四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『シャーロックホームズと倫敦』

2015.05.27

「福田先生は小学生の頃、どんな本を読んでいましたか?」

質問をいただいたことがあります。実は、私は小学生のとき、『シャーロックホームズ』のシリーズにはまっていました。いまでも表紙や挿絵を覚えているほどです。もちろん、文庫本などではなく子ども向けの翻訳ものだったのですが、引き込まれるように読んでいました。『踊る人形』『まだらの紐』『黄色い顔』などという題名を聞くと、今でもわくわくしてきます。推理小説ですし、学校の「課題図書」などになるような本ではありませんが、私はとても大きな影響を受けました。


その影響のひとつとして、イギリスに対する興味があります。『シャーロックホームズ』の舞台となった「ロンドン」という街はどんなところなのか、そんなところがスタートだったように思います。特別、詳しく調べたりはしなかったのですが、漠然とした「憧れ」のようなものを、ずっと抱いていました。そして、中学生の頃に夏目漱石の『倫敦塔』という短編小説に出会いました。初めて読んだときには「不気味」な印象しか残りませんでした。しかし、その後何回か読み直してみると、そのたびにいろいろなイメージがわいてきました。私は、こと本に関しては物持ちがよい方で、この本も中学生時代に読んだものが、まだ手元に残っています。


20歳を過ぎてから、何度かイギリス(ロンドン)に行っているのですが、『シャーロックホームズ』や『倫敦塔』のイメージとは少し異なっていました。


頭の中にイメージをつくり上げるのに最適なのは、やはり文章だと思います。テレビや映画などの映像の場合、イメージがビジュアル的に固定されてしまいます。たとえば、映画を見てから原作の小説を読んだとします。その場合、小説の中に出てくる主人公は、どうしても映画でその役を演じていた俳優のイメージになってしまうものです。イメージを膨らませるということは、感受性を豊かにすることにもつながります。そういう点からも、やはり小学生には読書を勧めたいと思っています。


さて、読書において一番大切なのは、お子様自身が「本を読むことを楽しむ」ということです。先生や親に強いられて、しぶしぶと本を開いている状態では、ただ字面だけを目で追いかけるだけの読書になってしまい、「イメージを膨らます」などというところまでは到達しないでしょう。


もともと本を読むことが好きなお子様であれば、それほど興味がないものでも楽しく読めるはずです。その本から影響を受けて、興味や関心の幅が広がることもあるでしょう。一方で、読書の習慣がなかったり、読書が好きではなかったりする場合は、楽しめる本を見つけるところからがスタートです。私のように推理小説からでも構いませんし、興味のあるスポーツの本などでもよいでしょう。


私の頭の中の「倫敦」では、雨が多く霧も深くて、その中を二階建てのバスではなく、馬車が今でも走っています。

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