四つ葉cafe 福田貴一中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『君たちは入試当日まで伸び続ける　～入試直前期の受験生に伝えたいこと②～』

2023.11.29

前回の記事で「合格可能性３０％」からの「逆転合格」について書かせていただきました。その中で「最後の１カ月でまだまだ伸びる」ということも書かせていただいたのですが、今回はその続きを。

中学入試の結果を左右するのは、もちろん「学力」なのですが、実はその「学力」を入試当日にしっかりと発揮できるかという点も結果に大きく影響するのです。高校受験や大学受験では、受験生がある程度大人になってきているので、入試当日に自分の持っている力をきちんと発揮することができるのですが、小学生の場合にはそれが難しいこともあるのです。

「極度の緊張」や「不安」、もしくは「入試という雰囲気にのまれてしまって」というようなさまざまな理由から、自分の持っている力の１００％を出し切れないということはよくあります。第一志望校の場合、持っている力の８０％しか出せないで合格できる学校はほとんどないはずです。８０％の力で合格できるのであれば、その学校の志望順位はもう少し下になるのが一般的でしょう。

以前担当していた生徒で１月中の入試で失敗をしてしまった生徒がいました。都内の東側に住んでいた生徒でしたので、１月２０日からの千葉県私立中入試も進学意志を持って複数受験したのですが、思うような結果は出ませんでした。その生徒が書いてくれた「合格体験記」をご紹介します（事前にブログで紹介することはご理解いただいております）。

「（前略）初戦の市川と東邦大東邦は偏差値も足りていて、絶対に受かるだろうと油断してしまい、その後の渋幕はそもそも実力が足りていなかったので、３日連続で不合格の知らせを受け、今後のことが不安になりました。しかし、先生たちが励ましてくれて、麻布の入試に真剣に取り組もうと決意して本番を迎えました。国・算・理・社すべてに本気で取り組み、試験が終わったときには今までにない達成感を得ました。しかし、全教科のテストが終わって帰るときに、麻布という学校はもうこれで見納めになるかもしれないので、少しでも長く校舎を目に焼き付けようという気持ちになりました。合格発表の日、掲示板に向かって歩いているときには、気分が悪くなりました。しかし、合格掲示板に自分の番号がありました！一瞬事態が飲みこめず、気付いたら号泣していました（後略）」

１月中の千葉県入試に関しては、我々も「合格」を想定しておりました。彼の実力ならば７０％の力でも合格できる学校もあったはずなのです。しかし、その学校でも結果は「不合格」。実力の半分も発揮できていなかったのでしょう。一方で、第一志望の麻布中の合格のためには１００％の力が必要だと思っていました。そして彼は第一志望の本番で、１００％を出し切ったのだと思います。実際に合格体験記の最後に彼は「事前のテストの結果や入試の結果がいくら悪くても、本番には何も関係なく、最後にすべてを決めるのは、自分の心や想いです。僕も「想いの力」で最後に受かった一人です！」と書いていました。第一志望校に対する「想いの強さ」で１００％を発揮できたのだと思います。

入試当日に自分の力の１２０％を出すことはできません。どんなに「合格したい」という想いが強くても、自分の実力以上のことができるわけではないはずです。ですから、入試当日までに「１００％を出せば合格できる」という力を蓄えておくことが必要なのです。それが入試直前期の毎日の学習の指針となります。一方で、入試当日には「１００％が発揮できる」精神状態で臨むことも必要です。保護者の皆様の支えが必要となる部分でしょう。

そして、受験生は入試当日まで伸び続けます。１２０％の力は出せなかったとしても、１０１％の力で入試本番を乗り切ることはできるはずです。入試までに１００％の力をつくりあげておくこと、入試当日の１％の上乗せにつながるのは「第一志望校に対する熱い想い」にほかならないと思っています。