四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『以前と比べて...』

2016.10.07

今回は「お子様の叱り方」について書かせていただきます。お子様を叱るときやほめるときには、「他人との比較」はしない方がよいといわれます。たとえば、「○○ちゃんはできているのに」というような叱り方です。誰が聞いても「なるほどなぁ」「その通り」と納得する意見でしょう。自分に置き換えてみても、他者と比べられて欠点やできていない点を評価されれば、決してよい気持ちにならないはずです。


それでは、どのように叱ったりほめたりすればよいのでしょうか。私は、「過去のお子様の状況と比較して評価する」ということをお勧めしています。半年前にはできなかったことができるようになっていた場合、その成長した部分をほめてあげることで、お子様の「やる気」が高まるはずです。そして、お子様が伸びていくために必要な「自信」や「自己肯定感」にもつながります。


以前、小学校3年生の算数の授業で、フリーハンドで(定規を使わずに)まっすぐな線を書くのが苦手な生徒がいました。ノートに線分図を書く際、どうしても曲がってしまい、何度も消して書き直していました。その生徒は、ご家庭でもずっと練習したようです。ある授業のとき、少しうまくなっていたので「図を書くのがうまくなったね」とほめてあげました。一緒に少し前のノートと見比べて、「このときよりもずっと良くなっている」と話をしたところ、とてもうれしそうでした。そこから算数がとても好きになってくれ、それにともなって成績も向上していきました。


「うまくなった」と書きましたが、実はその時点でも標準的なレベルまでは到達していませんでした。クラスの中にはもっとうまく書くことができる生徒もいました。しかし、「以前よりもよくなっている」ことを評価せずに、他の生徒と比較をして「まだ足りない」と評価してしまえば、きっと悲しそうな表情になったことでしょう。


反対に、学習の仕方などに関しては、以前と比較をして「悪くなって」いる場合があるはずです。家庭学習に取り掛かる時間について、以前は約束した時間になるとすぐに机の前に座っていたのに、最近はなかなか始められない...小3から小4になると多くの保護者の皆様が感じる悩みのはずです。このようなケースでは、「前はできていたはずだよ」とお子様に指摘をして、なぜ今できなくなっているのかをご一緒にお考えいただくのがよいと思います。


成績データとして出てくる「偏差値」は母集団と平均点で決まる値です。つまり、他の受験者との比較によって出される値になります。入学試験もライバルとの競い合いになります。そう考えると「他者と比べて」という観点も必要なものではありますが、それは大人の視点です。特に小3から小4の発達段階では、友達やライバルを意識するよりも、親や先生という「上」の存在への意識が強い時期ですから、「誰かと比べられて自分の劣っている点を指摘される」ということは、自分のすべてを否定されてしまったように感じてしまう危険性もあるのです。


お子様は日々成長していますから、過去の状況と比較をすることで、きっとたくさん「ほめてあげる」ことができるはずです。

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