四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『頭が回転しているとき』

2026.10.07

ご家庭でお子様を見ているときに、「ぼーっとしている」様子が気になる、という方はいらっしゃいませんか。「うちの子、なんだかぼーっとしていることが多いみたいで……」というご相談をよくいただきます。そんなときには、「いつまでぼーっとしているの!」とか「ぼーっとしてないでやることあるでしょ!?」といった言葉を掛けたくなるかもしれません。でも、少しお待ちいただきたいのです。


保護者様が「ぼーっとしている」と思われているとき、お子様の頭のなかはどうなっているのでしょうか。もちろん、実際に何も考えられず、「ぼーっと」している時間もあるでしょう。しかし、お子様が「ぼーっとしている」ように見えるときは、そんな時間だけでもないはずです。外見的には「ぼーっとしている」ように見えても、実は頭のなかはぐるぐると回転していたりすることもあるのです。そして、そんなときにこそお子様の思考力は伸びているのだと、私は考えています。


お子様が机の前に座り、鉛筆を忙しく動かしているのは、「きちんと勉強している」ように見えるので、保護者の皆様にとっては安心できるご様子だと思います。しかし、実はその瞬間は「できる問題を解いている」だけかもしれません。そのお子様にとって「簡単な」問題を処理しているだけの場合もあるのです。その時間は、作業処理力(すばやく正確に処理をする力)のトレーニングにはなっても、思考力を高める時間にはなっていない可能性があります。


一方で、難しい問題にぶつかって、少し考えた後で「もういやになった! 無理!」と言って(もしくはそんなことも言わずに)ソファに転がり込む……という場面をご覧になったことはありませんか。そんなときには「何をしているの、ちゃんとやりなさい!」というような言葉を掛けたくなるのもわかるのですが、ちょっと待っていただきたいのです。ソファの上で、お子様の頭のなかはすごいスピードで回転しているかもしれません。今読んだ問題を反芻し、授業で教わったことやテキストの似ている問題を思い出しながら、どう考えていけば正解に少しでも近付くことができるか、その道筋を考えている……というイメージです。とはいえ、結果として正解にはたどり着かずに、そのまま眠ってしまうことがあるかもしれませんが……。


「解き方を覚え、それをあてはめて問題を解く」という作業だけを繰り返していても、本質的な思考力が大きく伸びていくことはありません。「思考力」を伸ばすためには、すぐには解けないような問題に立ち向かい、「真剣に」考える時間が必要だと思います。小学3年生から4年生までに、この「考える習慣」を身につけておくことが、高学年になって大きく伸びるためには必要なことだと、私は考えています。


6年生のクラスで少し難しい問題を扱って、「次回までにしっかり考えてくること」という宿題を出したことがあります。すると、次の授業前に1人の生徒がやってきて、「先生! あの問題、わかった!」とうれしそうに報告してくれました。彼女は算数が得意な方ではなかったのですが、難しい問題を自分の力で解けたことが本当にうれしかったようで、満面の笑顔で自分の考えた道筋について説明してくれました。彼女の考え方はきちんとしており、答えも正解でした。そこで、「どうやって考えたの?」と尋ねると、「学校の帰り道に考えついた」と教えてくれました。どうやら彼女は、授業から次の授業までのあいだも、その問題について考え続けていたようです。


私がブログや雑誌の記事の内容を考えるのは、朝出勤前にシャワーを浴びているときです。原稿締め切り日の朝、シャワーを浴びながら考え始めるのが習慣になっています。考えついたテーマに沿って、文章構成を考えるのは、たいてい校舎までの電車のなかで、校舎に着いたらパソコンのキーボードを叩いて書くだけです。


保護者の皆様も、同じような経験や習慣をお持ちの方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。日常的な生活習慣のなかで体を動かしながらも、頭のなかでは別のことを考えているようなことはありませんか。例えば、台所で洗い物をしながら、お仕事のことや翌日の献立を考えている……というような場合です。日常で慣れている動作や単純作業をしているときには、別のことを考えていることが多いように思います。一方で、考えることに集中しすぎてしまうと、作業の方がおろそかになってしまうこともあるかもしれません。私もつい先日、歯磨き粉をつけずに歯を磨いてしまいました。お子様も同じようなことがあるかもしれません。たとえば、食事のときにソースとしょうゆを間違えてかけてしまったり、翌日の学校の準備で曜日を勘違いし、別の曜日の教科書を入れてしまったりとか。「うちの子は注意力散漫で……」とご相談いただくことがあるのですが、そんなときには「頭のなかが別のことで回転しているために手元がおろそかになる場合もありますよ」とお伝えすることもあります。日常生活での「注意力散漫」と、塾の授業中の「注意力不足」では、背景や原因が違っていることもあるのです。


勉強や学習について普段から考える習慣を身につけるには、「すぐに解決する」ことを求めない姿勢も必要です。塾の授業や家庭学習課題の内容は、その学齢のお子様にとってすぐにできるものばかりではありません。小学校での学習内容は「その学齢の生徒であればできる」ということを前提に組まれていますが、塾のカリキュラムやテキストは違います。パッと見てすぐに解ける問題ばかりではないわけです。「難しい」と感じた問題について、頭のなかで「考え続ける」習慣をお子様がつくれるように、ご家庭でもご配慮いただければと思います。「わからない」と思ったときに、「誰かに聞く」「解き方を教わる」「解答・解説を見てわかったつもりになる」という学習ではなく、「できるまで考えてみる」という方向に進めていただければと考えています。

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