四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『頭脳が回転しているとき……』

2024.04.12

あるお母様から、「先生は忙しそうなのに、ブログはいつ書いているんですか?」という質問をいただきました。早稲田アカデミーの職員からも同じ問いかけをされることがあります。実際に書いているのは、もちろん校舎(もしくは本社)に出勤してから、授業が始まるまでの「デスクワークタイム」なのですが、そうお答えしたあとで、「でも実際は、シャワーを浴びているときと電車に乗っているときなんです」とお答えしたら、驚かれていらっしゃいました。


早稲田アカデミーの校長になってから、朝のシャワーが習慣になっています。シャワーを浴びることで、仕事に向けた気持ちの切り替えをするのと同時に、「その日にやるべきこと」を考えるようにしています。出勤してからの仕事を時系列に沿って思い出し、必要な業務をイメージするような時間です。その中で「今日はブログを書かなきゃ」と考えると、そこからテーマを考え始めます。自宅から駅まで歩き、電車に乗るころにはテーマが決まり、そこから構成や実際の文章を考え始めます。そして校舎に到着するころには「あとは指を動かすだけ」という状態になっているわけです。


もしそういった過程がなく、校舎でパソコンの前に座って「さて、今日は何を書こうか」というところから始めたら、たぶん90分~120分程度の時間がかかってしまうでしょう。さらに校舎にいれば、電話もかかってきますし、生徒は質問にきますし、職員からも声をかけられます。そのたびに作業を中断してしまうと、なかなか終わらない……ということになってしまうわけです。頭の中に構成と文章全体の大枠ができていれば、指を動かすだけですので、概ね20~30分程度の「作業」で終わります。


ところで、シャワーを浴びているとき、電車の吊革につかまっているとき、それぞれの私は傍から見ると、たぶんかなり「ボーっとしている」ように見えるのではないかと思います。しかし、頭の中はグルグルと回転しているのです。以前、あるお母様から次のようなご家庭でのやり取りをうかがったことがあります。


(母)「家でボーっとしないでよ!」
(娘)「家でボーっとしていちゃいけないの?どこでボーっとすればいいのよ!」


ご家庭での勉強時間に「ボーっとしている」お子様の姿を見ると、いらだってしまうこともあるでしょう。逆に手を動かしている姿を見ると、「何かをやっているのだな」とちょっと安心することがあるかもしれません。ただ、実は「ボーっとしている」ように見えても、実は頭の中はグルグルと回転していることがあるかもしれません。ボーっとしているように見えていても、脳の奥深くでは学んだことや覚えたことを定着させるために働いていることもあるそうです。常にセカセカとせわしなく動いているよりも、ボーっとしていても頭が回転している方がよいと私は思います。他者から見ると、何も考えていないように見えるかもしれませんが……。


一方で、本当に「ボーっとしている」だけの場合もあるでしょう。脳が休んでいる時間、私はそんな風に考えています。そして、ときにはそんな時間も必要だと思うのです。

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