四つ葉cafe 福田貴一中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『「学ぶための力」を育てる』

2025.05.23

「『学力』とは、『学ぶための力』のことである」という話を、ある私立中の校長先生からうかがったことがあります。「中学入試で試されているのは『学力』です。それはテストの点数や偏差値で表されるものではあるけれど、中学校に入学してから、さらに高度な内容を『学ぶための力』だと考えてほしい」――そんなお話でした。

中学受験へ向けた学習で得られるものというと、志望校への「合格」を一番に挙げられる方が多いと思います。中学校への入学が「人生のゴール」であれば、そういった考え方もできるかもしれませんが、もちろんそうではありません。１１・１２歳で通過する中学受験のあと、お子様の未来にはその何倍もの年月がつながっているのです。そこからが「人生の本番」と言っても過言ではないでしょう。その「未来につながる力」、それが中学受験で得られるものだと私は考えています。

「中学受験へ向けた学習で得られる最大のものは？」というテーマでお話しをさせていただくときに、まずお答えするのが「目標に向けて、真剣に、情熱を持って取り組み続けた経験」という話です。中学受験へ向けた学習は、お子様にとって決して楽なものではないでしょう。それぞれの学齢にとってハードルが高い内容の学習が必要になり、それを継続していくことが求められます。テストでは得点や偏差値という数値結果が出てきますので、「頑張ったはずなのに結果につながらない」というジレンマを感じることもあります。塾の同じクラスの友達との比較のなかで挫折感を経験することもあるでしょう。しかし、そんな困難を乗り越えながら少しずつでも前に進み続けた経験は、お子様を成長させるものだと思うのです。そして、その経験は必ずその先の人生で生きるもののはずです。

難しい学習、困難な努力を続けていくためには、大きな目標が必要になってくるものです。目標もないのに「やる気」になるのは難しいですし、さらにその「やる気」を継続していくのはもっと難しいことです。努力を続けるためには、努力を続けることでしか手に入らない目標が必要なのです。中学受験の目標は間違いなく「志望校」です。単に「入学したい・合格したい」というレベルの学校ではなく、できれば「憧れ」というレベルまでお子様が感じてもらえる学校であれば、よりやる気は高まるのではないでしょうか。高校球児にとって、「甲子園」が最大の目標であり、「憧れ」であるように。

中学受験の学習で得られるものは、目標に向かって真剣に取り組むことで育まれる「将来に生きる力」が最大のものだと思うのですが、それだけではありません。学習面においても「合格した先につながる力」を身につけておくことも大切です。それは、単なる「科目学習の知識」「問題を解くためのスキル」だけではないはずです。それよりも大切なことに、「学習の仕方」があると考えています。受験を乗り越えた先に進学する中学校では、小学校とは大きく異なる学習が待っています。「授業のスピードや密度」「家庭学習の質」など、進学先の中学校で求められるレベルは、公立中学校と比較をすると格段に高いものになるはずです。その学習をしっかりと進めていくための力を身につけるのも、中学受験へ向けた学習の大きな役割なのです。それが、冒頭に書かせていただいた「次のステージで学ぶための力」ということになるでしょう。しかし、「学ぶ力」をテストで試すのは難しいので、小学校時代に学んできた結果を試す「学力試験」が、受験として行われているのだとお考えください。

「高大接続改革」という言葉は１０年以上前から使われていますが、今も大きな「教育改革」が進められています。この教育改革は、社会の進歩に伴ってのものであり、また将来さらに進むであろう「少子高齢化」社会に対応するものであることは、いうまでもありません。「主体性」「多様性」「協働性」「思考力・判断力・表現力」といった教育改革のキーワードは、日本の教育レベルを高めるためだけのものではありません。それらのキーワードは、これからの将来に必要となる力であり、社会に出てから活躍するためのもののはずです。大学入試もこれらのキーワードに沿って改革が進められているわけですが、もちろん中学入試においても、その方向性は変わりません。「思考力・判断力・表現力」といった部分に関しては、大学入試よりもむしろ中学入試における出題の方が先行している点もあると個人的には考えています。これらの力は、特に小学生のうちにしっかりと育てていくことで、将来に生きる力となるはずです。

中学受験へ向けた学習は、次のステージとなる中学校で学ぶ力となり、そして将来の社会を、世界を生きるための力となるのだと、私は思うのです。