四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『愚痴と相談』

2017.12.13

先日、学生時代の友人と食事をしていたときの話です。その友人は大手企業で比較的高い役職についているのですが、「最近、部下からの『愚痴』なのか、『相談』なのか、わからない話が多くて……」という話をしはじめました。そこから、「愚痴」と「相談」についての議論になったのですが。


「愚痴」と「相談」の違い、皆様はどのようにお考えでしょうか。
私たちの結論は、「『愚痴』は聞いてあげるだけでよいもの」、一方で「『相談』は解決してあげることが必要なもの」というところに落ち着きました。言い方を換えれば、愚痴は話をしている本人も「解決するのは難しいとわかっているので、言っても仕方がない」と認識しているというようなものです。ただ、「誰かに聞いてもらいたい」という気持ちからの話ですので、話し手が聞き手を選ぶときにはそれなりの「信頼関係」が背景にあると考えています。


中学受験へ向けた学習を進めている小学生は、多かれ少なかれ、不安や悩みを抱えているはずです。そして、その不安や悩みを誰かに話したいときもあるでしょう。「塾に通っていない友人と比べると自分はなんでこんなに大変なんだろう」「勉強をちゃんとやっているのになかなか成績が上がらない」などという悩みは誰しもが抱えているはずです。そういった気持ちを誰かに話したいというときに、やはりまずはお父様やお母様へということになるでしょう。その背景にはやはり『親への甘え』や、『自分はこんなに大変なんだ』というアピールもあることと思います。


さて、そこでご留意いただきたいのが、その話が「愚痴」なのか「相談」なのかという点です。単に聞いてあげるだけで、ある程度気持ちがすっきりして次へと進んでいけるのか、根本的な「解決」が必要なのかを判断するのがポイントです。この点を間違えてしまうと、結果としてお子様のモチベーションを下げてしまうのです。


以前、「クラスがひとつ上がったら、授業のペースが速くて、問題も難しくて……」というお子様の悩みをお聞きになったお母様からご相談をいただいたことがあります。「このままそのクラスで続けても大丈夫か」というご不安と「できればもう一度もとのクラスに戻してほしい」というご要望でした。私はその場での即答を避け、お子様とお話しさせていただくことにしました。その結果、本心は「大変だけど、このまま上のクラスでがんばっていきたい」という気持ちだということがわかりました。「クラスをひとつ下げる」という解決策を求めての「相談」だったわけではなく、「自分が大変だ」ということ、さらには「大変だけどがんばっている」ということを、お母様にわかってほしいという気持ちから出た「愚痴」だったわけです。もし、このタイミングでクラスを下げてしまっていたら、きっとお子様の「学習へ向かう気持ち」も低下してしまったことでしょう。


お子様の話が「愚痴」だったとするのならば、そこへの対応策は「その気持ちに共感し、共有してあげる」ことだと思います。その気持ちを否定してしまえば、「聞いてほしい」と思っていたお子様は納得できないでしょう。「わかってあげる」というイメージが一番近いかもしれません。そういう意味では単なる「愚痴」だとしても、聞き流すことはできないはずです。ただ、本気で「解決」しようとすることがよくないケースもあるのだとご理解ください。


一方で、真剣な気持ちから出てくる「解決を求めての相談」の場合は、聞き手の側も真剣に解決策を考えることが必要です。


友人との会話の最後で、「ところで、部下からの話が『愚痴』か『相談』か、わからないことが多いっていう、最初の話って……『愚痴?相談?』」と問いかけたところ、「うーん……間違いなく『愚痴』だね」と。二人で笑い合って終わりました。

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