四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『ウソ② ~言葉の裏にある心理~』

2019.12.04

前回の記事で、子どものウソは「とっさに口をついて出てしまう言葉」であり、自己保身的な意識が(もしくは無意識の中でも)そこにはあるという内容を書かせていただきました。今回の記事ではその点に関して、さらに詳しく触れ、その裏にある心理についてもお話しさせていただきます。


叱られることを避けるために、もしくは叱られているときに、とっさに口をついて出る言葉は、「その場しのぎ」でしかないことが多いはずです。「叱られたくない」「なるべく早く許してもらいたい」という意識の中で、本来は思ってもいないことが口から出てしまうケースは、保護者の皆様も経験したことがあるのではないでしょうか。


塾がある日に友達と遊ぶ約束をしてしまい、お母様には塾に行くふりをして、友達と公園で遊んでいた生徒がいました。早稲田アカデミーからの欠席連絡(事前にお休みの連絡をいただいていない場合に、ご家庭に確認をさせていただく電話)で事態を把握されたお母様が遊んでいるお子様を公園で見つけて、そのまま校舎に連れていらっしゃいました。私も一緒にお話しさせていただいたのですが、厳しく叱っているお母様に対して、お子様は「もう二度と友達とは遊ぶ約束をしない」ということを言い出しました。お母様はその言葉を信じて「それをちゃんと約束しなさい!」とおっしゃったのですが、私はそれをお止めしました。小学生にとって「友達と遊ぶ」というのは、言うまでもないですが大切なことです。もちろんそのお子様も「友達と遊ぶ」ことをやめてもいいとは思っていないはずです。ただ、その瞬間は「もうこれ以上叱られたくない」という思いから、さらには「自分が悪いことをした」という反省の思いから、「極端な」ことを言い出してしまったわけです。「そんなことをしたくない」という自分の本心よりも、「いまこの瞬間のお母さんの怒りを鎮めたい」という気持ちが上回ってしまったための言葉なのだと思います。そういった「その場しのぎ」の言葉を真に受けてしまうと、また「約束を守れていない」「ウソをついた」とお子様を責めなければならない事態につながってしまうこともあるはずです。


「その場しのぎの言葉」にしても「自己保身的なウソ」にしても、お子様自身が精神的に成熟していないことがその背景にはあるはずです。ある程度「大人」になってくれば、「すぐにバレるウソ」をつくことはなくなるはずです。また「できるはずのない約束」をすることもなくなるでしょう。その「ウソや約束」の先が見えるようになってくるはずですから。ただ、叱られることに対して「強い怖れ」や「不安感」を持っている場合は、なかなかその癖(ウソをついたり、その場しのぎのことを言ったりするという)から脱することができない場合があります。「とっさに口をついて出てしまう言葉(ウソやごまかし)」の背景には、そもそも「不安感」があるはずです。その「不安」が大きいお子様ほど、そういった「癖」から抜け出すのには時間がかかるのです。


まず保護者の皆様にご留意いただきたいのは、お子様に「安心感」を与えていただくことです。「悪いことをしても叱られない」という「安心」ではなく、「悪いことをしたら叱られるけれど、それでも自分を認めてくれるはずだ」という意識です。言い換えれば「人格的に認めてくれている」という「自己肯定感」につながる安心とも言えるでしょう。そのためには、まずお子様の気持ちを受け止めてあげることが大切だと思うのです。「子どもにウソをつかせるのは大人の責任」という言葉を聞いたことがあります。「ウソをつく」という行為そのものは決して認めることができるものではありませんが、その背景にあるお子様の気持ちを理解し、受け止めてあげることも必要だと考えています。

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