四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『カナカナカナカナ……』

2021.09.08

先週から急に肌寒くなってきました。今年の9月上旬の低温状況は、1934年以来87年ぶりだとテレビのニュースで言っているのを耳にしました。夏期講習会は朝からの授業でしたので、帰宅時間も比較的早かったのですが、9月からは普段のスケジュールに戻りました。我々の仕事の場合、帰宅時間は比較的遅くなります。この時期、夜に駅から自宅までの道を歩いていると、秋めいた「虫の音」が聞こえてきます。


「虫の音」という表記を見たときに、お子様はどのように発音するでしょうか。「虫の『おと』」と読むことが多いのではないでしょうか。ここでは、やはり「虫の『ね』」と発音してほしいものです。


ところで、昆虫の仲間で「鳴く虫」はどれくらいいるのでしょうか。大人でも意外と知らない方もいらっしゃるようです。「コオロギ・キリギリス・バッタ」などの仲間と、「セミ」の仲間だけが「鳴く虫」ということになるのです。「虫の音(ね)」と表現されるのは、このうちの前者ということになるでしょう。「セミ」の鳴き声は、「蝉の音(ね)」とは表現せずに、「蝉の声」というのが一般的です。もちろん厳密にいえば、虫の発する音(おと)は、口や喉から発する「声」ではありませんし、「鳴く」という表現も微妙なところではあります。ただ、その音を「声」「鳴き声」ととらえるのは、やはり日本的な感性なのだと思います。


以前、「虫」の発する音を「声」としてとらえるのは、日本人とポリネシア人だけだという話を読んだことがあります。虫の発する音を、「右脳」「左脳」のどちらで処理をするかで、その違いが生まれるそうです。日本人とポリネシア人は、言語を処理する「右脳」を使うために、「声」としてとらえて「聴く」のに対し、それ以外の人々は、音を処理する「左脳」を使うために、「ノイズ」として「耳に入ってくる」というイメージなのだそうです。これは、虫の発する音だけではなく、「川のせせらぎ」「風の音」といった自然音全般にみられる傾向ということでした。


文部省唱歌の「虫のこえ」という歌はいまでも小学校で扱われているのでしょうか。


あれ、松虫が鳴いている。ちんちろちんちろ、ちんちろりん。
あれ、鈴虫も鳴き出した。りんりんりんりん、りいんりん。
秋の夜長を鳴き通す。ああ、おもしろい虫の声。


きりきりきりきりきりぎりす、がちゃがちゃがちゃがちゃくつわ虫。
あとから馬追い追いついて、ちょんちょんちょんちょんすいっちょん。
秋の夜長を鳴き通す。ああ、おもしろい虫の声。


日本語の特徴のひとつとして「擬声語」「擬態語」の豊富さが挙げられることもあるようですが、ほぼ「擬声語」だけでつくられている歌もなかなか珍しいと思います。


蝉の鳴き声も「擬声語」で表現されます。
「カナカナカナカナ」と表現される蝉をご存じでしょうか。夏の夕方に鳴くというところから、「ヒグラシ」という名前がつけられています。この蝉の「声」を聴くと、夏の終わりの「切なさ」を感じるような気がします。四季の移ろいの中の「自然音」に情緒を感じるのも、やはり日本的な感性なのでしょうか。

同じテーマの最新記事

2021.09.08 『カナカナカナカナ……』
2021.09.03 『小学生の見えている範囲』
2021.09.01 『さぁ、二学期!』
2021.08.27 『読解力を構成する力』
2021.08.25 『父として』
資料請求はこちら
早稲田アカデミー