四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『夏休みの絵日記、読書感想文』

2016.07.28

関東地方も梅雨明けとのニュースが入ってきました。例年よりも約1週間遅いそうですが、いよいよ夏本番というところでしょうか。7月の終盤に入ってもあまり夏らしい日差しになっていませんでしたので、ここから急に暑さが厳しくなると、体調も心配になってきます。皆様方も暑さ対策には十分ご留意ください。


私の担当している生徒たちは朝から元気いっぱいです。私自身は、午前中から授業があるときにはかなり早めに目覚まし時計をかけています。よく「目が覚めてから2~3時間経たないと頭がフル回転しない」といわれますが、授業をするときにはフル回転をしていないと生徒たちに圧倒されてしまうので...。


さて、夏休みの学習の進め方に関しては、ここひと月ほど、さまざまなことを書かせていただきましたので、今回は「表現力・記述力」というテーマで書かせていただこうと思います。


中学入試では、各科目で「記述式」の設問が出されます。国語だけではなく、理科や社会でも、場合によっては算数でも出題されることがあります。「記述が苦手でいつも空欄にしてしまう」というご相談を受けることもありますが、お話を伺ってみると苦手意識の原因はさまざまで、それぞれ対処法も異なります。


一般的に国語の説明的文章や、理科・社会の記述問題の場合、必要となるのは論理的な説明能力です。解答をつくる手順としては、問われていることの理由や結果をきちんと把握し、必要な語句を選別し、わかりやすく簡潔にまとめる、という流れになります。この流れに大きな違いはないのですが、「必要語句の選別」の部分では、科目によって選び方が異なります。国語の説明的文章であれば、文意・文脈を把握して、基本的には文中から重要語句を選ぶことになります。一方、理科・社会の場合は、今までに学んできた知識から必要なものを考え出す(思い出す)ことになるわけです。この解き方の手順が理解できていれば、記述問題を空欄にしてしまうことはほとんどなくなるはずです。また、出来上がった解答が文章として上手にまとまっていなくても、必要語句がきちんと選べていれば、部分点がもらえることもあります。


しかし、今回書かせていただきたい「表現力」とは、上記のような、ある種テクニック的な「記述解法」(記述問題の解き方)についてではありません。というのも、「知識偏重型からの脱却」「思考力重視」を目的としている「大学入試改革」の影響を受けて、最近は中学入試でも、自分の意見や考えを書かせるような記述問題が増えているからです。「言葉を探してきてまとめる」のではなく、「自分の頭の中にあることを言葉にする」という言い方がわかりやすいでしょうか。


このような「表現力」は、「解法テクニック」とは異なり、一朝一夕に身に付くものではありません。さまざまな場面でトレーニングをしていくことが必要になります。小学校で出される夏休みの宿題の「読書感想文」も、トレーニングとしては効果的なもののひとつです。単にストーリーを要約して「面白かった」「かわいそうに思った」などの感想で済ませる「読書感想文」ではなく、もう少し深く考えた「読書感想文」を書くことで、「表現力」のトレーニングにもなるのです。「読書感想文」を「表現力」の効果的なトレーニングとするためには、保護者の皆様の協力も必要です。といっても、大変な作業が必要なわけではありません。私がおすすめしているのは、「読書感想文」を書く前に、その本に関してお子様と会話をしていただくことです。


本を読んだ後、お子様方の頭の中にはさまざまなイメージや感想が残っています。しかし、それを原稿用紙に文章で表現するのは、小学生にとっては難しいことなのです。ぼんやりとしたイメージが頭の中で整理されていませんし、それを表現するための語彙も不足しているからです。お父様やお母様と会話することで、頭の中は少しずつ整理されていきます。そして、うまく表現できないような感情などは、使う言葉などを少しアドバイスしてあげてください。お子様と読んだ本についての会話をしていくきっかけとしては、「お母さんも読んでみようと思うんだけど」「どんな場面が印象に残った?」というように進めていただくのがよいと思います。あくまでお子様の感想を引きだすのが目的なので、誘導的に進めるのはよくないということも付け加えておきます。


また、最近の小学校では出されなくなっているそうですが「絵日記(日記)」も「表現力」を高めるためのトレーニングとしては効果的です。ただ、毎日続けるのはなかなか大変ですし、ともすれば形式だけのものになってしまいがちです。「今日は昆虫採集をした。カブトムシが3匹とれた。帰ってから塾の宿題をやった。」といった記述が続き、「日記」というよりも「日誌」のようになってしまうのが普通です。書く内容を充実させて、「表現力」の効果的なトレーニングにしていくためには、「お母様との交換日記」スタイルにするのもひとつの方法です。「もう一歩踏み込んで書いてほしい」というような場合には、お母様がそこに一言添えるようにするのです。「カブトムシ三匹!すごいね!楽しかったかな?」とか、「塾の宿題は大変だった?おもしろかった?」というような「問いかけ」形式で書き込んでいくわけです。お子様は「お母さんが読んでくれている」と思えばうれしいでしょうし、書くという作業にも、さらには「書くことを考える」というところにも力が入り、どういうことを書きこめばよいのかなども理解してくるはずです。

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