四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『感動について』

2025.05.21

最近感動したことはありますか。
なかなか難しい質問ではないでしょうか。特に大人になると、なかなか感動することなどなくなってしまうような気もしますし。


ところで「感動」とはなんでしょう。国語の授業で、詩や短歌・俳句を教えるときに、「感動の中心をとらえなさい」という教え方をすることがあります。きれいな風景を見て感動したときに写真を撮るのと同じように、大きな感動を体験し、その感動を残しておきたい、誰かに伝えたいと考えたときに、言葉を使って表現するのが、詩であり、短歌・俳句だと指導するわけです。そして、作者の感動の中心となっているものが何かを正確にとらえることができれば、きちんと読み取れたということになるわけです。


少し話がずれてしまいましたが、感動というのは、大きな心の動きと考えることができます。きれいな景色を見れば「きれいだな」と思うわけですが、それがある一定以上の「大きさ」になれば、「感動」になります。「おいしい」「楽しい」「うれしい」という気持ちも、それが大きくなれば「感動」につながります。一方で、プラスの心情だけではなくマイナスの心情も、大きな意味では「感動」といえるのです。斎藤茂吉の「赤光」という歌集に収録されている「死にたまふ母」というシリーズの短歌は、よく中学入試のテキストにも取り上げられているものですが、母親の死に面した「心の動き」が感動の中心となっています。


「みちのくの 母のいのちを 一目見ん 一目みんとぞ ただにいそげる」という歌からは、母が重篤な状態になった報を受けて、故郷に急いで向かうただなかの気持ちが読み取れます。そこには「悲しみ」というよりも「焦り」「混乱」という気持ちの方が強いでしょう。


一方で、その後に詠まれる二つの歌は、母の死を受け入れていく「静かな悲しみ」が読み取れます。
「死に近き 母に添寝の しんしんと 遠田のかはづ 天に聞ゆる」
「のど赤き 玄鳥ふたつ屋梁にゐて 足乳(たらち)ねの母は 死にたまふなり」


小学生に向けたテストやテキストでは、「人の死」というテーマは、あまり扱われてきませんでした。ただ、ここ10年くらいはさまざまなところで扱われるようになってきています。自分には経験のないことでも、登場人物や作者の気持ちになって、その心情をしっかりと理解するということが求められているのだと考えています。


さて、「感動」という心的状態には、その背景があると私は考えています。同じ景色を見ても、感動という状態までいくこともあれば、そこまでのレベルにはいかないこともあるでしょう。単に美しい景色を目の前にするだけではなく、言ってみれば「心の準備」のようなものが必要になるのではないでしょうか。


私自身が感動した体験を二つお話しさせていただきます。ドイツの有名なお城であるノイシュヴァンシュタイン城を見に行ったことがあります。ディズニーランドのシンデレラ城のモデルとなったお城ともいわれているようですので、ご存じの方も多いことでしょう。あまりの美しさに「感動」しました。もう何十年も昔のことですが、そのときの「印象」「感動」は今でも覚えています。確かにそれだけ美しい景色であったのですが、「日本から離れて異国で見た」という一種の非日常感、そして「ずっと行ってみたい」と思っていたこと、それらが相まって大きな心の動きになったのだと考えています。


もうひとつ、私自身が四谷大塚に通っていた小学生のときの話です。テスト中(今でいうカリキュラムテスト・YTテストですが、当時は日曜テストと呼ばれていました)にとても難しいと感じた問題がありました。図形の面積を求める問題だったのですが、「こんなのどうやって解くんだ!?」と頭を抱えて悩んだときの気持ちも覚えています。その解説授業を受けたとき、本当に目からうろこが落ちるような状態で、言葉も出ないほど「感動」しました。言葉にしてしまえば、「すごい!」「なるほど!」「わかった!」というような表現になるのでしょうが、それはまさしく「感動」だったのです。今でもその問題を覚えていますし、解説授業で先生が言った言葉も覚えています。たぶんそれは、本気で真剣に悩んだからこそ生まれた心の動きだったのだと思います。普通に教わっただけでは、感動にまではつながらなかったでしょう。「なんだこの問題は!?見たことないぞ!」「でも、テストだから絶対に解いてやる!」、そんな心的状態が一気に解決したときの「感動」なのだと思うのです。


ゴールデンウィークが終わったばかりですが、早稲田アカデミー各校舎では、もう「夏」のご案内をさせていただいています。「夏」はお子様にとって、さまざまな経験ができる季節です。たくさんの「感動」がお子様を成長させる時期になるはずです。私も教室で、勉強における感動を体験させてあげたいと考えています。さらには、夏期集中特訓夏期合宿の場でも大きな感動を与えたいと。ご家庭でも感動につながるような体験をさせてあげていただければと考えています。

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