四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『新傾向問題と「公開組分けテスト」に向けて』

2021.01.22

1月20日(水)から、千葉県の私立中学入試が行われています。例年ですと、私も「入試応援」に行っているのですが、今年は新型コロナウイルスの影響で受験会場の前での激励は「自粛」となってしまいました。早稲田アカデミーで講師を始めてから、早朝の受験会場での「激励」は毎年のことでしたので、今年はどこか物足りなさが残っています。その分、校舎の授業・毎日の声かけに想いを乗せて……と思って過ごしています。


前回の記事では、大学入学共通テストの国語について少し書かせていただいたのですが、中学入試でも「新傾向」の問題が今年は目立っています。1月20日(水)に行われた千葉県の市川中学の国語では、大問[1]には説明文、大問[2]には物語文が出題されました。ここまでであれば、今までと同じタイプの問題なのですが、なんと大問[3]の記述では、[1]と[2]の文章を関連付けて記述させる問題が出題されていました。[1]でテーマとして書かれている子どもの精神的成長段階を踏まえて、[2]の登場人物の成長段階を考えさせるという設問でした。同じテーマの説明文を二つ読ませて、共通点や論点の違いを考えさせるような問題は過去に見たことがあったのですが、このスタイルの問題は、私の記憶にはありません。


時事問題として、「新型コロナウイルス感染症」「オリンピック・パラリンピック」「生活の新様式」「国連機関(SDGs・WHO・WFP)への注目」などが挙げられることが多くありますが、「大学入学共通テスト」施行に代表される「教育改革」、そこからの「思考型問題」なども、ある意味で「ひとつの時事問題」といえるようにも思います。


受験生へ向けては、「教育とか試験とか、そこで求められる力や試される力が大きく変わってきている。だから、どんな問題が出題されても焦らずに、目の前の問題に全力で!」というメッセージを伝えるようにしています。まだまだ入試は続きます。これからの入試問題にも注目しています。


さて、非受験学年の皆様は1月23日(土)・1月24日(日)に、新学年に向けた四谷大塚の「公開組分けテスト」が各学年で実施されます。早稲田アカデミーにお通いの場合「必修テスト」という扱いになっていますので、塾生全員にお受けいただくことになるテストです。現在小学3年生(新小4)の生徒にとっては、初めての外部会場でのテスト受験となります。早稲田アカデミー各校舎でも「小4に向けて大切なテストだからがんばれ!」と話をしているはずですから、気合が入っていると同時に、緊張しているお子様もいらっしゃるのではないでしょうか。


上記の中学入試でもそうですが、小学生にとってテストで一番大切なのは、「自分の実力を100%発揮する」ということです。成長段階にある小学生の場合、そのときの精神状態がテスト結果に影響することが多くあります。テストの朝、お母様とケンカをしてしまって結果がよくなかったというような話はよく聞きます。また、よい点数をとりたくて焦ってしまい、できる問題でミスを連発してしまったというようなことも起こりがちです。テスト前には、「平常心で」「自信を持って」「落ち着いて」などと言った激励の言葉をかける方も多いと思いますが、それは「持っている実力をすべて出してもらいたい」というところからのお言葉だと思います。


テストで実力を発揮するためには、「テストを解くコツ」も必要になってきます。学力的に到達していない問題はテスト会場でいきなり解けるようにはなりませんが、できる問題でミスをしてしまったり、時間が足りなくなくて解ききれなかったりというようなことがないように、「テストを解くコツ」を伝えて、身に付けさせるようにすることもときには必要になってきます。その「コツ」は科目ごとにさまざまありますが、小学3年生で、今回初めて大きなテストを受験するのであれば、次の二つのポイントを、お子様にお伝えいただければよいかと思います。


①「わからない問題はとばして、次の問題に進みなさい」
小3~小4で一番陥りやすいのは、難しい問題に時間をとられ、最後まで解ききれなかったというものです。どうしても、はじめのうちは問題を最初から解いていこうとします。途中でひっかかってしまうとなかなか先に進めず、時間が足りなくなってしまうことがあります。さらに、時間が不足するだけではなく、できない問題があったことで気力まで失われて、その先の問題(場合によっては次の科目にまで)に集中できなくなってしまうことも往々にしてあるようです。そういう事態に陥らないように、テストを受ける前に「わからない問題はとばして、次の問題に進んでいいのよ」とお伝えいただければと思います。


四谷大塚のテストの問題構成には決まったパターンがあり、算数は順番に難度が高くなるようにつくられています。ですから、基本的には前から順番に解いていけばよいはずです。一方、国語では、知識や漢字は文章題の中ではなく、独立問題として出題されているケースがほとんどです。一般的には知識・漢字から解き始める方が得点はとりやすいはずですので、そのように伝えてあげてください。


②「設問文をよく読んで、何を答えるのかを間違えないこと」
算数で「兄の年齢」を問われているのに、「妹の年齢」を答えて×をもらうというケースがよくあります。国語でも「あてはまらないもの」を選ばせるのに、「正しいもの」を必死に探しているという生徒を見かけることもよくあります。「答え」として解答欄に書くべきものを間違えてしまうと、考え方や解き方は正しいのに×になってしまいます。まずは設問の中から「何を答えるのか」をしっかりと把握するようにご家庭でもご指導ください。


この点に関しては比較的簡単にご家庭でもトレーニングができます。算数でも国語でも、設問を読んで『問われている部分』に線を引くような練習をすればよいだけです。たとえば、「傍線3『こうしたなか』とありますが、どのような『なか』をさしていますか。本文中の言葉を使って四十字以内で答えなさい」という設問の「どのような『なか』」に線を引くだけです。算数であれば「これらの分数の中で一番小さいものを求めなさい」で「一番小さいもの」に線を引けばよいのです。もしよろしければ、テストの前日に10分間程度やってみてください。


テストで実力を発揮できなければ、実力通りの結果は返ってきません。そこで一番心配な点は、お子様ご自身の中で「その結果が自分の実力なのだ」と思ってしまうことです。どんなテストでも実力が発揮できるように、練習を積み重ねていくことは、学力を伸ばすのと同じくらい重要なことです。


2月から新学年としてスタートする「カリキュラムテスト(土曜隔週の単元テスト)」の目的のひとつとして、テストで実力を発揮していくアウトプットトレーニングがあります。毎週のテストで練習を積み重ねていくことで、「公開組分けテスト」や「全国統一小学生テスト」でも実力通りの結果を出せるようになり、それが自信にもつながっていくはずです。

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