四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『全国統一小学生テストを終えて』

2015.11.04

昨日(11/3)、四谷大塚主催の『全国統一小学生テスト』が全国の様々な学習塾や会場で実施されました。早稲田アカデミー各校舎でも、塾生だけではなく、普段早稲田アカデミーにお通いでない多くの子どもたちも受験をしました。ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。


毎回、『全国統一小学生テスト』が終わったあとに書かせていただいているのですが、このテストは小学校で行われているものとは異なり、満点を取るのは難しいです。


なぜなら、単なる「知識」や「処理能力(正確性・スピード)」などをみるだけではなく、「思考力・発想力・応用力」といった力が求められる問題が多く出題されているからです。中には、テスト終了後に、「習っていない問題が出た」と表現したお子様もいました。算数を例にとると、計算方法などは各学年の学習指導要領の範囲から(原則として)出題されています。その点から言えば「習っている」はずなのです。一方で、「初めて見た」「解き方を知らない」という点から考えれば、確かに「習っていない」と表現される問題かもしれません。


私は錦糸町校で小2~小4の国語の解説授業を担当しました。早稲田アカデミーに通っていない小3生徒のクラスでは、「部首」の問題を「難しい」と言っていた生徒が多くいました。小学生の学習指導要領上では「漢字のへん、つくりなどに関する知識」は、3年生から学ぶことになっていますが、学校によっては扱っていないところもあるようです。そうすると、生徒は「そんなの知らない」ということになってしまうのです。


知識に関しては(毎回のことですが)、「漢字」で失点する生徒が多かったようです。「マークシート形式」のため、問われている漢字を書くのではなく、その漢字と同じ漢字を使うものを選ばせる出題形式です。知っている漢字をそのまま書くのではありませんし、選択肢が四つあればその全ての漢字を考えなければなりませんから、小3・小4生にとっては少しハードルが高い問題になっています。特に初めてこういった出題スタイルに取り組んだお子様にとっては、より難しく感じられたかもしれません。結果をご覧になって「学校では漢字は得意な方なのに...」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そういった違いもあるのです。


文章題に関しては、小3では物語文が1題、小4では物語文と説明文が1題ずつの計2題が出題されました。両学年とも物語文に関しては、比較的読みやすいものでしたが、文章が長かったため焦ってしまった生徒もいたようです。小4では「読む」「解く」のスピードも要求された問題でしたので、最後まで解き切れなかった生徒もいたのではないでしょうか。


さて、私の解説授業の内容を簡単に書かせていただきます。

小3では、3人の主要な登場人物(うち1人は主人公)の性格を読み取ることを中心に行いました。設問では(12)の問題です。その中でも特に「博くん」の行動から読み取れる性格に関して、本文の114行目から134行目までの会話の調子に注意をしながら解説しました。


小4でも物語文を扱いました。トライアスロンでゴールをしたときの主人公の気持ちを問う(2)と、ゴール直前の主人公の気持ちの変化に関する(5)を解説しました。特に(5)に関しては、選択肢の絞り込みが少し難しかったはずです。選択肢だけで考えるのではなく、本文の該当箇所(ここでは46行目~58行目)ときちんと照らし合わせて解くという「解き方」が求められるタイプの問題でした。こういった問題に慣れていなかったお子様は苦戦したのではないでしょうか。


少し詳しく国語の問題について書きましたが、『全国統一小学生テスト』で試されているのは、上記したように「何を知っているのか、何ができるのか」ではなく、「どれだけしっかりと考えることができるのか」という力だと、私は思っています。そして「見たことや経験したことがない」という問題に対して、投げ出さずにしっかりと考えられるようになることが、これから先のお子様の将来にとって非常に大切なことだと考えています。本に書いてあることや誰かに教わったことを、理解し、身に付けて、自分でもできるようになるということは学習の基本であり、大切なことであるのは間違いありません。しかしそれだけではだめだと思うのです。


今回、『全国統一小学生テスト』を受験した生徒が大人になるころの社会は、現在より多様化し、高い専門性が求められるようになっているはずです。そこで直面する問題を自らの判断と行動で解決し、新たな一歩を踏み出していかなければならないのです。ですから、「習っていないからできない」と思考を止めてしまうのではなく、「教わったことはないけれど、今持っている知識を総動員し、さらに自分で考えて、自分なりの答えを出す」という姿勢を、小学生の間に身に付けて欲しいのです。


四谷大塚が「全国の子どもたちに勉強するきっかけを与え、未来のリーダーを発掘する」という目的を持って『全国統一小学生テスト』を実施し、単なる「知識・処理力」を試すのではない問題を作成しているのは、上記のような意図があるのだとお考えください。


『全国統一小学生テスト』の結果帳票は来週後半以降に、早稲田アカデミーに届き次第、お届けする予定です。「○がついていたらほめる、×だったら...」というのではなく、どれくらい「深く」考えようとしたのかをお子様にお聞きください。「自分なりに考えた結果、間違えてしまった」という場合には、ぜひほめてあげていただければと思います。そして、考え方の中で誤っていたところを指摘し、正しい方向で考えられるように導く...それが、小学生のお子様へ向けた学習指導の基本であると私は考えています。

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