四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

「『わからせる』ではなく『できるように』 ~講師として心がけていること③~」

2015.09.16

先週の記事から2回ほど「講師として授業に臨む際に心がけていること」について取り上げました。今回は第3回目として、小学生の授業を担当する際に一番考えていることについて書かせていただきます。


よく「わかる」と「できる」は違う、という言葉を耳にします。大人になれば、「わかった」ことはすぐに「できる」のが普通です。なぜかというと、大人になるまでにさまざまな経験を積んでいるので、それを新しく学ぶことに生かせるからです。しかし、小学生の場合には違います。「わかった」ことを自分で「できる」ようにするためには、自分の中でしっかりと「咀嚼」したうえで、試行錯誤をすることが必要なのです。


年齢があがるにつれて、「わかる」と「できる」の距離は縮まっていきますので、中学生や高校生に対する指導であれば、「わからせる」ことのみでも、生徒は「できる」ようになってくれます。しかし、小学生の場合、「わかった」だけではなかなか「できる」ようにはなりませんから、前述の視点を持って指導をすることが必要なのです。そこで、小学生の授業を行う上で一番大切なことは、「わからせよう」と教えるのではなく、「できるようにする」という意識を持って指導することだと、私は考えています。


一方で、中学受験カリキュラムの場合、その週に出てきた内容をすべて「できる」ようにすることは至難の業です。以前にも書かせていただいた通り、「積み残し」が前提となっているカリキュラムですから、その週においては「なんとなくわかっている(=積み残し)」レベルでかまわない部分も実はたくさんあるのです。逆に言えば、どこまでを「できる」ようにするのかを考えることが大切なのです。この判断はクラス・生徒によってさまざまです。土曜YT講座(週テスト)を受講している場合、「がんばって勉強したら、テストでも得点がとれた」という結果はお子様の「やる気」に直結するわけですから、テストで出題されそうな問題は「できる」ようにしてあげることが必要になります。


さらに、次に同じような単元が出てくるときに、どのレベルから学習が始まるのかを考えておくことも必要でしょう。言い換えれば、次に出てくるまでに「できる」ようになっておく必要がある箇所を把握しておかなければならないのです。ここまでくると、保護者の皆様ではなかなか難しいところだと思います。悩まれた場合は担当講師までご相談ください。


ご家庭においてお子様の学習(宿題)をご覧になる場合、やはり「できるように」という点は意識してください。お子様から質問されたときに、教えてあげて「わかった?」と聞くと、きっとお子様は「うん!」と答えてくれるはずです。しかしもう一回やらせてみると、やっぱり自分では「できない」、そんな経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。


「できるようにするための指導をどのようにするか」という点に関しては、すべてをここで書ききることはできません(隠しているのではなく、あまりにも多岐にわたるため、スペースの都合上書ききれないのです...)。ただそのポイントだけを申し上げると、「スタートラインは生徒である」というのが、よく講師研修などで私が話をすることです。教えるスタートラインを教材やテキストにおいて指導内容を考えるのではなく、教わる生徒から考え始める、というのが最大のポイントです。「この問題をこのクラスの生徒たちが『できる』ようになるためには、どうやって噛み砕けばよいのか。どの問題を授業中に解説し、やらせてみるのがよいのか」そんな風に私は授業準備をしています。ご家庭でもテキストの解答や解説をそのまま伝えるのではなく、「どこでつまずいているのか、どのポイントをクリアすれば解けるようになるのか」、そんな風に考えてお子様に接していただければと思います。


ここまで3回にわたって書かせていただいた「授業をする際に心がけていること」ですが、いったん今回で終了としておきます。もちろんまだまだあるのですが、特にご家庭においてお子様をご指導いただく際に役立つことに絞って書かせていただきました。よろしければご参考になさってください。

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