四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

「1月に行っておきたいこと ~解き方と考え方~」

2014.01.15

1月はどの学年でも、現学年での「まとめ」という位置づけになります。もちろん、学年・科目によっては三学期に新出単元を扱うこともあるのですが、全体としては「まとめ」学習をするとお考えいただいてよいでしょう。現学年の間に身に付けておかなければならないことを確認し、抜けがあればそこを埋めていくのが「まとめ」だとご理解ください。そこで重要になってくるのが、その学年で何を身に付けなければならないのかということです。


国語の場合であれば、学年が切り替わるタイミングで、テキストやテストの文章レベルが一段階上がります。現学年の間に、その学年における読解の基本的なフォームを身に付けておくことによって、難度やレベルが上がっても、読み解くことができるようになるのです。一方で、現学年で学習した漢字や語句などの細かい知識を隅々まで覚えておく必要はあまりありません。それらの知識は、学年が上がるにつれて自然に身についてくるもの(漢字など)もありますし、新学年で再度扱うものもあるからです。


簡単に言えば、この時期は、「知識」や「解法」を覚えることが重要なのではなく、その学年で必要な「考え方」が身に付いているかどうかをチェックすることが大切なのです。


以下に「解き方」と「考え方」の違いについて、書かせていただきます。


私が小学生の授業を行う際、一番重きを置いているのが、「考え方を身に付けさせる」という点です。生徒によっては、「解き方を知りたい」と質問をしてくるのですが、私は「解き方」だけを単純に教えるような質問対応はしないことにしています。まずは、「問題を読んでどのように考えたの?」と聞き返すところから始めます。自分で考えさせ、そこから自分で「解き方」を見つけられるようにさせていくのです。ひとつの問題を解くのにある程度時間がかかってしまうのですが、その「考え方」を理解できた生徒は、同じような問題に出会ったとき、質問せずに自分で解決ができるのです。一方、「解き方」だけを教えた場合、同じような問題でも、また質問に来ることが多いのです。


もう少し分かりやすく、例を用いて説明します。


算数の図形の問題で手当たり次第補助線を引いている生徒を見かけることがあります。補助線の引き方(つまり、補助線を引く場合の「考え方」)がまだ身に付いていないのです。


三角形の線分比を求める問題の場合、今までの経験からなんとなく「このあたりに補助線を引けば解けるかな」と引いた補助線で運よく解けることがあります。しかし、それは偶然「当たった」だけで、その他の問題でも通用するとは限らないのです。


『三角形の線分比であれば、面積比を利用するか、相似を使うはずだ』

『この問題では面積は与えられていないので、相似になるはずだ』

『相似を作るのには平行線が必要になる』

『どこに平行線を引けば...分かった!』


このような過程が「考え方」になります。正しい補助線を引くことができれば、そこから先は正確に「処理」をするだけで正解までたどり着くことができます。


ところが、先ほど申し上げた「解き方を知りたい」という生徒の場合、「どこに補助線を引けばいいかを教えてほしい」と質問してきます。どこに補助線を引けばよいかを教えることは簡単ですし、それを教えてしまえば答えまで行き着くので、生徒も安心します。しかしそれでは、次に同じような問題が出てきたときに、また悩むことになってしまうのです。


「解き方」と「考え方」の違いに関して書かせていただきましたが、本質的な教授法の部分になりますので、限られた紙面(?)で全てをお伝えすることは難しい部分があります。授業での指導に関しては、早稲田アカデミーの講師にお任せいただくとして、保護者の皆様に知っておいていただきたいのは、正解を出す過程として、まずは「考え方」があり、そこから「解き方」につながっていくのだという点です。「解き方」にだけこだわるのではなく、まずはどのように「考えるのか」というところを重視するように、ご家庭でもご指導いただければと思います。

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