四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『全国統一小学生テストが行われました』

2012.06.06

6月3日の日曜日に『全国統一小学生テスト』が行われました。お子様方の感触はいかがでしたでしょうか。私もテスト終了時に、市川校の入り口の前で声を掛けさせていただきました。私の『どうだった?』という問い掛けに対し、多くの子どもたちは『楽しかった!』という答えを返してくれました。マークシートを塗って答えていくという解答スタイルが目新しくて、面白く感じられたということもあるでしょう。また、その場で「考えさせる」問題が多かったことも、子どもたちが興味を持って問題に取り組めた要因だと思います。

算数の問題では、小学校3年生は大問6の「計算機のきまり」を見つける問題、小学校4年生では大問6の「コインを重ねる問題」などは特に楽しく感じられる問題であったと思います。一方で、このような「考えさせる」タイプの問題は、正解に至るまでに何段階かの思考過程が必要で、浅い段階で答えを出してしまうと正解にたどり着くことはできません。マークシート形式のため、何らかの答えを書くことはできますから、お子様にとっては『いつもよりできた』という印象を持ってしまうケースもあるようです。『できた』と聞いていたので結果を楽しみにしていたら...、ということもありますので、その点はご留意ください。

また、今回の算数の問題を細かく分析をすると、深く考えさせる問題の出題パターンがいくつか見えてまいります。小学校2年生から小学校5年生までの算数の最終問題の出題文中から、キーワードを拾ってみます。

◆ 小学校2年生 →『...もっとも少ない枚数を答えましょう』
◆ 小学校3年生 →『...のこりの4つの正方形は、求める長さがもっとも長くなるように...』
◆ 小学校4年生 →『...考えられる枚数を、次からすべて選びなさい。...』
◆ 小学校5年生 →『...最も多い個数を次から1つ選びなさい...』

このタイプの問題は比較的新しいものです。保護者の皆様が小学生の頃には、あまり見かけなかったものではないでしょうか。実は私も四谷大塚の卒業生なのですが、紺色の表紙であった当時の「予習シリーズ」では学習した覚えがありません。正解にいたるためには、考えられるいくつかの答えから、条件に合ったものを選別し、判断をする力が求められるわけです。

実は、最近の中学入試のための学習は、こういった思考方法を身につけることが一番必要になってきています。一昔前のように、『○○算は△△図を書けば解ける』というようなパターン学習では、解けない問題が増えてきているわけです。今回の全国統一小学生テストでも小学校3年生で出題されていましたが、置かれているサイコロの見えている面の合計を考えさせる問題があります。たとえば、一番上の面に「6」が見えているサイコロの見えている面の合計数はいくつでしょうか、というタイプの問題です。初めてこの問題に触れた多くの生徒は、ひとつひとつの面の数字を考えようとします。しかし、そこはどうやってもわからない(求められない)ようになっているのです。しかし、もちろん答えを出すことはできます。一番上が「6」ならば、机に接していて見えていない面は「1」なのですから、全ての面の合計「21」から「1」を引いて答えは「20」となるわけです。もしくは、向かい合う面の合計は、どんな場合でも「7」ですから、見えている中では、向かい合う面が2組で合計が「14」、一番上の「6」を足せば「20」になります。ここで使っている思考方法は『一つひとつは分からなくても足した数(引いた数)は分かる』という考え方です。この思考方法は、いろいろな形をとりながら、様々な場面で出てきます。たとえば、対角線の長さが判っている正方形の一辺を直径とする半円の面積を求めさせる問題があります。小学校5年生レベルの問題になるのですが、対角線が整数で与えられているということは、正方形の一辺は無理数(ルートの入った数字)になり、小学生では求められないことになってしまいます。しかし、実は半円の面積を求めるためには正方形一辺の長さが分かっていなくてもよいのです。一辺の半分が半径となるわけですので、その半径の二乗(半径×半径)の値を求めることができれば、そこに円周率をかけることで面積は求められるのです。言葉だけではなかなか分かりにくいかもしれませんが、正方形を書いてその一辺に半円を描いて、図で考えていただくとよいかもしれません。さて、そこで、その半径の二乗の値ですが、正方形の面積の四分の一になることが図を見るとお分かりいただけるのではないでしょうか。問題の解説が長くなってしまいましたが、ここではサイコロの問題の考え方を発展させて『一つひとつは分からなくてもかけた数は分かる』という思考方法が必要になることがお分かりいただけると思います。

今回は具体的に算数の思考方法についてお話いたしましたが、今、お子様方が学んでいらっしゃるものが、単なる知識やテクニックではなく、思考方法であることがご理解いただけると、ご家庭におけるご指導も変わってくると思います。ぜひご参考になさってください。


■■□四つ葉のクイズ 其の38□■■
四つ葉のクイズ 其の38

正解は次回のブログで発表します。

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