四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『時間単位の学習密度』

2021.09.10

早稲田アカデミーでは、9月2日から新学期がスタートしました。新型コロナウイルスの全国的な感染拡大を受けて、さらに「デルタ株」の若年層への感染・発症などの状況を受けて、全学年・全クラスで「双方向Web授業」での授業展開となっています。ご家庭での視聴参加となっていますから、教室での授業とは異なり集中力の持続などが懸念されますが、各校舎・各クラスで担当講師が工夫をしながら授業を進めていますので、学習進度や学習効果などについてはご安心ください。早稲田アカデミーでは、昨年の春にも全クラス「双方向Web授業」を展開してまいりました。その後も「早稲アカDUAL」として、タブレットを使用しながら授業を進めてきてまいりましたので、講師も慣れていますし、Zoomならではの指導法も取り入れています。私も昨年の初めは慣れないところもあったのですが、最近では楽しく、タブレットの機能もさまざま駆使しながら授業を進めています。先日の授業で「誰もいない教室でタブレットに向かって一生懸命話をしていると、先生はなんかYouTuberになった気分……」と話したら、生徒たちが画面の向こうで爆笑していました。


さて、今回はこの時期に私が小学6年生に向けて話をする内容をご紹介いたします。小学生として「最後の夏期講習会」が終了し、いよいよ志望校の過去問題演習も本格化する二学期初めのタイミングで、気持ちを引き締めるために、さらには「受験生としての意識」をより高めるために、少し厳しめに話をしています。


小6受験生の夏休みには、「1日10時間、合計400時間の学習を目標に学習しよう!」という合言葉で進めていましたので、まずは400時間をクリアできたかどうかの確認から始めます。学校によって夏休みの長さ(期間)は異なりますので、400時間に到達した生徒も、あともう少しだった生徒もいるのですが、概ね「自分のできる限りの学習をやり切った」という達成感は得ているのが普通です。


そこから「2月1日までの残り日数」を考えさせます(9月1日から1月31日までを計算をすると153日となります)。毎年、二学期開講日は少しずつずれますので、「約150日」という数字を使うことが多くあります(埼玉県や千葉県では、私立中学入試の解禁日が1月中ですので、もう少し短くなります)。


ここで、単に「150日」という数だけを聞くと、「まだそんなにあるのか……」という顔をする生徒がほとんどです。そこで「学校が始まると夏休みのように『1日10時間の受験勉強』はできないよね。もし1日3時間の勉強を残りの期間で行うと……450時間!」という話をすると、「えっ!?」という顔をする生徒がでてきます。生徒たちにとっては、まだ記憶に新しい「夏休みの学習」とほぼ同じくらいの学習時間を過ごすと、自分の人生を決める中学入試がやってくることを、具体的な数字として見せつけられた、そんな顔つきになるのです。もちろん、小学校の授業がない土日や冬休みには、もっと学習時間をとることもできますので、450時間は正確な数字ではないのですが……。ただ、受験生に残された日数・時間は当たり前ですが、同じです。


残された「150日」で志望校への合格を勝ち取るためには、同じ学校を目指しているライバルに差をつけるような学習をしなければなりません。昔の大学受験では「四当五落」という言葉が流行っていました。睡眠時間を削って受験勉強に勤しむということを表した言葉で、4時間睡眠ならば合格、5時間以上寝てしまうと不合格になる、というような意味で使われていたようです。もういまでは死語になっている言葉ですし、睡眠時間を削って学習をしても、逆に定着度は下がってしまい、効果的ではないことが立証されているようです。小学生にとっては、高校生以上に睡眠が大切なものであるのは、ここで言うまでもないことでしょう。「ライバルよりも勉強時間を増やす」ということは、受験生の学習としては「現実的」ではないのです。
私が受験生に話をしているポイントを一言で言ってしまえば、「学習効率を高める」ということに尽きます。同じ時間で学習できる「量」を増やす、というイメージです。「時間単位の学習密度を高める」という言葉に置き換えることもできるでしょう。受験までの日数・学習できる時間数が同じでも、その時間の中で「こなせる学習量」に差をつけることができれば、当たり前ですが合格に近づくことになるわけです。


非受験学年の皆様にもこの点については意識しておいていただきたいと考えています。小6の秋になって「時間単位の学習効率を高める」ことを意識し始めても、なかなかうまくいかないものです。小6の夏期講習会や夏期集中特訓(夏期合宿)で「受験生としての意識」を高めることができれば、秋からの学習に向かう意識は変わってきて、学習姿勢もよくなっていくものです。しかし、より上のレベルで「効率のよい学習」を行うためには、非受験学年において「集中して学習に取り組む経験」を積んでおくことが必要になります。


小5までの非受験学年であれば、与えられている課題も(受験学年の秋に課される内容と比べれば)そこまでは多くはありません。ただ、かなりの時間がかかっている(かけている)お子様も多いのではないでしょうか。場合によっては、机の前に「ボーっと」座っているだけで、実際には手も頭も動いていない、そんなケースもあるかもしれません。非受験学年の保護者の皆様に一番お願いしたいのは、そういったお子様の状態をしっかりと見ていただき、なるべく「効率の良い」学習スタイルに切り替えられるように促していただくことです。まずは「学習時間の長さ」よりも、「学習効率」を意識していただければと考えています。

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