四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『読む力を高めるために』

2017.09.20

夏休みの終盤に早稲田アカデミーでは、小4・小5を対象とした「記述力模試」がいくつかの拠点会場で実施されました。私は津田沼会場で解説授業と保護者会を担当させていただいたのですが、その保護者会の中で『自分で書くことができなければ、他人の書いた文章をしっかりと理解し、読むことはできない』ということについて少し触れさせていただきました。


自分で書ける文章のレベルが低いと、レベルの高い文章をしっかりと読んで理解することはできないものです。概ね読んで理解できる文章は、自分で書くことができる文章の一段上のレベルまでではないでしょうか。たとえば、小学校5・6年生レベルの文章が書けるのであれば、中学生レベルの文章まで読みこなせる……というイメージです。そして、一段階高いレベルの文章を読み込んでいくことによって、そのレベルの文章が書けるようになり、次にはもう一段階高いレベルの文章が読めるようになるわけです。


当たり前のことですが、「書く」ことと「読む」ことの間には緊密な相関関係があります。一つひとつの言葉の使い方や語彙的な知識もそうですが、ひとつの文の中でのつながり(主語述語のつながりや係り受けetc.)や文脈全体の構成……文章を書くためにはいろいろな思考が働いています。そう考えると「文章を書く」というトレーニングは非常に高いレベルの学習だとご理解いただけると思います。


さて、小3・小4の段階ではどのように「文章を書くトレーニング」をすればよいのでしょうか。実は、この時期、「書く」ことに対しては、お子様によって大きな差があります。テストの成績がよいお子様が、文章を書くことがうまいわけでは決してありません。小4までのテストは「覚える」ことによってある程度得点をとることができてしまいます。そのため自分なりの覚える方法を身に付けていれば好成績を残すことができるのです。しかし「書く」ということは、前述の通り高いレベルの思考過程が必要なので、すぐには結果として表れません。ですから、どんな段階のお子様にもいえることですが、「書く」トレーニングは継続をすることが絶対に必要なのです。「日記」でもかまいませんし「読書ノート」でもかまいませんが、3日坊主にならないように、無理なく継続できるものがよいでしょう。もちろん毎日である必要はありませんし、長い文章を書く必要もありません。お子様自身が負担に感じてしまえば、逆効果にもなりかねませんので、その点はご留意ください。


ひとつのアイディアをご紹介します。『なんでも感想ノート』というのはいかがでしょうか。もちろん『読書感想文』や『読書感想ノート』でもよいのですが、その場合はまず読書をしなければいけません。また『日記』だと、その日にあったことを思い出して、書く題材を決めなければなりませんから、その時点で面倒に感じてしまうお子様も多いと思います。また、次第に書くことがなくなり、同じような日記になってしまうことも多いでしょう。その題材選びを楽にするのが、『なんでも感想ノート』です。なんでもかまわないので、それについての感想を書けばよいのです。場合によってはお父様、お母様が題材を選定してあげてもかまいません。


見たテレビ番組の感想、晩ご飯のおかずについての感想、習い事の感想……実はそう考えると書く事柄は毎日たくさんあるわけです。そして、このノートがうまく活用されていけば、お子様は毎日の生活の中で『そうだ! これをノートに書こう!』と思うようになっていきます。注意力や好奇心にもつながり、文章を書く力だけではなく、そういった部分にも好影響がでてくるはずです。参考になさってみてください。

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