四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『お子様からの相談への対処法』

2023.10.06

お子様から学校のことや、塾のこと、友達のこと、勉強のことなどについて、いろいろな話をお聞きになると思います。うまくいっていて楽しいという話であればよいのですが、ときには「ちょっと困っている」「つらい」というマイナス面の話のときもあるでしょう。そんなときにどのように接してあげるのがよいのでしょうか。


よく言われるのが「共感する」という言葉です。「子どもの気持ちになって一緒に考える」という意味でしょう。大人にとってはたいしたことのない事象でも、子どもにとってはとても大きく心が動かされることもあります。そんなときには大人の考え方や感じ方で話をするのではなく、子どもの感じ方をしっかりと受け止めて、そこから話を進めていくことが必要になるのは間違いありません。ただ、「共感する」というのは、難しいことだとも考えています。子どもも、ある程度成長してくれば、それぞれの自我が生まれてきます。毎日ご一緒に生活されているわけですから、学校の先生や塾の講師よりもお子様の考え方や感じ方をご理解されているとは思いますが、それでもときには「共感しきれない」ということもあるのではないでしょうか。


さらに、お子様の話の中にすべてのことがらが含まれているとは限りません。ときには自己保身的な気持ちから無意識に、もしくは意識的にも自分にとって都合のよくないことを話さないということもあるでしょう。そういった不十分な情報の中では、お子様の本当の気持ちを理解するのが難しい場合もあると思います。


お子様から相談を受けたときに一番気をつけなければならないことは、その気持ちをわかった「ふり」をして対応することだと思います。それは保護者の皆様だけではなく、私たち講師がより一層気をつけなければならないことでもあるのですが。たとえば「算数が難しくなってきて大変だ」という相談を受けたときに、「うん、君の気持ちはわかるよ。大変だよね。」という声をかけること、そのこと自体は悪いことではないと思うのですが、その次にどう話を進めるかがポイントだと思うのです。「君の気持ちはわかるよ、だけどね……」と次に話された内容が、お子様にとって理解でき、納得できるものであればよいのですが、そうでなかった場合、「なんだ、結局わかってくれていないんだ……」という気持ちになってしまう危険性もあるのです。


塾の講師は、一人ひとりのお子様の背景のすべてがわかっているわけではありません。ご家庭の状況や環境、学校での過ごし方や先生との関係、友人関係や塾以外の習い事など、わかっていないことの方が多いかもしれません。そう考えると、安易に「気持ちがわかる」という言葉を使うことができないようにも思うのです。そういった場面において、私は「気持ちに共感する」というよりも、「君が今つらい状況にいることはわかった、理解した」というスタンスで話をするようにしています。塾の講師という視点で書いてしまいましたが、ご家庭におけるお子様への接し方にも応用できる部分があるとも思います。


塾の講師も、保護者の皆様や生徒から、いろいろなご相談をいただきます。まだ若いころの私は「講師として、どう解決すればよいのか」ということをいつも考えていました。どのようなご相談も「対処」や「解決」を求めているものと考えていたのです。もちろん「学習に対する相談」はそういった性質のもののはずです。しかし、そうではないご相談もあるということがわかってきました。ただ単に「聞いてもらいたいだけ」というご相談です。「この先生には知っておいてもらいたい」、そんな想いから話していただくこともあるのだということに気がついたのです。そして、そういう話をさせていただくことによって、お互いの信頼関係もより高まることにも気づいたのです。


ご家庭においても、お子様からの相談に「どう解決すればよいか」と考えてしまうことがあるのではないでしょうか。しかし、お子様からすれば単に「お父様、お母様にわかっていてもらいたい」と思うだけの話もあるのではないかと思います。たしかにお子様が「困って」いたり「つらい」と感じていたりすることがあれば、それが友人関係でも勉強についてのことでも、何かの救いの手を差し伸べたくなるのが、親の心理だと思います。ただ、本当にお子様がそれを望んでいらっしゃるのかどうか、現時点における何らかの対処や解決を望んでいるのかどうか、逆に「わかっていてもらいたい」だけなのかどうか、そういった視点を持つことも必要だと思うのです。

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