
『筆記体とワープロ』
2026.09.30
「ビンの中にジュースが0.5ℓ入っています。春子さんはそのうちの3㎗を飲みました。残っているのは何㎖でしょう」 算数の単位換算の問題ですが、実はこの問題は「時代遅れ」です。といっても、内容面で、というわけではありません。「リットル」の表記に関してなのです。今、小学生の教科書で「リットル」は「ℓ」ではなく「L」と表記されるようになっているのをご存知でしょうか。ですからこの問題を時代に合わせて表記すると…… 「ビンの中にジュースが0.5L入っています。春子さんはそのうちの3dLを飲みました。残っているのは何mLでしょう」となるわけです。
「ℓ」から「L」に変わった理由などを調べてみたところ、2011年度用の教科書検定での意見として「L」を使うべきとの検定意見があり、そこから全面的に変更されたとのことでした。変更された理由としては、国際的な単位表記のルールに則ったそうです。単位表記においては、本来小文字を使うルールのため、リットルは「l」と表されるのですが、数字の「1」と間違えやすいため、大文字の「L」を使うことが例外的に認められているのだそうです。そのルールに合わせたというのが真相のようです。
「真相」と書いたのには理由があります。 実は、「『ℓ』から『L』に表記が変わったのは、小学校や中学校で『筆記体』を学ぶことがなくなったからだ」というような話を聞いたことがあったのです。以前の日本では、中学校で英語を学ぶときに、ブロック体と同時に筆記体も学習していました。私自身も、中学生のころには筆記体がなんとなくかっこよく感じて、名前を筆記体で「サインっぽく書く」練習をした覚えもあります。思い出してちょっと書いてみたのですが、今でも書けます。ただ、筆記体は「素早く書く」ための書体であるにも関わらず、私の場合はブロック体で書くのよりも時間がかかるので、「サイン」として使うことはできなさそうです。
日本の英語教育から「筆記体」が消えたのは、2002年に施行された学習指導要領からのようです。公立学校の完全週休二日制への移行に伴い、いくつかの科目で学習内容が削減されました。算数で円周率を「3.14」ではなく目的に応じて「3」で計算する、となったのもこのタイミングです(その後にまた「3.14」に戻りましたが……)。英語の筆記体学習もこのタイミングで学習指導要領から外され、その後は復活していません。私が書いてみた「筆記体のサインぽいもの」を、校舎の若い職員に見せてみたのですが、「筆記体、読めないんです」と言われてしまいました。
調べてみたところ、アメリカでも「筆記体」は教わらない学校が多くなっているそうです(州によって違うそうですが)。昔見た映画で、学校の先生が黒板にチョークでスラスラと筆記体を書いているシーンを覚えているのですが、そういう光景はかなり昔のことのようなのです。もともと欧米は文書を書くときにタイプライターが使われていましたから、手書きするのは、学校のノートくらいだったと聞いたことがあります。正式な文書を書くときにはタイプライターを使うというスタイルなのでしょう。もちろん現在はタイプライターではなく、パソコンを使って文書を書くというのが主流となっているのでしょうが。
以前、ある場所で昔の「ワープロ機」を見たことがあります。そこにいた若い人たちが、 「これなに? パソコン?」 「『ワープロ』って書いてあるよ……」 「えっ? ワープロってなに?」 そんな会話を交わしていました。おせっかいなおじさんになって「ワープロっていうのはね……」と教えてあげようかとも思ったのですが、恥ずかしくなってやめてしまいました。置いてあったのは、富士通の「OASYS」の古いものでした。私は東芝の「Rupo」派で、当時最新だった「Lotus1-2-3」という表計算ソフトが搭載されていたものを、ボーナスを使って買った記憶があります。懐かしい思い出です。
懐かしいといえば、実家の整理をしていたら、昔のレコードが200枚も出てきました。最近のレトロブームのなかで、買い取ってくれる専門店があるようですので、相談してみました。イーグルスの「ホテルカリフォルニア」の米国初回生産版などは、値段が付きそうです。
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