四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『「読み聞かせ」の効果』

2021.03.19

首都圏の「緊急事態宣言」が、予定通り今週末に解除されることになったというニュースを見ました。小学生にとっては、春休みを前にして、少し明るい話題かもしれませんが、感染者数はまだ大きく減っているわけではありませんし、「感染力の高い変異株」という話も出てきています。早稲田アカデミー各校舎においても、対策を継続してまいりますが、ご家庭でもお気を付けください。


今回は国語の読解力に関する話題を。


小3・小4の国語の授業を担当するときには、文章を私が読んで聞かせることがあります。俗にいう「読み聞かせ」です。その際のポイントとしては、あえてテキストを開かせずに、聴くことに集中させるようにしています。


国語の読解力の基本は、もちろん文章に書かれている内容を理解することです。文章内容を理解するためには、頭の中で文章を組み立てることが必要になります。実は、問題を解くために読むという意識が強くなってしまうと、頭の中に文章の全体像を構築する前に、「答えを書こう」という気持ちが先に立ってしまい、この部分がおろそかになってしまうことがあります。それが高学年になって、国語が苦手になる原因のひとつとなることもあるのです。


物語の「読み聞かせ」では、細かい部分よりも「あらすじ」を理解することがメインとなります。特に小3・小4の時期は、細部よりも全体をとらえる思考を養う方が大切ですから、時には効果的な手法になります。ご家庭でも、物語を読み聞かせた後で、登場人物やあらすじについていろいろと質問してみると、文章内容がどれくらい理解できているかを試すことができるはずです。


では、自分で文章を読ませるときには、「音読」と「黙読」のどちらがよいのでしょうか。「音読」にはさまざまな効果があります。文章を読むことに集中させる、声を出すことで元気になり、やる気も生まれる、物語の会話文などは感情をこめて音読することで心情理解につながる……などです。特によく言われるのは、自分の声を自分で聴くことで、単なる目で追いかける「黙読」とは異なり、より集中して脳が活性化するというものです。そして音読がうまくできるようになれば、文章を読むことそのものに自信が生まれます。さらに保護者の皆様が聴くことによって、思わぬ「つまずき」などに気が付くというメリットもあります。国語が苦手な生徒が「音読」をすると、助詞(て・に・を・は)を間違えることが多いのですが、それを矯正していくと、国語の成績が上がってくることがあります。


一方で、「音読」をする際に「正しく読む」ことだけに意識が向くと、字面だけを追ってしまい、内容理解が不十分になってしまう場合があります。お子様がどのような読み方をされているかは、音読をさせた後に、何が書いてあったかを確認してみるとわかります。同じような文章を読み聞かせたときと比較して、理解度が低くなってしまうことが往々にしてあります。文章全体をしっかりと理解するという読解力向上だけを考えると、「音読」よりは「読み聞かせ」の方が効果のある場合もあります。


最終的にはもちろん「黙読」をして、文章全体を頭の中に構築し、さらに細部にも注意が払えるような読み方が必要になってきます。「黙読」をしているのに、頭の中では音読をしていて、その結果、最後までいってもなにも頭に残っていない、そんな読み方にならないようにしてあげなければなりません。そのためには、いまお子様がどのように文章に触れているのかを確かめて、その段階で一番効果的な読み方をさせていくことが大切です。

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