四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『どんぐりと山猫』

2014.10.10

前回の記事でドングリについて書かせていただきましたが、その際に思い出したのが宮沢賢治の『どんぐりと山猫』でした。せっかくなので、今日はそのことを。


保護者の皆様の中にも読まれた方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。私の記憶に残っていたのは、「主人公が滝と話したり、きのこと話をしたりしながら、森へ向かっていく場面」、「どんぐりたちが集まってわらわらといろんなことをしゃべっている場面」などでした。この記事を書くために本を探してみたところ、実家の書庫に昔読んだものが残っていました。あらためて読み返してみたのですが、ストーリーは自分の記憶と大きな違いはありませんでした。


『どんぐりと山猫』は、人間の世界に起こりがちな馬鹿げたことを風刺した作品であるとか、「このなかで、いちばんえらくなくて、ばかで、めちゃくちゃで、てんでなっていなくて、あたまのつぶれたようなやつが、いちばんえらいのだ」という言葉から、謙虚であることが大切であるという教訓が含まれた作品であるとする解説もあります。ただ、そのような解説をお子様に対して行う必要はありません。読後にそう言われれば、お子様は「ふーん、そうかな...」と思うかもしれません。しかし、それらは教わるよりもいつか自分で気が付くべきものだと思うのです。初めて読んだときは「なんとなく面白かったな」、そんな印象でよいのではないでしょうか。心の中にいろいろ場面が残っていれば、次に読んだとき、さらに新たな発見がある、そんな読書体験を積ませてあげてください。


宮沢賢治の作品はアニメなどで映像化されているものもたくさんあります。お子様に興味を持たせるためには、そういった映像を利用するのも一つの方法です。まずはDVDなどでその作品を見せて、それから次に読書に向かわせると、スムーズに内容が入ってくるため、理解も深まります。映画の原作本などでも同じような効果があるはずです。


ただ、映像を見たあとで文章を読む場合、作品のイメージは、どうしてもその映像に縛られてしまいます。わかりやすく言えば主人公の顔は、映像の中に出てきた主人公の顔になってしまうわけです。やはり、読書の本質は、自分の中でイメージをふくらませていくことによって心が豊かになっていくものだ、と私は考えています。


『銀河鉄道の夜』の映像を見たことがあります。実はそのときに、私が子どものころに持っていたイメージとの違いが大きく、少し驚きました。あらすじはもちろん同じなのですが...。いまでも私の心の中のジョバンニとカムパネルラは、初めて読んだときのままです。あと、子どものころに一番好きだったのは『注文の多い料理店』でした。


さて、来週の水曜日(10月15日)には、今年度第3回目となる『クローバーセミナー』が行われます。今回は「やる気は小さな成功体験の積み重ねから生まれる」と題しまして、ご家庭で成功体験を積み重ねていくためのヒントやアドバイスを中心にお話しさせていただきます。比較的広い会場で行いますので、まだ少し残席がございます。ご都合のつく方がいらっしゃいましたら、早稲田アカデミーのホームページよりぜひお申し込みください。お待ちしています。

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