四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『質問への答え方~自分で考える力を身につけるために~(1)』

2012.04.06

「自分で考える力」を身につけることが、中学受験学習の一つの目的であり、難関校の合格を勝ち取るためには絶対に必要であるということを以前にも書かせていただきました。その力は中学入試に必要なだけではなく、将来大学に進学するときにも、大学で学ぶ中でも、そして社会に出てからも必ず役に立つもののはずです。一方で、その『自分で考える力』が弱くなっているとも言われています。2月に日本数学会が発表した「大学生数学基本調査に基づく数学教育への提言」も、「大学生の4人に1人は平均の意味が分かっていない」というような形でNHKのトップニュースで扱われるなど、大きな話題となりました。
なぜ、『自分で考える力』が弱くなっているのかに関しては、さまざまな議論がありますが、私がここで論じるテーマではないように思います。しかし、私も生徒を指導する中で、同じように感じています。早稲田アカデミーの授業の中では、生徒の思考力を喚起するために発問(問いをなげかけること)を行っています。『ここがこうなるから・・・このカッコに入る数字は・・・さて! なんだろう?』という問いかけです。このような発問をしたときに、その問いに答えようと頭が回転し考えはじめる生徒もいれば、回転がストップしてしまい『誰か答えてくれないかな』『先生、早く答えを言ってくれないかな』というような顔をしている生徒もいます。そして、後者のような生徒が増えてきていると私は感じています。

『自分で考える力』を身につけさせるためには、どんなに難しい問題でも諦めずに自分で考えるクセをつけていくことが大切です。もちろん、中学受験カリキュラムで学習していく問題全てを自分だけの力で解くことは不可能です。いくら考えてもできない問題もあるはずです。しかし、試行錯誤しながらその問題を考えることで、『自分で考える力』はだんだんとついていくはずなのです。そのクセをつけるためには、お子様の質問に対する保護者の皆様の対応が重要になってきます。

質問をすることそのものは悪いことではありません。ただ、質問をして、解説を聞いただけで安心してしまい、それだけで「わかったつもり」になるのは、非常に良くないことなのです。できない問題をそのまま放置しておくことよりも、わかったつもりになってしまうことの方がその後の学習に悪影響を及ぼしてしまいます。

算数の質問を例にとってみましょう。
まず、お子様が質問を持ってきたら、どのような問題であったかを問いかけてみて下さい。たとえば、文章が長かったり、パッと見ただけで難しそうに感じたりして、その時点で考えることを止めていたとしたら、その問題の内容を正確に答えることができないはずです。本気で解こうとして考えてきたのであれば、テキストなどを見なくても、数字なども含め答えられるはずです。この時点で、ちゃんと考えていないとわかったら、「もう一度考えてきなさい」とつき返すのが一番だと思います。

ある程度まで、考えてきているようでしたら、どこまで考えてきたのかをもう一度説明させます。どんな図を書いてみたのかを再現させてみるのもよいでしょう。そして、その思考過程まで説明できれば、ほとんどの場合、そこからは簡単です。気がついていない点に関してひとつふたつのアドバイスをすれば、正解までたどり着きます。

その問題の内容をきちんと理解しているかどうかの確認をすること。次に、どのように考えたかを説明させること。最後にそこから正解にたどり着くまでの過程をアドバイスしてあげること。これが質問に答える正しい方法です。実は、一から説明をしてしまった方が時間もかかりませんし、教える側は楽なのですが、『自分で考える力』を身につけさせるためにはこれらの手順は必要なことなのです。


■■□四つ葉のクイズ 其の30□■■
四つ葉のクイズ 其の30

正解は次回のブログで発表します。

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