四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『「愛」について』

2019.10.18

お子様に対して「愛情」を持っていない保護者の方はいらっしゃらないでしょう。かなり昔の記事になりますが、「LOVE」という言葉が初めて日本に入ってきたときには「大切」と訳された、という話を紹介させていただいたことがあります。その視点で考えれば、お子様を大切に思っていない保護者の方は、やはりいないと思うのです。


国語的に「愛」という漢字や言葉を考えてみましょう。「愛」の対義語は「憎」です。小学生の学習範囲には入りませんが「愛憎」という熟語もあります。一方で、「愛の対義語は『無関心』」という有名な言葉があるのをご存知でしょうか。マザーテレサの言葉だそうですが、私にはとてもしっくりくる表現でした。先ほどご紹介した「愛=大切に思う」という考え方とも通じるところがあるように思います。もちろん、国語的に考えれば「無関心」の対義語は「関心(がある)」ということになります。そう考えると、「愛する」ということは、その対象へ向けた「関心を持つ」ということになるのかもしれません。


お子様への接し方について、いろいろとお話ししたり、文章を書かせていただいたりしていますが、その根底において一番大切なことは「お子様に対する関心」を強く持つことではないかと思っています。我々が授業をする際にも、「テキストをどのように教えるか」から考え始めるのではなく、目の前の生徒に対して「どのように教えればできるようになるのか」を考えることが大切だと考えています。これも「生徒に対して関心を持つ」ということになるでしょう。


また、「叱るとき、ほめるとき」というテーマについて、「子どもがほめられたいときにほめ、叱られることを覚悟しているときに叱る」という話をさせていただくことがあります。ほめてほしいときにほめてもらえないと、子どもは前向きな気持ちを失っていきます。反対に、叱られると思ったときに叱られないと、物事を甘く考えるようになってしまいます。つまり、効果的に「ほめる・叱る」ためにも、お子様に対する関心がとても大切なのです。


もちろん、保護者の皆様はお子様に対して、日ごろから強い関心をもって接していらっしゃることでしょう。ただ、とても忙しいときや視野が狭くなってしまっているときに、「関心」の度合いが小さくなってしまうことがあるかもしれません。たとえばテストの結果を見たときに、つい全体の点数ばかり気になってしまって、お子様が内心ほめてほしいと思っている「漢字が全部できた」ということを見逃してしまう……というような場合です。


ところで、「愛」という言葉に関しては、以前面白い国語の文章を読んだことがあります。
「愛する人」というときの「愛する」は、「人」につながっているので連体形です。連体形が「する」で終わっているので、活用の種類は「サ行変格活用」。となれば、未然形は「愛しない」になるはずですが……あれ? こんな言い方はしませんよね。「愛する」に「ない」をつけると「愛さない」になりますから、「ない」の前が「ア段」の「五段活用」になります。一体どっちなのでしょうか?


種明かしをすると、実は「愛する(サ行変格活用)」と「愛す(五段活用)」という2つの動詞が存在するのです。そして、つながる言葉に合わせて2つの言葉を使い分けているというのが正解です。中学受験へ向けたカリキュラムでも、このレベルまでの学習はもちろん必要ないのですが、国文法の余談でした。

同じテーマの最新記事

2019.10.18 『「愛」について』
2019.10.16 『台風上陸』
2019.10.11 『小学校3年生、4年生のときに……』
2019.10.09 『ていねいに学習する ~ハノイにて~』
2019.10.04 『塾の先生に顔を覚えてもらう』
早稲田アカデミー