四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『頭を空にして』

2016.02.19

先日行った小学校5年生の国語の授業のなかで「頭を空にして...」という表現を扱いました。「この言葉の意味が分からなかった人、手を挙げて」と聞いたところ、クラスの三分の一程度の生徒が手を挙げました。そのうちの一人を指名して読ませてみたところ、案の定「頭を『そら』にして...」と読んでくれました。表現を理解していた生徒から「えっ!?違うよ、『から』だよ!」と言われ、意味がわかっていなかった生徒たちは、「あっ!」という表情に...。


実はこういうところに国語学習のポイントがあったりします。「空」という漢字の読みが「そら」だけではなく、「から」もあるということを知っているか、知らないかという問題なのではありません。それよりも「頭を『から』にする」という表現に触れたことがあるかどうかが大切なのです。そして、文字を見たときに「頭を『そら』にする?うーん、なんかよくわからないな」「頭を...頭を...あっ!『から』にするだ!」と考えられるようになることが読解力の向上につながるのです。


昔の中学入試の問題で、「現実を目のあたりにして...」の「目」の読みを問う問題を見たことがあります。何名かの生徒たちが「め」と書いていたので、「○○中の入試問題で、『目』を『め』と読ませる問題が出ると思う?」と話をしました。「きっと何か違う読み方をするんだと考えなければ正解にはつながらないよ」と説明したのを覚えています。


国語の成績を上げるためには、読書が必要だとよくいわれます。もちろん読書が好きで、よく本を読むお子様が国語を得意としているのは確かです。しかし、読書をしなければ国語の成績が上がらないわけではありません。読書によって培われる力はたくさんありますが、特に小学生の段階で大きな要素を占めるのは「語彙力」です。


ここでいう「語彙力」とは、難しい言葉をたくさん知っているということではありません。日常生活の中で普通に使われている表現に触れた経験であり、その意味を漠然と理解していることです。それがあると、次にその表現を目にしたときに受ける印象が全然違うのです。そういった意味では、必ずしも読書だけが国語力を向上させるとは限らないわけです。特に先ほど述べた「頭を『から』にする」という表現などは、文字だけで見ていたら、ずっと「『そら』にする」と思い込んでしまう可能性もあります。どこかで「『から』にする」という音を聞くことで、それで気がつくこともあるはずです。


「語彙力」を高めるために一番大切なことは、「言葉についての感覚を高めること」、さらに「わからない言葉について自分で考えてみる習慣を身に付けること」の二つだと私は思っています。ご家庭での会話の中にもそのきっかけやヒントはたくさんあるはずです。お子様との会話においても、ちょっとお考えいただければと思います。

同じテーマの最新記事

2017.07.07 『この夏を成功させる5つの方法 ~第2回クローバーセミナーより~』
2017.07.05 『夏をなめるな。』
2017.06.30 「国語の学習に関して③ ~記述力・表現力~」
2017.06.28 「国語の学習に関して② ~読解力とは~」
資料請求はこちら