四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『テキストのどの問題を宿題にするか……』

2026.03.06

先日、ドラッグストアで「歯磨き粉」を選んでいたときのことです。いつも使っているものから、ちょっと変えてみようかと考えていろいろ見ていたのですが、あまりにも多くの種類があって迷ってしまいました。それぞれのパッケージには、「歯垢除去」「歯周病予防」「むし歯予防」「美白効果」「口臭除去」など、さまざまな効能が書かれています。成分的にも「フッ素配合」「研磨剤含有」「殺菌成分」などの記載があり……。かなりの時間、考え込んでしまいました。せっかくなので「歯ブラシ」も新しくしようと思い、そちらの棚に目を移したのですが、そこにもさらに多くの種類が。「固さ」も「毛先の形」も「ヘッド部分の薄さ」も「材質」も、いくつものパターンがあり、もうどれがよいのかわからなくなってしまいました。


必要な効能をすべて網羅するためには、少なくとも3種類の歯磨き粉が必要に思われて、さらに3種類の歯ブラシも使った方がよいように感じられて、それぞれの歯磨き粉をそれぞれの歯ブラシにつけて使うとすると「3種類×3種類」となり、全部で9回も歯磨きをしなければならなくなってしまうわけです。1回の歯磨きに3分かけるとすると、約30分の歯磨きタイムを確保しなければならなくなり、朝晩2回で考えると、一日に1時間を歯磨きにかけることになってしまいます。いやいや、時間の問題よりも、そんなに歯磨きをしたら口の中がヒリヒリしてくるでしょうし……。なんとか1種類ずつを手にしてレジに向かいました。決め手になったのは「歯科医推奨」の文字でした。


その帰り道、ふと「歯磨き粉の選び方」は、「小学生の学習における教材の考え方に似ている部分がある」と思い付きました。


進学塾では、多くのテキストや教材を使います。そのなかには「基本事項の定着」や「反復トレーニング」を目的としているものもあれば、「発展的な思考方法の育成」を目的としているものもあります。「知識の確認」を目的とするテキストもあれば、「ミスをなくすトレーニング」のための教材もあります。私たち講師は、それぞれの「効能」を考えて学習指示を出すことがとても大切なことになるわけです。そのためには、クラスや生徒の状況を把握していることが必要です。


塾講師の役割の一つとして「医者」があげられることがあります。生徒それぞれの状況を把握して、必要な「処方箋」を用意して提示する、というイメージで私はとらえています。


ときどき、保護者の皆様から「宿題以外に何かやった方がよいものはありますか」とご質問いただくことがあります。その際、私は「まずは、課されている宿題の精度を高めてください」とお答えしています。それぞれのクラス・生徒に合わせたものが宿題として出されているはずですから、その「効能」を理解したうえで、しっかりと学習していただくことが成績向上につながるとお考えください。「せっかくの教材だから……」と、宿題以外の部分にまで手を出して、すべてに取り組む必要はありませんし、それは「3種類の歯磨き粉を使って、3種類の歯ブラシで」と同じようなものになってしまう危険性もあるのです。


買ってきた歯磨き粉を使ってみたところ、「味」が私好みのものではありませんでした。「効能」だけに気をとられ、そこまで気が回っていませんでした。学習に置き換えると、「教材の効能」を引き出す「教え方」にあたるのかもしれないな……などと考えながらもう一度ドラッグストアに足を運んだところ、「歯ブラシ」コーナーの隣にあった「マウスウォッシュ」コーナーが気になりはじめ……。その棚の前でも考え込んでしまいました。

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