
『AIは先生になれるか……』
2026.05.13
前提として、私は「AI」に関しては素人ですし、一般的な方と比較しても疎い方だと自認しております。最近、LINEにAIが返信文を作成してくれる機能がついているのを教えてもらって、使ってみたところ、そのレベルの高さに驚いてしまいました。相手とのやり取りの内容だけではなく、文体なども分析して適切な内容の返信文を複数提示してくれる機能です。使われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。ただ、友人や家族とのプライベートなやりとりでAIが作成した言葉をそのまま送るのは、ちょっと気が引けるような感じもしてしまいます。たぶん、相手は私が自分で書いたと思う内容でもあり、文体でもあるのですが……。
知り合いの大学准教授との会話で、「学生が生成AIで論文を書いてきたらわかるか」という話になりました。彼の答えは、「内容だけ見たらわからない」というものでした。さらに聞くと、授業にきちんと参加していて、しっかり学んでいる生徒ほど「わからない」とのこと。逆の生徒については「この学習態度でこの論文を書けるはずがない、と思って疑うことはある」ということでした。
「他の人よりもAIについては疎い」と自認していましたので、連休中に少し勉強してみました。興味深かったのは、「人間関係の悩みをAIに相談する」人が増えているという話でした。面白く感じたので、本だけではなくインターネットなどでも調べてみたのですが、いろいろな内容があり、考えさせられました。「自分にはない視点でのアドバイスがあり、気持ちが楽になった」「客観的な意見が解決につながった」という肯定的な内容もあれば、「自分には当てはまらない回答だった」「理想論のように読めてしまい、『それはわかっているんだけど……』と感じてしまった」といった内容もありました。ただ、私が興味深く感じたのは、生成AIと会話をして悩みを相談するという行為そのものにありました。親しい友人や家族に相談するように、AIに対して悩みを打ち明けるというのは、私自身には経験がなかったので、少し不思議に感じてしまったのです。一方で、相手がAIであれば変に気を遣う必要もないし、人には言えないようなことも言えてしまうのかもしれないとも思った次第です。
さて、やはり私の立場で一番気になったのは「AIは先生になれるか」というポイントです。「教育現場におけるAIの活用」という内容の本も数冊購入して読んでみたのですが、教育におけるAIについては、私の想像以上に進歩をしている、というのが最初の感想です。結論から言うと、「教える」ということについては、AIで十分に「できる」のだと思いました。例えば、ある知識を導入して、途中で確認のための問題を挟み、その出来具合を見て先に進むかどうかを判断し、先に進まない場合はよりかみ砕いて説明をしてくれる……、そんなことは問題なくできるようです。
さらに、問題につまずいたときに質問をすると丁寧に答えてくれることもできるようになっているようです。単に答えを説明してくれるだけではなく、「この問題のポイントはここです。ここから考えてみてください」というようなヒントを出してくれます。まるで塾の先生に質問するときのように「会話形式」で教えてもらうことも可能で、さらに「この問題と似たような問題を出して」という要望にもすぐに応えてくれるようになっているのです。
こういった状況を考えると、「教育」という現場において、AIは正確に丁寧に「教える」という点では、既に十分な力を発揮できる存在になっているといえるように思います。その一方で、「教育」のもう一つの視点――「育む」という点で考えると、現在はまだ「ひと」には敵わないのではないかと思っています。
早稲田アカデミーの「夏期講習会ポスター」をご覧になられましたでしょうか。ここ数年、早稲田アカデミーの広告では人気アニメや漫画とコラボする機会が増えています。一昨年が「ハイキュー‼」、昨年が「鬼滅の刃」でした。今年のポスターは昨年までとはまた違った趣向で、主人公ではなく、監督やコーチなど、主人公たちを導く(指導する)人物が載っています。そこに載っているコピーが…… 「本気を教える、ひとがいる。」
早稲田アカデミーは創立以来、「本気でやる子を育てる」という教育理念を大切にしてきています。宣伝文句やキャッチコピーではなく、理念として。その「本気」を教え育んでいくのは、AIではなく「ひと」なのだと、このポスターを見ながら、あらためて考えさせられました。早稲田アカデミーの教室で生徒たちの前に立ち続ける間は、「本気を教える、ひと」であり続けたいと考えています。
AIについての本を読んでいるときに思い出した小説があります。いまから50年以上前に書かれたアメリカのSF小説で「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」という作品です。私は高校時代に初めて読んだのですが、ふと思い出して実家の書庫を探してみたら、まだ残っていました。アンドロイドと人間の見分けがつかない未来の世界、主人公が自分自身もアンドロイドではないかと疑う場面が出てきます。アンドロイドを見分けるための唯一の検査があるのですが、その方法は……。 ご興味がありましたら、手に取ってみてください。
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