四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『興味と関心がスタートライン』

2024.04.19

小学3年生で理科・社会の授業がスタートいたしました。第一回目の感想はいかがでしたでしょうか。私も理科の授業を担当したのですが、生徒たちは映像を食い入るように眺めていました。「食卓に並ぶ植物」というテーマで、「それぞれの野菜の食べるところ(葉・茎・根など)」「世界の三大穀物」「水に浮く野菜、浮かない野菜」など、生徒たちにとって惹きつけられる内容だったと思います。


すべての科目に言えることですが、その科目や単元に対する興味や関心からスタートできると、定着度は高くなると思います。一部だけでも「自分が知っていて、楽しみにしている」単元があると、他の単元学習にも身が入ることが多いようです。天体観測の経験があったり、星座に興味を持っていたりする生徒は、理科の地学分野全般が得意になり、さらには理科という科目が得点源になることが多くあります。漢検の学習をしている生徒は、国語の知識単元が得意になり、最終的に国語そのものが得意になるということもあります。特に理科や社会は、身近な内容を扱う単元から学習が始まりますので、早いタイミングで、ぜひ「お子様が楽しみにできる単元」を見つけてあげていただければと思います。


社会の「歴史」学習についてです。実は中学受験へ向けた「歴史」の学習はかなりハードです。小5の二学期・三学期、9月から翌年の2月までの約半年間で、日本の歴史をすべて学習していくことになるのです。たとえば、二学期の第二回「公開組分けテスト」(11月実施・下巻第10回「総合」)の試験範囲は、なんと「鎌倉時代」から「江戸時代の初め」までという非常に幅広い範囲の出題になっています。もちろん中学校の「歴史」や高校の「日本史」などと比べれば、覚えなければならない事柄(人名やできごと)は少ないのですが、それでもかなりの分量の「新しい知識」が出てきます。以前小5社会の授業を担当していたとき、奈良時代を扱う週では、「律令政治」の仕組みを説明するだけで授業時間の半分以上を費やしてしまったことがあります。結果として「平城京遷都」「天平文化」「墾田永年私財法」「荘園の発生」「遣唐使」などは駆け足で教えることになってしまいました。何となくイメージをご理解いただけるでしょうか。さらに、小5の二学期は算数の単元も急に難しくなっていきます。家庭学習では「算数に時間がかかって、社会の語句を覚える時間がとれない」というようなことにもなりかねません。


こういった社会の学習の中で、いちばん危険なのは「毎週の単元(それぞれの時代)で出てくる『覚えること』に追われて、大きな時代の流れが見えなくなってしまう」という点です。一通り歴史の学習を終えた、小6のスタート時に「平安時代と室町時代はどっちが前?」という質問をしてみると、「あれっ?」という顔をする生徒がいます。「『御恩と奉公』は何時代?」と聞くと「鎌倉時代!」という答えは概ね返ってくるのですが。


私は小3の保護者会では、「小4から日本地理の学習がスタートするので、できれば小3の間に日本地図がイメージできるようにしておくとよいでしょう」という話をさせていただいています。細かい県名を覚えるところから始めるよりも、まずは日本地図全体を「俯瞰」して全体像をつかむところから始める方がよいと思います。「歴史」の学習も同じだと考えています。「縄文時代」から「昭和時代」までの大きな流れをつかんで、さらにできればそのなかでも興味のある時代をつくることができれば、きっと「歴史」の学習を「楽しみに待つ」ことができるのではないでしょうか。

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