四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『学校選びのアドバイス』

2022.10.12

「秋は学校選びのシーズン」と言われます。各学校でも、体育祭や学園祭などの学校行事が多く、受験を検討されているお子様や保護者様にも公開されていますので、参加をお考えの方もいらっしゃるでしょう。また「学校説明会」や「オープンキャンパス」などの受験生対象のイベントも各学校で行われます。


1月・2月に行われる入試の詳細は前年の秋口までには決まります。夏休みが終わるくらいから、私のところにも多くの学校の「入試要項」が届きはじめます。その入試要項をもとに各学校では「学校説明会」が行われるわけです。入試要項や、場合によっては翌年の入試の出題傾向などについても話がされるため、受験生の保護者様も多く参加されます。しかし、受験学年の秋には、すでに受験校としてリストアップされている学校の説明会に行くので予定はいっぱいになってしまうはずです。また、秋からは志望校の入試過去問題演習なども進めていかなければなりませんので、受験生の秋になって「学校選び」というわけにはいきません。


私は受験生の春の保護者会で「夏休み前までには志望校・受験校をある程度固めておいてください」という話をしています。受験生の夏休みは集中的に受験学習を進めていく時期です。どの方向に向かって学習を進めていくかをある程度イメージしておくことが必要になります。もちろん、夏休みは総合的な学習を進める時期ですから、完全に志望校の出題傾向に絞って学習を進めるわけではありませんが、たとえば記述問題が多く出される学校を志望している場合には、記述問題に力を入れるなどの学習イメージが必要になってくるわけです。


受験学年の夏までに受験校を固めるとするならば、5年生の冬までには「学校選び」を一通り進めておかなければなりません。「学校選び」という視点で説明会に参加されるならば、非受験学年の間にお越しいただくことが必要になるのです。もちろん、中学受験を考えて学習を進めている方の多くは、非受験学年であっても「一番行きたい学校、行かせたい学校」は概ね固まっていることでしょう。「あこがれの学校」というイメージかもしれませんが、受験学習をスタートする時点では心の中に描かれているケースが多いと思います。いろいろな学校を見に行く場合には、その「あこがれの学校」はいったん横においてお越しになることをおすすめしています。


第一志望校はある意味「理想の学校」です。他の学校の「説明会」や「見学会」で第一志望校と比較をしてしまうと見劣りがしてしまったり、「あら探し」のようになってしまったりする危険性もあります。結果として、行った学校の本当の良さが見えずに終わってしまうことにもなりかねません。どの学校にも特長があり、よい点は必ずあります。そこをしっかりと理解し、我が子にとって「合う」のか「合わない」のかという視点でご覧いただければと思います。そういった視点でいろいろな学校を見に行くと、お子様に合う学校が見えてくることもあるはずです。


さて、中学校を選ぶためのポイントはたくさんあります。教育理念や校風、附属校か進学校か、大学進学実績はどうなっているか、男子校・女子校か共学校か、通学距離・時間、クラブ活動や制服なども学校選びの要素になるでしょう。これらの中で、ご家庭のお考えやお子様のタイプによって何を優先するかは違ってきます。
ただ、「学校選び」の際に一番大切にしていただきたいのは、「これからの6年間」です。中学校・高校生活の6年間はお子様の将来にとって、とても大切な時期であるのは言うまでもありません。身体的にもそうですが、特に精神面において一番成長するのは12歳から18歳までの6年間だと私は考えています。この時期をどのような環境で過ごすのか、どのような友人や先生と出会うのか、それはその先の人生において非常に重要なことのはずです。大学進学実績はその6年間の先の結果ということになるわけです。


中学受験における成績は、精神的な成長度合いが影響すると言われます。12歳の段階ではやはり精神的な成長段階に差があるのが普通です。「ませている」タイプのお子様もいれば、「幼い」タイプのお子様もいらっしゃいます。12歳にとってはハイレベルな中学入試問題にチャレンジをするならば、精神的に「ませている」タイプの方が、その点においては有利に働きます。だからと言って第一志望校をあきらめる必要はありません。その学校が求めている方向への成長を促せばよいのです。


そして「幼い」タイプのお子様は、ここから大きく成長していくはずです。一般的には精神的な成長、発達段階は15歳程度で一律になると言われています。12歳段階では差があったものが、そこからの3年間で追いつくわけです。その大きく成長する時期をどのような環境で過ごすのか、そういう視点を持った「学校選び」を進めていただきたいと考えています。

同じテーマの最新記事

2022.10.12 『学校選びのアドバイス』
2022.10.07 『Lemonとノーベル文学賞』
2022.10.05 『子どもの心理を考える②』
2022.09.30 『子どもの心理を考える①』
2022.09.21 『秋』
資料請求はこちら
早稲田アカデミー