四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

「子どもへの悩み」

2015.08.21

「子どもへの悩み」というタイトルですが、助詞の使い方に関する話です。「子どもへの悩み」という言葉を目にして、耳にして、みなさまはどう思われますか。意味はわかりますし、日本語としては通用するレベルの表現でしょう。ただ、国語として考えると、ちょっとした違和感を覚えます。


国語力が高い生徒に共通する特徴として、助詞に対する意識が高いという点が挙げられます。音読をさせてみるとわかるのですが、小3・小4の段階では助詞の「読み間違い」や「飛ばし」をしてしまう生徒がいます。そういう生徒の多くは、国語を苦手としています。日本語は、助詞が一文字違うだけで文意が変わってくるため、そういうところに意識が向いているかどうかが、読解力にも影響を及ぼすのです。


また、記述問題の解答をきちんと「まとめる」ためにも、助詞をしっかりと使いこなすことが大切になってきます。小3・小4の段階では、解答に必要な「要素」が入っていれば大きな問題はありませんが、小5からは「要素」だけではなく「文としてきちんとまとまっているか」という点も意識する必要があります。


助詞は、文脈からきちんと意味をとらえなければなりません。たとえば「の」という助詞については、非常に便利であるためよく使われていますが、しっかりと意味を考える必要があります。「先生の絵」という表現を例に考えてみましょう。その意味するところは、大きく3つ考えられます。「先生が描かれている絵」「先生が所有している絵」「先生が描いた絵」という3つです。この点に関しては、文章を読む際はそれほど意識する必要はありません。なぜならほとんどの文章は、意味があいまいにならないように書かれているからです。一方で、自分が解答をつくるときには、あいまいな記述にならないように注意を払わなければなりません。


さて、タイトルの「子どもへの悩み」という表現についてですが、「へ」という助詞がやはり気になります。「子どもに関する悩み」という意味だと推測されるのですが、「へ」という助詞が入ると「悩み」そのものが「子どもに向けられた」もののように表現されてしまうわけです。「先生への相談」「母への手紙」という表現と比較していただくと、わかりやすいかもしれません。「相談」「手紙」が向けられた対象が、それぞれ「先生」「母」となるので、これらの表現に違和感はないのですが、タイトルでは「悩み」が向けられる対象が「子ども」ではないので、少し違和感があるのです。


助詞ではありませんが、似たような表現「○○に対する」と「○○に関する」という言い方があります。よく同じような意味で使われているのですが、厳密に言えば、やはり使い方は違います。「対する」は助詞で言えば「への」に近く、「関する」は「の」に近くなるでしょうか。


少し細かい話になってしまいましたが、国語力・読解力・作文力を伸ばしていくためには、(小学生にとって)難しい語彙を多く身に付けることよりも、助詞をはじめとした「表現」を正しくつかめるようにすることの方が大切だと思います。

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