四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『国語を伸ばす』

2019.10.25

先日の「クローバーセミナー」の終了後に、「国語の成績を伸ばしたい」というご相談をいただきました。国語を学習していくときにはいくつかのポイントがあると考えています。「国語に対する苦手意識」を克服するためには、漢字や語句知識といったところから手をつけるというのも1つの方法です。基本的には「覚える」という暗記分野なので、時間をかけて学習をすれば比較的簡単に得点が取れるようになる部分です。努力が結果につながりやすいので、「がんばったら成績が上がった」という意識を持ちやすく、苦手意識を払拭することができるはずです。ただ、これでは本当の意味で「国語の成績を伸ばす」ということには直結しないでしょう。


「文章読解」の分野で正解の数を増やしていくためには、「読解力」と「得点力・解答力」という2つの方向での学習が必要です。上位学年になるにしたがって、設問に対して「どう考えるか」「どう答えるか」という「問題を解く力(得点力・解答力)」が必要になってくるのですが、その土台となるのは、やはり「読んで理解する力(読解力)」ということになります。今回はこの点にしぼって、以前にも書かせていただいたことはあるのですが、「読解の基礎力向上」のためのアドバイスをさせていただきます。


本質的な「読解力」と、中学受験の国語の問題を解く上で必要な「読解力」は少し違います。本当の意味での「読解力」はある程度長い文章(本)を読むことが必要になるのですが、国語の学習で必要な「読解力」は出題されている部分をしっかりと読みこなすことが必要になってきます。もちろん、その根底にあるのは同じものですから、国語の学習を進めることで、本質的な「読解力」も向上していくはずです。


さて、四谷大塚のテキスト(予習シリーズ)でも、それ以外の教材でも、中学受験のための学習をしていく国語教材に出題されている文章は、その学年の精神的な成長段階と比較するとレベルが高いものになります。たとえば、普通の小学生であれば目にしないような文章を読ませることになるわけです。経験を積んできている生徒であれば、もしくは精神的な発達段階が普通よりも高い生徒であれば、ある程度のレベルまでを理解することができるのですが、そうでないと書かれている内容を理解することそのものが難しい場合があります。しかし、そこには設問(問一、問二……)がついていますので、文意をとらえられていなくても、解かなければなりません。その結果、「文章を読む(=文意を理解する)」ということよりも、「問題を解く」という作業に懸命に取り組むことになってしまいます。文意がわからないままでも、なんとなく解ける問題もあります(細部に関する問題、接続語とか指示語とか……)。しかし、そういった解き方をしているだけでは、国語の得点は伸びてきませんし、得点にムラも出てきてしまいます。


今回の「読解力向上」のためのアドバイスは、まず「読む」ことができるようにするためのものです。もっとわかりやすく言えば、「読む」ということは「書かれている内容をしっかりと頭に入れる」ということであると認識していただくためのものです。


前述したように、いま現在使っている教材は、現時点の成長段階の一段階上のものなっていますから、それを読ませてもきちんと理解するのは難しいはずです。「読ませるための教材」として用意するのは、半年から一年前のテキストにしてください。いまの時点(10月)であれば、予習シリーズの上巻か、もしくは前学年の下巻あたりがよいでしょう。すでに1回扱っている文章なのですが、あえてそれを読ませるようにするわけです。そして、1番のポイントは「読む」ということです。教材には設問もついていますので、「せっかくだから問題も解かせてみようかしら……」と思われる保護者の皆様もいらっしゃるでしょうが、それをやってはいけません。問題に手をつけさせてしまうと、また「解くために読む」というところにお子様は意識がいってしまいます。「読む」という作業に集中できるように、「しっかりと文章を理解する」というテーマにしぼって読ませてあげてください。小3~小4であれば、読み終わった後に、「どのようなことが書かれていたか」を聞いてあげるのも効果的です。「読む力」というのは、スポーツの基礎トレーニングと同じように反復訓練が必要なものですので、できれば毎日、もしくは隔日で実施されるとよいでしょう。寝る前にベッドに入ってからでもかまいません。「勉強」というよりも「読書」というような感覚で毎日の生活習慣に入れてしまうことをおすすめします。


やっていただければわかるのですが、半年(一年)前に苦労していた文章がすっと頭に入ってくるはずです。お子様にとっても「しっかり読めた」という感触を得ることができますし、保護者の皆様にとっても、お子様の半年間での成長を感じることができるはずです。

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