四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

「指示語の解き方」

2015.10.09

今回は久しぶりに国語の話を。


説明的文章(説明文・論説文など)では、指示語の内容を問う設問が多く出題されます。「傍線部『それ』の指している内容を答えなさい」というタイプの問題です。国語を得意としている生徒(国語が得点源になっている生徒)の多くは、このタイプの問題では必ず正解します。一方で、国語を苦手としている多くの生徒は、ここで失点してしまうのです。また、自分で表現する場合でも、指示語をうまく使うことで、わかりやすく筋の通った文章を書くことができます。


指示語の設問を解くにあたって、まずやらなければならないのは、指示語の内容を「自分の頭の中でイメージする」ということです。そのためには、指示語を含む文をしっかりと読み、指示語が何を指しているかを考える必要があります。それほど難しい問題でなければ、この手順を飛ばしても、指示語の直前を確認することでうまく言葉を見つけられるかもしれません。しかし、入試においては必要になる手順ですから、今からしっかりと意識して問題に取り組むことが大切です。


具体的に考えてみましょう。

「それらは私にとってなくてはならない宝物だ」の「それら」を問う問題があったとします。文全体を読んで「私にとっての宝物とはなにか」とイメージするわけです。さらにここでは「それら」と複数を指す形になっていますので、複数で考えていくわけです。


次に、指示語の直前から、解答に必要な「要素」を考えていきます。わかりやすくするために、私が実際に生徒に指導する際によく使う例題を題材に書かせていただきます。


(例)「筆箱にいつも入れてあるボールペンは、父がアメリカに行ったときに買ってきてくれたお土産で、ずっと大切にしてきたものです。父が亡くなった今では、唯一の形見のようになってしまいました。けっして高価なものでもないのですが、とても書きやすく、それが私の一番の宝物と言ってもよいでしょう」


この文の「それ」の内容をまとめるという設問です。まず、「それ」が指しているものを一言で考えさせます。もちろん一言ならば「ボールペン」という答えが返ってきます。そしてその言葉を修飾している「要素」を考えさせていくわけです。

① 筆箱にいつも入れてある

② 父がアメリカに行ったときに買ってきてくれたお土産

③ ずっと大切にしてきた

④ 父が亡くなった今では、唯一の形見

⑤ けっして高価なものではない

⑥ とても書きやすい

これらの中から制限字数や解答欄の大きさを考えながら、必要な要素を選んで使っていくという考え方をしていきます。「要素」に順位をつけるといってもよいかもしれません。この問題で一番に書き込まなければならないのは、当然②の要素です。さらに④の要素も付け加えなければなりません。②と④だけで考えると、次のような解答になります。


「亡くなった父がアメリカ土産に買ってきてくれたボールペン」


上記のような解答でほぼ合格点はもらえるはずです。もし制限字数に余裕があるとしたら、次に加える要素はどれになるでしょうか。実は③と⑤の要素は入れる必要がありません。③「ずっと大切にしてきた」は、指示語の直後にある「宝物」と同意・同義の表現です。指示語に代入してみると「ずっと大切にしてきたボールペンは私の宝物です」となり、意味が重複してしまうのです。⑤「けっして高価なものではない」は、「宝物」である理由にはなりませんから、これも不必要な要素です。ですから、もし上記のシンプルな解答に書き加えるとするならば、①と⑥の要素となるわけです。


上記のような、「必要な要素を選んでまとめていく」という手法は、記述問題解法の基礎になるものです。指示語の問題は、「要素を探す場所」がほぼ指示語の直前にあるため、「探しやすい」ので、手順や方法の土台を身に付けるのに適した問題と言えるでしょう。

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