四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『ほめる、しかる、はげます』

2017.09.15

子育てにおいては「ほめる、しかる」が大切であるとよくいわれます。さらに小学生の塾も含めた習い事では「ほめる、しかる」に加えて「はげます」という3つの要素が必要になるともいわれています。この点に関しては私も全面的に賛成です。小学生は、親を含めた周りの大人からの「評価」をとても気にします。そのため大人の「声の掛け方」によって気持ちが大きく上下に振れてしまうのです。


進学塾においても、子どもへの「声掛け」がうまい先生は成績を上げることができる、という傾向があります。ちょっとした「声掛け」によって、生徒の気持ちが前向きになり、自ら進んで学習に取り組むようになるからでしょう。「成績を上げて志望校へ合格させること」が進学塾講師の役割だとするならば、「教えることがうまい」というのももちろん必要な要素ですが、「生徒のやる気を引き出す」というのはそれ以上に大切なことだと思うのです。


では、「声掛け」や「ほめる・しかる」がうまい講師が共通して持っている資質は、どのようなものなのでしょうか。一番は「子どもの気持ちに寄り添うことができる」ということです。子どもがほめて欲しいときにほめる、しかられるなと感じているときにしかる、そんなイメージです。逆を考えてみればよくわかるはずです。テストで好成績をとって「ほめて欲しいな」と考えているときに、逆にしかられてしまえば、上向いていた気持ちは一気にしぼんでしまうことでしょう。悪い成績で「しかられる」と感じているときに、何も言われなければ、「見捨てられた」という気持ちになってしまうこともあるかもしれません。お子様と接するときには、今、お子様がどのような気持ちかを考えることで、「ほめる・しかる」はより効果的なものになると思います。


さて、「ほめる・しかる」より難しいのが「はげます」です。まずお子様の心的状況に視点をすえて、「はげます」必要がある場合を考えてみましょう。はげまさなければならない場合、お子様の気持ちは沈んでいるはずです。努力をしたのに結果が出なかった、そんなときではないでしょうか。そのようなときにどう接すれば、お子様の気持ちは上向きになるのかを考えていただきたいのです。


はげますためにパッと思いつくのは「がんばれ」「がんばって」という便利な言葉です。ただこれらの言葉は、私にとっては「はげます」ための言葉ではなく、単なる「あいさつ」のようなものです。校舎の前で、授業にきた生徒に「よし、今日もがんばろうね」、そんな風に使う言葉というイメージです。落ち込んでいるお子様の多くは、すでに「がんばっている」のです。それでも結果が出ない、なかなかうまくいかない、そんな状況でしょう。そんなときに、さらに「がんばれ」という言葉を掛けられても、気持ちが前に向くはずはありません。ときには「もうこれ以上がんばれない」という気持ちになって、より深く落ち込んでしまう可能性もあると思うのです。


では効果的に「はげます」ためには、どうしたらよいのでしょうか。やはり子どもの視点に立って「共感」することだと思います。「成績が上がらない」「うまく家庭学習が進まない」という事実だけではなく、そこから生まれてくる気持ちをとらえて、そこに「寄り添う」というイメージです。単に落ち込んでいるというだけではなく、そこにはいろいろな気持ちが生まれているはずです。「何をやってもうまくいかない苛立ち」「自分に対する不甲斐なさ」「親の期待に応えることができない情けなさ」「自分には難しい(と思われる)勉強をしなければならない負担感」「友人にはできる問題が解けない悔しさ」などなど……。それらの気持ちをしっかりとらえてあげることが「はげます」ためのスタートラインだと思うのです。そして気持ちに「寄り添う」ことができると、子どもは安心してくれるはずです。「自分のことをわかってくれている、いつも応援してくれている」という気持ちはどんな言葉よりも、強い「はげまし」になるのだと、私は考えています。


大きなテストに向う前には、お子様をハイタッチで送り出すというお話をあるお母様から伺ったことがあります。試験会場まで送っていったところで、右手と右手をパンと合わせて門から送り込むというお話しでした。「お母さんが自分のことを応援してくれている」という気持ちを一瞬でつくることができる効果的な方法だと思います。単なる言葉だけではなく、スキンシップは心に響くものだという話を聞いたことがあります。中学入試本番で、早稲田アカデミー職員は学校の校門前で「握手」で受験生を激励しています。いくつもの言葉よりも、固い握手の方が受験生の心に響くようにも思います。


早稲田アカデミーのホームページで「秋フェス」の受付が始まっています。今年度第3回目となるクローバーセミナー(10/18四谷区民ホール)では、「子どものやる気を引き出す ~モチベーションコントロールとメンタルケア~」と題して、本日のテーマである「ほめる、しかる、はげます」という内容にもより詳しく触れさせていただきますので、ぜひお越しください。

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