四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『ほめて伸ばす ~「ほめる」の具体策~』

2020.12.23

私は、子どもは「ほめて伸ばす」のが基本だと考えています。もちろん、時には「叱る・注意すること」も必要です。ただ、叱られればお子様の気持ちは落ち込みます。前向きな気持ちが失われてしまうこともあるでしょう。大人になればある程度、精神的なタフさが培われ、叱られたときに「なにくそ!」と思えるようになるかもしれません。しかし、小学生のお子様がそういう気持ちになることはなかなか難しいのではないでしょうか。まして、それがお父様・お母様からだとすると……。


勉強をするためには、お子様自身の「やる気」が前提です。その「やる気」を引き出すためには、どんなお子様でも「ほめる」ことからスタートしなければならないのは、ある意味当たり前のことなのです。ところが、「ほめる」というのはなかなか難しいのです。お子様をお持ちの皆様は痛感されていることと思います。今回はそんなテーマになります。


「ほめる」という行為には具体的な行動や結果に対してすることもありますが、その前に、お子様の存在そのものを「ほめて」あげることも考えてみてください。「ほめる」というよりも「肯定する」というのが正しい表現かもしれません。


勉強に前向きに取り組めないお子様の場合、「自分はなにをやってもうまくいかないから」「どうせ自分はダメだから」と自分自身を否定してしまうような感情を持っていることがあります。自分への自信のなさであったり、自己肯定感の欠如であったり、そんな思いを持ってしまったお子様はかわいそうです。


どんなことでも、まずはお子様が「やればできる」と思うところからスタートしなければなりません。そのためには、親が子どもを、全人格的に認め、肯定してあげることが必要なのです。「大丈夫! あなたはやればできるから!」そんな表現で「ほめて」あげてください。


逆に、お子様自身のすべてを否定してしまうような言葉は避けなければなりません。以前にあるお母様がお子様に投げかけた一言について、意見させていただいたことがあります。それは「やっぱり、あなたはダメね」という言葉です。お母様にとっては軽い気持ちでかけた言葉かもしれませんが、その言葉を聞いたお子様はとても悲しそうな表情になりました。


「あなたはダメ」という言葉は自分のすべてが否定されたように感じるはずです。さらにそこに「やっぱり」という言葉がつくことによって、「前から思ってはいたけれど、やっぱり……」と聞こえるわけですから、お子様の気持ちは大きく傷ついてしまったのではないでしょうか。もし、それが親からではなく、塾の先生からなのであれば、クラスを変えたり、塾そのものを変えたりすることもできます。学校の先生であったとしても、抗議をすることも、場合によっては転校という手段もあるわけです。しかし、自分を否定したのが親の場合、お子様は悲しい顔で下を向くしかないのではないでしょうか。


お子様が自己肯定感を持てるようになり、「やる気」も生まれ、ある程度勉強が軌道に乗ってきたところでは、その「やる気」を継続できるように働きかけることが必要になってきます。そのためには具体的な行動や結果を「ほめる」ことが効果的です。ところがそれがなかなか難しいのです。


小学生のお子様の行動は大人の目から見れば、まだまだ物足りないところが多いものです。家庭学習についても、「もっと集中してほしい」「もっと長い時間がんばってほしい」、そう思うことがあるでしょう。そんなときは、半年前、2カ月前のお子様を思い出してみてください。きっとお子様が成長していることに気が付くはずです。過去のお子様を評価の基準とすれば、行動において「ほめる」べきポイントが見つかるはずです。万が一、過去と比較してよくないところがあれば、その点を具体的に注意すればよいのです。


テスト結果が返されたときに、得点や偏差値を見て「ほめる」「叱る」のは簡単です。前回よりもよい結果だったときや、目標としていた点数(偏差値)を越えているのであれば、手放しでほめてあげてもよいでしょう。予想外に悪かった場合は、お母様が悲しい顔をすることもときには必要です。


ただ、点数の良し悪しだけで、ほめたり叱ったりしていると、点数さえ取れていれば何をしてもいい、と思ってしまう危険性も出てきます。また、お子様が納得できないような「叱り方」(ほめ方もですが)をされた場合、学習に対する前向きな気持ちが損なわれてしまうこともあり得ます。そうならないためにも、結果を正しく「評価」してあげるようにしてください。結果に関しては「ほめる」「叱る」よりも「評価をする」と考えるとよいのではないでしょうか。「計算問題と一行問題がすべて正解だったのはよかったね」「記述問題で空欄を残してしまったのは、よくなかったね」というような「評価」です。「今回は漢字練習をしっかりしたから、満点をとれたね」という言葉の中には、直接的な「ほめる」言葉は含まれていませんが、お子様にとっては「がんばったね」「よくできたね」以上にうれしい言葉のはずです。

同じテーマの最新記事

2020.12.23 『ほめて伸ばす ~「ほめる」の具体策~』
2020.12.18 『一番大切な存在』
2020.12.16 『今年もサンタクロースは来る!』
2020.12.11 『新学年への準備』
2020.12.09 『受験生としての……冬』
資料請求はこちら
早稲田アカデミー