四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『やるか、やらぬか、夏アカ。』

2023.06.30

『やるか、やらぬか、夏アカ。』
早稲田アカデミー各校舎に掲示されている「夏のポスター」に書かれている言葉です。小6の授業の中で「『やるか、やらぬか』と問われているけれど、みんなはどうする?」と聞いてみました。口々に「やるしかないじゃん」「やるに決まっている」と答えてくれました。もう一種類のポスターには『夏アカで、はじまる。』『やると決めた、覚悟の夏に挑もう。』という言葉も書かれています。今度はそれを見せながら、「やると決めたんだよね。よし、先生もがんばるから、この夏で合格に近づこう!」、そんな話をして授業を始めました。


中学入試学習の中で一番重要な時期は、小学6年生の「夏」と言われることが多くあります。私としては、入試へ向けた学習をスタートしたタイミングから受験直前期まで、どの時期もそれぞれの意味合いは違っても、大切であるのは変わりないと思っています。ただ、やはり学習する「総量」を考えても、学習する「密度」を考えても、小6受験生としての「夏」の学習が一番多いのは間違いありません。


中学受験で難関中を受験する生徒は、小6の夏には「自由になる時間」のほとんどを受験学習に費やすことになります。生徒によってその時間数に差はありませんので、それだけを考えると「学習量」には差がつかないことになってしまいます。結果として、相対的な評価である偏差値も変わらない、ということになってしまうのですが、本当にそうでしょうか。


やはり授業中に聞いてみることがあります。「昨日『1時間勉強した生徒』と『2時間勉強した生徒』がいます。どちらの方が『合格に近い生徒』だと思うか?」という質問です。多くの生徒が「2時間の生徒」と答えるのですが、「では、その中で学習した内容(量)が同じだったら?」というように問いかけます。気がついた生徒は「だったら、1時間の生徒」と答え直します。


この質問のポイントは「時間単位の学習密度」という考え方です。同じ内容(量)の学習をするのであれば、なるべく短い時間で学習をした方が効果的であるのは間違いありません。小6の夏に学習できる時間が同じなのであれば、その時間の中でより密度の高い学習をした生徒が、結果として成績を伸ばすことができるのです。


さて、小6受験生以外の皆さんにとっても、「夏」は大切な時期です。もちろん、一年間で一番集中して学習に取り組めるわけですから、各学年・各科目のカリキュラムにおいても重要な時期になっています。ただ、その学年の学習内容に対する理解を深め定着させるだけではなく、「小6の夏」を意識した過ごし方や学習習慣がより大切だと私はよく話しています。小6の夏に「密度の高い学習」を進めるためには、学習に対する意識を高めることが必要です。私が担当している小6クラスでは、「夏休みはしっかりと勉強させるから、覚悟しておくように」という話を一学期中にしています。生徒たちは神妙な顔をしてうなずいてくれるのですが、その学習イメージがつかめるかどうかは、小5までの夏休みにどれくらい充実した学習をしてきたかの経験によるところが大きいと思っています。もちろん、小学校低学年から小5までは、「勉強漬けの夏休み」などにする必要はありません。いろいろな経験をすることが、幅広い思考力を養うことにもつながりますし、小学生にとっては大きく成長するきっかけにもなるはずです。ポイントになるのは「切り替え」「メリハリ」というような言葉でしょうか。遊ぶときには思いっきり楽しんで、勉強するときには集中して決められた時間の中でしあげる、そんなイメージです。


もう一つ、「夏休みの学習」についてのアドバイスを。「小学校の夏休みの宿題」についてです。小6受験生だからといって、学校のことをおろそかにして受験勉強に集中しても、それはどこかにひずみが生じてしまうことになるというのが私の意見です。テレビやゲームを我慢して受験のための学習をするというのは、目標に向かって努力をするという観点でも大切なことだと思うのですが、小学校で出された宿題をやらずに(もしくは手を抜いて)受験勉強だけをやるというのは、あまりおすすめしたくはありません。


小6受験生クラスを担当したときには、(学校の夏休みの宿題の中で)できるものは、なるべく早めに終わらせてしまうように話をしています。進学塾の夏期講習会がスタートすると、家では講習会授業の課題(宿題)をこなすので精一杯になってしまうはずですから、「日記」や「植物の観察記録」など、毎日やらなければならないもの以外は、講習会が始まる前に仕上げてしまうことを勧めています。


同じように非受験学年でも、夏休みの学校の宿題は早めに終わらせてしまう習慣をつけておくようにするのがよいと思います。小6のときだけそうしようとしても、なかなかうまくいくものではありません。小5までに習慣ができていれば、受験学年の夏に慌てたり、焦ったりすることはないでしょう。

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