四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『CQ① ~ノーベル賞受賞者の言葉から~』

2021.10.15

もう30年前のことですが、一時期スウェーデンのストックホルムで暮らしていたことがあります。ノーベル賞の授賞式が行われるストックホルム市庁舎からすぐのアパートメントにいたので、ノーベル賞のニュースは興味を持って見ています。


昨年(2020年)は日本人の受賞はなかったのですが、今年は真鍋淑郎さんが物理学賞を受賞されました。1960年代という早い時期から、地球の気候を解析する手法を開発し、大気中の二酸化炭素濃度の増加が地球温暖化につながることを実証した先駆者として受賞されたという報道を見ました。気候に関する研究が「物理学賞」という点で少し驚いたのですが、地球温暖化につながる気候モデルが、物理理論に基づいていることからの「物理学賞」受賞という説明を見て納得した次第です。全世界的な課題となっている「気候変動」「地球温暖化」が受賞対象となるのは、ノーベル賞の「人類に最も大きな貢献をした人」という考え方からすればよくわかる気がします。


「地球温暖化・気候変動」問題については、2007年にもIPCC(気候変動に関する政府間パネル)と当時のアメリカ副大統領のアル・ゴア氏が受賞しています。当時も時事問題として入試で取り上げられていましたが、来年の入試ではさらに多くの学校で出題されるのではないかと個人的には予想しています。2007年よりも大雨や猛暑日が増えていますし、日本の四季も変化してきているように思います。「災害・防災」とからめた問題や、「SDGs」の13番目の目標「気候変動に具体的な対策を」という点にも触れた問題など、さまざまな方向性の出題が考えられそうです。


さて、ノーベル賞を受賞した方の言葉もよく話題になります。私も興味を持って聞かせていただき、覚えている言葉が多くあります。2019年に「リチウムイオン電池の開発」でノーベル化学賞を受賞された吉野彰さんが、化学に興味を持つきっかけとなったのは、小学4年生のときに先生が薦めてくれた「ロウソクの科学」であったという話は、以前ブログでも取り上げさせていただきました。


2012年に「IPS細胞の研究」で医学・生理学賞を受賞された山中伸弥さんの「1回成功するために、9回ぐらい失敗しないと幸運は来ない。若い皆さんには、いっぱい失敗してほしい」という言葉には感銘を受けて、生徒に話をすることもよくあります。


今回受賞された真鍋淑郎さんのプリンストン大学でのインタビューもテレビで拝見しました。英語での会見でしたが、印象に残ったのは「好奇心」という言葉です。


「最も興味深い研究とは、社会にとって重要だからと考えて進めるものではなく、好奇心によって行う研究だと思う。私は気候変動の研究を心から楽しんでいるし、すべての研究の背景にあったのは好奇心だった」「最近の日本では、昔と比較して好奇心によって行われる研究が少なくなってきているように思っている」


以前(調べてみたら2016年でした)、前述した山中伸弥さんと赤崎勇さん(2014年に青色発光ダイオード開発で物理学賞を受賞)のノーベル賞受賞者お二人による対談の記事を読んだことがあります。小中学生・高校生を対象とした対談講演会の内容に関する記事でした。その中でお二人とも、「好奇心の大切さ」についてお話をされていました。学問や研究を進めていく原動力としての「好奇心」が非常に印象に残っています。


ちょうど同じくらいの時期から、世界的に話題になってきた考え方に「CQ(curiosity quotient)」というものがあります。「IQ」が「知能指数」と呼ばれますが、「CQ」は「好奇心指数」と呼ばれています。私も興味を持っていくつかの書籍などを読んでみたのですが、ちょうどよい機会ですので、次回の記事で簡単にご紹介させていただきます。

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