になります。記述解答をつくり上げる過程(流れ)に大きな違いはないのですが、「必要語句の選別」に関する考え方は科目によって異なります。国語の説明的文章であれば、文意・文脈を把握して基本的には文中から重要語句を選ぶことになります。一方で、理科・社会であれば、今までに学んできた知識から必要なものを考え出す(思い出す)ことになるわけです。この解き方が理解できていれば、記述問題を空欄にしてしまうことはほとんどなくなるはずです。さらに文章としてうまくまとまっていなくても、必要語句がきちんと選べていれば、部分点がもらえることもあります。


今回書かせていただきたい「表現力」は、上記のような、ある種テクニック的な「記述解法」(記述問題の解き方)についてではありません。「知識偏重型からの脱却」「思考力重視」を目的としている「大学入試改革」の影響を受けて、最近の中学入試問題でも、自分の意見や考えを書かせるような傾向の記述設問が各科目で多くなってきています。「言葉を探してきてまとめる」というのではなく、「自分の頭の中にあることを言葉にする」という言い方がわかりやすいでしょうか。


「解法テクニック」ではない、このような「表現力」は一朝一夕に身に付くものではありません。さまざまな場面でトレーニングをしていくことが必要になります。小学校で出されている夏休みの宿題の「読書感想文」もトレーニングとしては効果的なもののひとつです。単にストーリーを要約して「面白かった」「かわいそうに思った」などの感想でまとめる「読書感想文」ではなく、もう少し深く考えた「読書感想文」を書くことで「表現力」のトレーニングにもなるはずです。そのためには、保護者の皆様の協力が必要です。とは言っても、大変な作業が必要なわけではありません。私がおすすめしているのは、「読書感想文」を書く前に、その本に関してお子様と会話をすることです。


本を読んだ後、お子様の頭の中にはさまざまなイメージや感想が残っています。しかし、それをそのまま原稿用紙に言葉として表現するのは小学生にとっては難しいのです。頭の中にあるものが整理されていなかったり、それらを表現するための語彙が不足していたりするからです。お父様やお母様と会話することで、頭の中は整理されていきます。そして、うまく表現できないような感情などは、少し使う言葉をアドバイスしてあげてください。お子様と読んだ本についての会話をしていくきっかけとしては、「お母さんも読んでみようと思うんだけど」「どんな場面が印象に残っている」というように進めていただくのがよいと思います。あくまでお子様の感想を引きだすのが目的なので、誘導的に進めるのはよくないということも付け加えておきます。


また、最近の小学校では少なくなっているそうですが「絵日記(日記)」も表現力を高めるためのトレーニングとしては効果的です。ただ、毎日のことなので続けるのはなかなか大変ですし、ともすれば形だけのものになってしまいがちです。「今日は昆虫採集をした。カブトムシが3匹とれた。帰ってから塾の宿題をやった」そのような記述が続いていくのであれば、表現力をトレーニングするという点からはあまり意味がありません。書く中身を充実させて、表現力をトレーニングしていくひとつの方法としては、「お母様との交換日記」スタイルにすることをおすすめします。「もう1歩つっこんで書いてほしい」というような場合には、お母様がそこに一言添えるようにするわけです。「カブトムシ3匹!すごいね!楽しかったかな?」とか、「塾の宿題は大変だった?おもしろかった?」というような「問いかけ」形式で書きこんでいくわけです。「お母さんが読んでくれている」と思えばうれしいでしょうし、書くという作業にも、さらには「書くことを考える」というところにも力が入るはずです。そしてどういうことを書きこめばよいのかなども理解できるようになっていくはずです。


夏休み前の保護者会では、よく「夏に伸びる!夏に伸ばす!」というテーマでお話しさせていただきます。小学生にとって一年間で一番「伸びる」時期である夏休み。単に「伸びる」のを待つだけではなく、どういった方向性で「伸ばす」のかを、お考えいただいて準備をしていただければと思います。今回は「表現力を伸ばす」という方向のアドバイスを書かせていただきました。

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