四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『漢字の学習』

2019.02.20

「アサッテ」「ブッシ」「シュウイ」「背中をカす」「進化のカテイ」「ヨウキュウ」「テイコクに発車する」「(ストレスを)感じずにスむ」「センデン」……。これらは、今年の中学入試で出題された漢字の問題です。1番目から5番目までは女子の最難関校である桜蔭中、6番目から9番目までは男子の最難関校である開成中の問題です。それぞれ文章中から出題されたものですので、前後の関係がわからなければ書けないものもあると思いますが、正解は「明後日」「物資」「周囲」「貸す」「過程」「要求」「定刻」「済む」「宣伝」となります。


「あら、簡単なのね」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。そうなのです。中学入試で出題される漢字の問題は、決して難しいものではありません。上記の2校に限ったことではなく、例えば早稲田中で出題されたのは「イノ(祈)る」「ダンアツ(弾圧)」「ブンセキ(分析)」、慶應中等部では「セソウ(世相)の移り変わり」「若気のイタ(至)り」「教育というイトナ(営)み」というような漢字です。ちなみに「営み」については、浦和明の星中でも「読み」の問題として出題されていました。


文部科学省では、小学校で学ぶ漢字を学年ごとに定めた「学年別漢字配当表」を公開しています。原則として中学入試で出題される漢字は、この範囲からしか出題されていません。ですから、先ほどご紹介した漢字の問題も、一つひとつの字は受験生なら誰もが書けるはずの「文字」ということになります。一方で「明後日」「弾圧」「世相」といった問題では、失点してしまった受験生もいたのではないでしょうか。書けない漢字ではないけれど、その言葉を知っているかどうか、その言葉にはどの漢字を使うのが正しいのか、そういった点が問われているわけです。


私は、一般的に「漢字の問題」と呼ばれるものは、「言葉の知識=語彙力」を試している問題だと考えています。漢字の学習というと、同じ文字を何回も「漢字練習帳」のマス目に書いていく、というイメージがあります。「知らなかった文字を1つずつ覚える」という目的のためには、それも必要な学習法かもしれません。しかし、中学入試を最終目標とした学習において、それは効果的な学習方法とはいえないのです。


早稲田アカデミーでも各学年で「漢字テスト」を行っています。お子様たちは、授業で行われる「漢字テスト」へ向けて新しく学ぶ漢字を一文字ずつ練習する、というところから家庭学習に取り組んでいることでしょう。ただ、入試で出題される「漢字の問題」に対応するためには、単に「漢字が書けるようになる」というだけではなく、その文字の意味やニュアンスを(なんとなくのイメージでも構わないので)理解し、その文字を使った熟語なども一緒に学習することが必要になってきます。


早稲田アカデミーでは小学4年生から「漢字とことば」という教材を使用します。そこには新しい漢字の「書き順」「音読み・訓読み」だけではなく、「会意・なりたち」「用例」などが記載されています。最終的な入試問題を考えると、大切なのはこの「用例」の部分になってきます。


以前、ある中学で「キョウダイの前で身支度を整える」という問題が出題されたことがあります。この問題をクラスで紹介したとき、多くの生徒たちが「兄弟」という答えを書きました。
「君たちはお兄さんや弟の前で『身支度を整える』の? もうちょっと考えてごらん」
「わかった!『姉妹』だ!」
「うーん、ちょっとは考えたみたいだけど……違うよ。みんなのお母さんは何の前で『身支度を整える』かな?」
「えっ!? うーんと……『鏡』かなぁ……あっ!」
そんなやり取りをした覚えがあります。「鏡台」という言葉は、現代の小学生の語彙の中には存在しないものでしょう。そう考えると、この問題自体が「良い問題」といえるかどうかは議論が分かれるところです。ただ、「漢字の問題」と呼ばれるものが、単に「知っているかどうかを問う」という問題ではないことがおわかりいただけると思います。


中学入試本番で、「漢字の問題」での失点はできる限り避けなければなりません。そのためには「語彙力」を高めることが必要だということをご理解ください。今までの学習方法を見直すことが必要になるかもしれません。

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