四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『令和』

2019.04.03

新元号が発表になりました。私にとっては(と言っても、このブログをご覧いただいている保護者の皆様もそうだと思いますが)人生で3つ目の元号となります。


テレビでの新元号の取り上げられ方などを見ていて、このブログで紹介するか少し悩みました。新元号を取り巻く背景や出典などは、テレビで専門家の方がさまざま語っていますので、私がここで書くようなこともないかと。ただ、校舎の職員から次のブログは「『令和』という題名で書くんですよね」と言われたので、やはり思いつくことを書かせていただくことにしました。


小6の3月終わりの授業で、「新元号に使われる漢字予想」というのをやってみました。生徒たちから出てきた文字は「陽・良・潔・清・快・安・光・希・開・元・栄」というものでした(実はこの中には私が予想した文字も含まれています)。「次の授業では、発表になっているから『答え合わせ』しようね」と話をしていたのですが、残念ながら正解は一つもありませんでした。


国語の授業で、「言葉のイメージ」「文字のイメージ」という話をすることがあります。漢字は表意文字(表語文字)なので、それぞれの文字には「イメージ」があるわけです。新しい元号として使われる文字ですから、当然「よくないイメージ」のものは選ばれないはずです。たとえば「暗・悪・罪・汚……」というような文字です。そんなことも「新元号予想」に併せて、授業をしたのですが、その観点から考えると「令」という文字は少し意外でした。過去に元号になったことがない文字ということもあるのですが、それ以上に「文字として『良いイメージ』」がはっきりしていなかった、というのが理由です。「令和」が発表になったあと、よくよく考えてみると、たしかに「よい」意味で使われることのある文字なのだと思いました。


さて、やはり私にとって気になるのは、「令和」が来年以降の中学入試でどのように取り上げられるかという点です。「時事問題」というと、社会や理科での出題が多い印象があります。国語という科目ではなかなか見かけることがありません。ただ今回の新元号「令和」は、いろいろなところが話題にもなっており、来年の入試問題では「東京オリンピック」と並んで、大きな「時事問題ネタ」として取り上げられそうです。


まずは、やはり『万葉集』。大伴旅人が書いたと言われる文章が引用元のようですが、日本最古の文学作品としての『万葉集』に関する問題はきっと増えることでしょう。「令和」以外の候補に挙がっていたものの中には中国の古典だけではなく、『古事記』『日本書紀』が出典というものもあったようですが、それらよりも『万葉集』は中学入試・高校入試においては、数段取り上げられやすいと思います。


そして「梅」に関する問題。「大宰府の梅」というと、菅原道真の「東風吹かば/匂ひおこせよ/梅の花/主なしとて/春な忘れそ」の短歌が有名ですが、そういった事柄に関する出題にも注意が必要でしょう。大宰府の「飛梅」に関する文章などを読んでおくのもよいかもしれません。


もうひとつ気になっているのが「令」という文字の書き方です。「令」という文字は二つの字体があります。一般に使われている書体で説明すると、「教科書体(中学校までの教科書で使われる字体)」と「明朝体もしくはゴシック体」のそれぞれで使われている字体が違うのです。実はこういった文字はいくつかあり、有名なのは「改」です。この文字の左側の部分(己)については、教科書体では「はねない」、明朝体やゴシック体では「はねる」となっています。常用漢字表では、「こういった場合はどちらを使ってもかまわない」ということになっているのですが、中学入試の場合は「教科書体」の書き方を使うように、と私は指導しています。


まだまだ、気になっていることもあるのですが、それはまたの機会に譲るとします。
新しい元号が決まったことで、さらにそれが「春」のこの時期に発表されたことで、日本中が明るくなったように感じています。元号が発表になった4月1日のお昼には、私は早稲田アカデミーの新入社員の入社式に参加していました。新元号の発表、初々しい新社会人たち、そんな中で私も新しい気持ちで、明るく前に進んでいく元気をもらったように感じています。

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