四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『基礎から学べる中学入試報告会②』

2016.03.16

先週の金曜日の記事の続編として、『基礎から学べる中学入試報告会』でお話しした内容について書かせていただきます。今回は後半部分の「今がどこにつながっていくのかを確認」「机上の学習だけでは対応できない中学入試」についてです。


①「今がどこにつながっていくのかを確認」

新年度がスタートして1~2か月が経過したちょうどこの時期、保護者の皆様の不安が大きくなることがあります。「新しい教材の使い方がよくわからない」「一週間の学習(宿題)がうまくまわらない」「通塾を始めたけれどなかなかペースがつかめない」「毎日机にはむかっているけれど成績が伸びてこない」...そんな不安や悩みをお持ちの方はきっと多いことでしょう。というよりも、ほぼ全ての保護者の皆様が多かれ少なかれ感じていらっしゃるのではないでしょうか。最終的な目標(中学入試というゴール)があり、そこに向けていくつものハードルを越えていかなければならないこが分かっているため、なかなか不安が解消されることはないはずです。ただ、「いまやっている学習がその先にどのようにつながっているのか」を把握し、理解することで、毎週の学習に対する不安は軽減されていくはずです。


「毎回の授業で習ったことは全てできるようにならなければならない」「その週に学習した教材は完璧に自分で解ける(できる)ようにならなければならない」、そんな風に考えていらっしゃいませんでしょうか。中学入試のカリキュラムでは、毎週の学習単元がその週だけで全て完結するわけではありません。形を変えて、さらには深く広くなり、その先にまた出てくることになります。「積み残し」として残ってしまった部分は、次に学習するタイミングで定着させればよいわけです。こういった話はよくお聞きになることと思いますが、実際にどのタイミングでどのように出てくるかを漠然とでかまいませんので、保護者の皆様にも知っておいていただきたいと考えています。早稲田アカデミーの保護者会では、そういった観点から、今後の学習予定などについてもご説明させていただいております。また、今お子様が使っているテキストの目次をご覧いただくだけでもご理解いただけることがあるはずです。


②「机上の学習だけでは対応できない中学入試」

「いまがどこにつながっていくのか」と考えたときの、ひとつのゴールは中学入試ということになるでしょう。とするならば、中学入試の問題をご覧いただくのもよいことだと思います。昨今、大学入試改革のニュースなどでは「脱知識偏重・思考力重視」というキーワードが使われることが多くなっています。しかしそれは、大学入試だけではなく、中学入試においても同様ですし、ある意味では大学入試よりも先んじて中学入試は「思考力を試す」問題に舵が切られています。もちろん基礎土台となる「知識」や「作業処理の力」を問う問題も出題されますが、以前と比較すると「思考力を試す問題」の比重は増えていますし、各学校の合否を決定するのはそのタイプの問題になってきているのが現状です。今回の報告会では、今年度出題された問題からいくつかピックアップしてご紹介いたしました。


慶應義塾中等部では「和食の配膳位置」「フランス料理が出される順番」が出題されていました。また、以前このブログでご紹介した桜蔭中で出題された「おせち料理」に関する問題に似たものもありました。桜蔭中では「田作り」の意味を問う問題だったのですが、慶應義塾中等部では「おせち料理に新たに加えたい一品」を考えて、その料理に結びつく「おめでたいこと・願い事」を書かせる内容でした。とても面白い問題で、発想力が必要です。この問題だけを取り上げれば、学年を問わずに考えることができるはずです。「昆布巻き=よろこぶ」「数の子=子供がたくさん生まれるように」という例が出題文では取り上げられていますが、「海老=腰が曲がるまで・長寿」「黒豆=「まめ(健康・誠実)」に生きる」というような意味も教えてあげたうえで、ご家庭で一緒に考えていただくのもよいかもしれません。お母様とじっくり話をしながら考えていけばいろいろな発想が出てくることでしょう。ただ、入試では制限時間内に(他の問題と併せて)考えることが必要です。非常に短時間でパッと思いつくことが必要なわけです。そのためにはやはり普段からそういった「発想力」を鍛えておくことが必要になります。「与えられた問題を教わった方法で解く」という学習だけでなく、「自らいろいろなことを考えてみる」ということも低学年のうちに養っておくことが大きく必要になってきています。実は、中学入試進学塾の指導も、昔のように「解き方を教えてトレーニングさせる」というだけではなく、「考える力を鍛える」という方向に切り替わってきています。さらに「自ら考える」ためには、「能動的に学習に取り組む(アクティブラーニング)」が必要であり、そのために「学習に対する前向きさ(やる気)」が大切なのは言うまでもありません。早稲田アカデミーの教育理念である「本気でやる子を育てる」が、昨今大きく評価され、中学入試から大学入試に至るまで合格実績を伸ばしているのは、こういった背景もあるのです。

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