四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『1分の大切さ』

2021.01.08

新型コロナウイルス感染症の拡大が続き、一都三県では「緊急事態宣言」が発出されました。一方で、現段階では「学校の一斉休校」という措置はとられずに、1月16日から実施される「大学入学共通テスト」も、感染防止対策を徹底した上で、予定通り行われるようです。気になる中学入試の動向も、ほとんどの学校で「予定通り」となるのではないでしょうか。


すでに帰国生入試や千葉県の第一志望入試は昨年から始まっていますが、本格的なスタートは今週末(1月10日)の埼玉県内私立中入試ということになります。各学校のホームページを拝見するとさまざまな感染防止策が打ち出されています。受験を予定されている方はご確認いただき、受験会場に向かっていただければと思います。


さて、上記のように、いよいよ「中学入試本番」が始まります。小6受験生の冬期講習会や正月特訓では「1分間で何ができるか」を必ず話すようにしています。少し紹介させていただきます。


テストを受ける前に「最後まであきらめないように」とか「時間ギリギリまでしっかりと見直しをして」、というような言葉をかけることがあります。ただ、それらの言葉だけではなかなか効果が出ない場合があるのです。特に小学生の場合、「あきらめないように」と言われても「見直しをしなさい」と言われても、なかなか具体的な行動に結び付かないことが多いのです。結局、自分ができる問題を一通り解き終わり、残り時間が数分くらいだと、手を止めてしまって時計を見ながら過ごすような生徒も少なくありません。


そこで私は、「1分間の長さ」を体感させるところからスタートします。「いまから先生が1分間を計るから、『はじめ』と言われたら目を閉じて、『やめ』と言われたら目を開けなさい」ということをやってみるわけです。


保護者の皆様も実際にやってみていただけるとお分かりになるでしょう。タイマーを「1分」にセットして試してみてください。かなりの長さを感じると思います。「1分間でできることはたくさんある、とわかったはず。試験は、最後の1分間で勝負が決まると思って、そこを大切にしなさい」という話に続けます。


今年度担当しているNN慶應普通部クラスの正月特訓でもやってみました。特に慶應普通部の算数の問題は、処理能力が問われます。試験時間40分間で平均13問の問題を解くことが求められます。単純計算で1問3分ということになります。私は「1問にかけられる時間は2分30秒。初めの15秒で解ききるまでの道筋を考えて、考えついたらそこから手を動かして、2分15秒で答えまでたどり着くように」という指導をしています。この解答まで行き着くスピード感は、学校によって異なるものですが……。


「満点が狙える試験」の場合は、「見直し」という手法は効果があります。比較的取り組みやすい試験(テスト)ということになりますから、時間的にも余裕があるでしょう。残った時間を使って「見直し(解き直し)」も余裕をもってできるはずです。また「満点が狙える」ということは、「ミスが許されない」ということにもなりますからから、「見直す」ことが必要にもなるのです。


しかし、中学入試の問題は「満点が狙える試験」ではありません。制限時間ギリギリまで一つでも多くの問題に立ち向かっていくことが必要なはずです。この場合「見直しをしなさい」という言葉にはあまり効果がないのです。私は「自分の計算を見直す時間なんてないはずだから、一度できちんと正しい答えを出しなさい」という指導をしています。


さらに、もし少しでも時間が余った場合に、何を見直すかという点については、「設問文を読み直す」ようにと指導しています。試験時間中に「自分のミス」を客観的に見直すことは難しいはずです。自分が一度正しいと思って書いた答案(たとえば、計算過程など)ですから、見直したとしてもなかなかミスを見つけることはできないのが普通です。国語の記述などは「誤字脱字がないかを読み直す」という作業には効果がありますが、それ以外では、自分の答案を見ることでミスを見つけるのは難しいはずです。


一方で、設問文を読み直すと「ミスに気付く」ことがあります。特に入試本番の緊張した状況では、設問文中の条件などを読み飛ばしてしまったり、問題を速く解こうと焦って「思い込み」で解いてしまったり、ということがよくあります。国語の選択肢問題で「不適切なものを選びなさい」と書いてあるのに、「適切な」ものを一生懸命考えたり、算数の文章題で「父の年齢」が問われているのに、「母の年齢」を答えてしまったり、というような「ミス」は、受験生であれば誰もが一度は経験したことがあるでしょう。こういった「ミス」は最後の「設問の見直し」で防ぐこともできるはずです。


いよいよ始まる首都圏中学入試。例年とは異なる環境の中で行われることになりますが、受験生たちにとってはここまで目指してきた「大きな目標」であることは変わりありません。それぞれがここまで培ってきた実力を100%発揮して、悔いなく入試を終えられるように、そしてその先の「輝かしい次のステージ」へと胸を張って進めるようにと、心から願い、応援してまいります。


非受験学年の皆様もぜひ、早稲田アカデミーの中学受験生たち、さらには全国の中学受験生たちを応援してあげてください。

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