四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『日記と親子の会話』

2021.03.05

まだまだ風が冷たく感じる瞬間もありますが、日差しはだんだん暖かくなってきました。「緊急事態宣言」は延長されてしまいそうですが、ワクチン接種も始まりました。私の家の近所に大きな公園があるのですが、急に工事が始まり「何事だろう」と調べてみたら、ワクチン接種の会場を急遽つくっているとのことでした。その工事現場の横には、ソメイヨシノよりも一足早く河津桜がきれいに咲いていました。


春、新学期を迎えてお子様と新しくなにかを始めようとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。私が小学生のときには「新学期から日記を書く」という約束をして、一年間書き続けた思い出があります。


日記を書かせるのは子どもの成長のためにはよいことだと昔から言われているようです。最近では、小学生の毎日が忙しくなったこともあり、日記を書くということ自体は学校ではあまり言われないようですし、文房具店でも「日記帳」というノートを見かけることが少なくなりました。ただ、保護者の皆様の中には、私と同じように、小学生のころにご自身で日記を書いていた(書かされていた)記憶のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。


日記を書くことが子どもにとってどんなプラスの効果があるのかを考えてみたいと思います。皆様もちょっとお考えになってみてください。余談になりますが、子どもにとって「良いと言われていること」でも、それが全てのお子様にあてはまるわけではありません。「良いと言われている」ことを単純にそのまま与えたりやらせたりするのではなく、その効果なども考えた上で、お子様の性格やタイプ、成長段階などに合わせて取捨選択をすることがとても大切です。さらに、その効果をきちんと理解しておけば、お子様に合わせて応用も効くようになるはずです。


さて、では日記の効用についてですが、まず「書く力(記述力)」の向上が思い付くのではないでしょうか。もちろん、毎日ある程度の文章を書くことによって、書くことそのものに対する耐性はついてくるはずですので、そういった点では効果はあるはずです。ただ、日記を書くだけで本質的な記述力・表現力がぐんぐん伸びるわけではありません。日記は書いているうちに、ある程度書き方のパターンが決まってきてしまうものです。そうなるとそれ以上の記述力向上は見込めないでしょう。


日記を書く効果としては、「一日をしっかりと振り返る」ということが挙げられます。何かを振り返って反芻するということは、ある程度、精神的に成長しなければできないことです。たとえば、「授業を復習する」という行為は小学生にとって、決して楽なことではありません。先生が話したことを瞬間的・断片的には覚えていても、その流れ全体をしっかりと反芻するのは難しいでしょう。日記を書くことによって、そういった「振り返る」という行為のトレーニングにもなるわけです。そこから精神的な成長にもつながっていきます。


そして、もう一つの効果としては、「日記に書くことを普段から考えるようになる」という点が挙げられます。実は、この点が一番大切なことだと思います。日記を書くことになっていれば、「今日はどんなことを書こう」と常日頃から考えるようになるはずです。毎日毎日同じようなことばかりを書いているのでは、お子様も飽きがきてしまうでしょう。昨日とはちょっと違うことを書こうと考えれば、いつもとは違った目線でいろいろなものを見るようになるはずです。最近の中学入試では、机上の学習における知識を問う問題だけではなく、お子様の生活に比較的近い位置にある「身近なもの」についての問題が出されることがあります。身近なものに対して興味を持ち、観察したり、「なぜ」と考えたりという習慣は問題発見能力へとつながります。与えられた問題を解決する力よりも、どこに問題があるかということを見つけられる力は、これからの将来において必要な力となってくるはずです。「思考力重視」の方向へ大きく舵がきられている大学入試もそういった考えにもとづいたものなのです。


身近なものに関心を持つようにするためには、日記よりも簡単な方法があります。それは親子での会話です。たとえば毎日の夕食時に今日あったことに関して、親子で会話をする習慣のあるご家庭があったとします。きっとお子様は、学校や塾でも何を話そうかと考えながら過ごすのではないでしょうか。もしくは何かに気が付いたときに、これをお母さんに話そうと思っていろいろと考えるはずです。そういった毎日が「考える力」を鍛えることにつながっていくのです。


「親子の会話」というと、「うちでは会話の時間はかなりとっているんだけど……」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。しかし、その会話の内容はいかがでしょうか。お子様が自発的にお話しになるような状態になっていますでしょうか。もちろん、親が一方的に話をすることはないでしょうが、むりやり聞き出すような形になってはいませんでしょうか。「今日は学校で何かあった?」「いや別にないよ」「じゃあ、塾では?」「特に……」という会話ではいままで書かせていただいたような効果は見込めません。


お子様が自発的にお話しされるような雰囲気をおつくりいただくのが大切です。そのためには、少し忙しくてもお子様が話を始めたときには、ぜひ耳を傾けてあげてください。自分が興味を持ったことに対して、お父様やお母様も関心を示して聞いてくれるということがわかれば、お子様はきっといろいろと話したいと考えるようになるはずです。


テーマを決めた会話よりも、雑談をしているときの方が頭脳は働いていると聞いたことがあります。いろいろな話題に関して、相手の立場も考慮しながら話すことで、頭は回転するわけです。そういった意味では、さまざまな人との会話も有効なはずです。お父様やお母様だけではなく、おじい様やおばあ様との会話などもいろいろな点において効果的です。授業の前後に私に話しかけてくる生徒もいます。時間がある限り耳を傾けるようにしています。けっこう面白い話をしてくれる生徒がいます。ご家庭でもお子様との「雑談」をぜひ楽しんでみてください。

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