
『焦り、不安……』
2026.06.12
「塾」と「習い事」の違いはなんでしょう。
何かを学び身につける、という視点で考えれば両者に大きな違いはありません。一方で、お子様にとっては、「楽しめる」かどうかという視点もあります。ただ、習い事でも「辛く」感じる瞬間はあるでしょうし、塾でも「楽しく」感じる瞬間はあります。特に小4くらいまでであれば、「ピアノやスイミングよりも塾の方が楽しい」というお子様も多いようです。「体を鍛えるための習い事」「情操面を育てるための習い事」があるように、塾は頭脳を鍛えるためのひとつの習い事としてとらえることができます。
一方、進学塾には、他の習い事との大きな違いがあります。明確な目標を持って通うという点です。もちろん、スポーツや楽器でも、プロスポーツ選手や演奏家になるという大きな目標を持って習い始める方もいるでしょう。しかし、小学生の習い事の場合、それほど大きな目標を初めから持っている方は少ないはずです。その点、小学生が進学塾に通う場合は「中学受験」という大きな目標が存在しています。通っている方全員が目標となる学校を持ち、その学校に合格するために学んでいるのです。
大きな目標に向かって進んでいるときには「焦り」や「不安」が生じることがあります。その目標への想いが強ければ強いほど「焦り」や「不安」は大きくなり、ときにはストレスを感じることもあるかもしれません。目標と現在の自分との間のギャップを感じると、「不安」が生じます。そして、目標までの長い道のりを想像することで「焦り」が生まれます。たとえ成績が順調に伸びていたとしても、「焦り」や「不安」を完全に拭い去ることはできないものです。
また、「焦り」や「不安」を感じるのはお子様だけではありません。ときには、保護者の皆様の方がそれを強く感じることがあるはずです。大人は自分自身の経験から、入試という目標の大きさを知っています。また、入試までの日数も、そこまででできることが逆算できる分、お子様よりも短く感じてしまうでしょう。
一方で、お子様が挑む入試そのものに関する知識や理解は、経験だけでカバーできるものではありません。過去問をご覧になっても、今の(小3・小4時点の)お子様の状況からたどり着けるのか、どうやってたどり着くのか……といった道筋は見えてこないでしょう。それが、保護者様が抱く「焦り」「不安」の大きな要因になります。
そういった「焦り」「不安」は塾の講師にご相談いただくのが、一番よい方法です。相談というよりも、気持ちをぶつけていただくという表現の方が適切かもしれません。我々は毎年多くの受験生を担当しておりますので、どのように進めていけばゴールまでたどり着くか、そのゴールに対して今どこまで近付いているのか、という点については理解して指導を進めています。保護者の皆様の「焦り」「不安」を完全になくすことはできなくても、軽減することはできるはずです。
さて、塾の講師に相談するときのポイントを二つご紹介します。一つ目は「お子様を直接担当している講師に相談する」です。私は、時折「今は他の塾に通わせているのですが……」とご相談いただくことがあります。もちろん、ご相談いただくことはまったく差し支えありませんし、模試の結果などをもとにアドバイスをさせていただくのですが、どうしても「一般的には……」というお答えになってしまいます。偏差値や得点はあくまで現在の到達点でしかありませんから、ここからどれくらい伸びていくかという点に関しては、お子様の状況を見なければわからない部分が多くあります。性格やタイプもそうですし、そこまでの学習状況(蓄積されている学習)もあります。また、中学入試の場合は何よりも「精神的な成長」が大きなカギを握りますので、どのような精神的成長段階にあるかを見なければ、どんなに経験のある講師でも、お子様の未来・将来について的確にアドバイスすることはできないものです。
二つ目のポイントです。的確なアドバイスを求めるのであれば、最終的なゴールとなる目標、つまり「志望校」をはっきりと塾の講師に伝えることが大切です。講師にとって、「今からだと、どの辺の学校が狙えますか」というご質問はとても答えにくいものです。まったく塾に通っていなくて、小6になる段階で通塾を始めた場合、一般的には最難関校に合格するのは難しいといわれています。しかし、「絶対に無理」ではありません。私が担当していた生徒でも、小6の4月に入塾して、10か月後には最難関校の一つに数えられる早稲田中への合格を果たした生徒がいました。
講師に相談する際には、目指す学校が決まっているのであればその学校を、まだ決まっていないのであれば「どのような学校に通わせたいか」というご希望をしっかりとお伝えいただくのがよいでしょう。そうすれば、そこに「届くか届かないか」という「占い」のようなアドバイスではなく、そこまでの道筋をどのように考えていけばよいのかというアドバイスをさせていただくことができます。全体的な成績のマイルストーンだけではなく、科目ごとの学習指針や、必要となる講座、学習時間、教材などについてもお話しすることもできるようになります。「だいたいこのあたりの学校なら目指せます」という漠然とした言葉よりも、より具体的な方向性の方が、保護者の皆様の「焦り」「不安」を軽減できるはずです。ご相談の際は、ぜひ参考になさっていただければと思います。
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