
『定着を意識した学習を』
2026.10.30
中学受験に向けた学習を進めるうえで、私が最も重要だと考えているのは、学習内容を次の学習につながる形で定着させることです。小学生が難度の高い学習に取り組んでいくためには、学習した内容をその場でできるようにするだけでなく、次に学ぶときに生かせる形で残していくことが大切です。
大人は、これまでにさまざまな思考方法を学んできた経験があるので、理解したことをすぐに使いこなせるようになります。しかし、小学生は「思考方法」や「思考過程」を学んでいる段階なので、理解しただけでは、使いこなして「自分でできる」ようになりません。小学校の教科書レベルの比較的易しい内容であれば、教わって練習するだけでできるようになるのですが、入試に向けたカリキュラム学習ではそうはいかないものです。基礎的な内容は自力で使えるようにし、応用・発展的な内容は、考え方やつまずきを記憶に残すことが大切です。そうすることで、学習内容が次につながっていきます。
早稲田アカデミーの「学習スタイル」に沿って、「授業・家庭学習・単元テスト」の三つに分けて、その目的と学習の進め方を以下にまとめてみます。 ①授業=【導入】 新しい単元の導入をメインとして行います。「知識の習得」にあたる部分だとお考えください。「考え方・思考方法」についても、ここで学びます。
②家庭学習=【練習・基礎事項の習得】 授業で学んだことを練習し、基礎的な内容については自力で使えるようにする部分です。応用・発展部分についても宿題として課されますが、すべての問題を、ここでできるようになる必要はありません。
③単元テスト(カリキュラムテスト・YT講座)=【確認・経験の蓄積】 基礎部分が自力で使える状態になっているかを確認するとともに、応用・発展問題に取り組み、その問題の考え方や自分のつまずきを学習経験として残すことを目的として実施されます。このように、学習した内容を自力で使えるようにしたり、次の学習につながる形で残したりすることを「定着」と考えます。
ここでいう「定着」とは、すべての問題をその場で自力で解けるようになることだけを指しているのではありません。基礎的な内容については、自分で使えるようになることが一つの目標です。一方、応用・発展的な内容については、その時点で解き切れなくても、問題の難しさや考え方、自分がつまずいた箇所を記憶に残しておくことが大切です。ここでは、このように「後の学習につながる形で学習内容やつまずきを残しておくこと」も含めて、定着と表現しています。
例えば、四谷大塚の予習シリーズカリキュラムは「らせん型」と呼ばれています。最初に学んだときにはできるようにならないレベルの内容は、また時間をおいてひと回り「発展」させた形で扱うことになります。その時点でできなかった問題についても、問題の考え方や自分のつまずきを記憶に残しておけば、その後少しずつ精神的に成長することもあって、再度出てきたときに以前よりも理解しやすくなったり、解決への糸口を見つけやすくなったりします。これが、ここでお話ししている「定着」です。
一方で、単元テストなどで問題の考え方や自分のつまずきを記憶に残していない場合は、次に出てきたときに、また一から学習するのと同じ状態になってしまいます。
また、より高いレベルで定着を図るためには、「なぜ自分の力でできなかったのか」を考える習慣をつけることが必要です。そのためには単元テストの解き直しが非常に有効です。早稲田アカデミーの単元テストの場合、テスト終了後に解説授業があります。それを聞いて「わかったつもり」になるのではなく、もう一度、時間内に自分の力では解き切れなかった問題に挑戦し、「なぜ解けなかったのか」を考えることで、より深い理解と、考える習慣・思考力の向上が期待できるはずです。
単元テストの「解き直し」は、単に「解いてできればよい」あるいは「できるまでやらせる」というスタイルではなく、聞いてきた解説を思い出し、場合によっては配られた「解答・解説」を見ながら、「どこでつまずいたのか」「なぜできなかったのか」という点を考える時間にしていただければと思います。解き直しの目的は、正解できるまで繰り返すことだけではありません。自分のつまずきや、問題を解くために必要だった考え方を確認し、次に同じような問題に出会ったときの学習経験として残すことにあります。
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