四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『「ごめんなさい」と「ありがとう」』

2021.03.24

春らしくなってきました。電車の中でも、コートを着ていない方が増えてきました。
「緊急事態宣言」は先週末で解除になりました。春を迎えるにあたってはよい知らせだとも思うのですが、まだまだ気を許すことはできないようです。早稲田アカデミーでも、春期講習会を実施するにあたって、今まで継続してきた「感染症対策」をしっかりと行っていくことになっています。お子様方にも「マスク着用」「手洗い・手指消毒」などを徹底していただくように、ご家庭でもお伝えいただければと思います。


お子様が何か失敗してしまったとき、当たり前ですが「ごめんなさい」という言葉を口にすると思います。今回は「ごめんなさい」について。


たとえば、叱られたときに口にする「ごめんなさい」ですが、そこには二通りの「ごめんなさい」があると考えています。自分の行動について反省して、何が悪かったのかを理解した上で発する「ごめんなさい」と、相手が怒っているので、その怒りを鎮めるために発する「ごめんなさい」の二つです。


宿題をきちんとやっていなかったことがバレて、お母様に叱られているときの「ごめんなさい」を想像してみてください。やらなければならないことをやっておらず、さらに「ちゃんとやっている」とごまかしていたとしましょう。なぜ宿題をやらなければならないのか、きちんとやらなかったのはなぜなのか、ごまかすことがどうしていけないのか……そういったことが理解できて、「自分の行動」を反省しての「ごめんなさい」であれば、次に同じことをする可能性は低くなります。


しかし、相手の怒りを鎮めるためだけの「ごめんなさい」は、自分の行動に対する反省が含まれていないので、結果として同じことを繰り返してしまうケースが多いようです。「のど元過ぎれば……」という感じでしょうか。


「ごめんなさい」に対して、「何がごめんなさいなの?」という質問をされる方もいらっしゃるでしょう。「宿題をきちんとやらなくて、ごめんなさい」「ごまかして、ごめんなさい」というように、自身の行為に対して「ごめんなさい」であることがはっきりと出てくれば、それは前者(反省と自分のよくない行為に対する認識がある状態)と考えることができます。


一方で後者の場合は、「怒らせて、ごめんなさい」といった、相手の行為や感情に対する「ごめんなさい」が出てくることがあります。「ボクが悪いんです」といった曖昧な表現になってしまうこともあります。また、何かをまだ隠したい場合やごまかしたいものがある場合などは、曖昧な「ごめんなさい」になってしまうこともあるようです。いずれにしても、自身のどの行動が悪かったのかを、きちんと認識させることが必要ですし、それができているかを確認することも大切だと考えています。


「ありがとう」の場合は、その逆です。
「ごめんなさい」は自分の行動に対して発する言葉ですが、「ありがとう」は他者の行動について発する言葉になります。


机の上の飲み物を不注意でこぼしてしまったとき、「ごめんなさい」という言葉を口にしないお子様は少ないでしょう。もちろんこの段階で「こぼした」という事実だけではなく、そこに至る自身の行動(事実の要因)まで考えていての「ごめんなさい」であれば、よりよいのですが、そこまでは求める必要がないと思います。「よそ見をしていてごめんなさい」「ふざけてしまってごめんなさい」というような要因に対する「ごめんなさい」ですが、それはここではおいておきましょう。


当然、その後、こぼした飲み物を片付けることになります。割れたコップの処理も必要かもしれません。それを親がやってくれたとしたら、そこで「ありがとう」という気持ちが芽生えてほしいと思うのです。自分の失敗を許してくれて、カバーしてくれたことに対する感謝、そんな思いが持てるようになれば、精神的な成長だとお考えいただいてもよいでしょう。


「協働性・協働力」という言葉が、現在の教育におけるキーワードのひとつとなっています。小学生時点では「協力して働く力を育む」というよりも、その土台となる「他者理解の力を身に付けさせる」という点から始めるべきだと考えています。他者の考えや感情を理解しているかどうかが、「ありがとう」という言葉につながってくるようにも思うのです。


できれば、「ごめんなさい」よりも「ありがとう」をたくさん口にできる子どもになってほしいと思っています。

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