四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『子どもからの相談に……』

2026.07.03

お子様から学校のことや、塾のこと、友達のこと、勉強のことなどについて、いろいろなお話をお聞きになることがあると思います。うまくいっていて楽しいという話だけであればよいのですが、ときには「ちょっと困っている」「つらい」というマイナス面の話のこともあるでしょう。そんなときにどのように接してあげるのがよいでしょうか。


よく言われるのが「共感する」という言葉です。「子どもの気持ちになって一緒に考える」という意味でしょう。大人にとってはたいしたことのない事象でも、子どもにとってはとても大きく心が動かされることもあります。そんなときには大人の考え方や感じ方で話をするのではなく、子どもの感じ方をしっかりと受け止めて、そこから話を進めていくことが必要になるのは間違いありません。


一方で「共感する」というのは、難しいことだとも考えています。子どもも、ある程度成長してくれば、それぞれの自我が生まれてきます。毎日一緒に生活されているわけですから、学校の先生や塾の講師よりもお子様の考え方や感じ方をご理解されているとは思いますが、それでもときには「共感しきれない」ということもあるのではないでしょうか。


さらに、お子様がお話しされることが、すべてとは限りません。ときには自己保身的な気持ちから無意識に、もしくは意識的にも自分にとって都合のよくないことを話していないということもあったりします。そういった不十分な情報の中では、お子様の本当の気持ちを理解するのが難しい場合もあるのではないでしょうか。


お子様から相談を受けたときに一番やってはいけないことは、その気持ちをわかった「ふり」をして対応することだと思っています。それは保護者の皆様だけではなく、私たち講師がより一層気をつけなければならないことでもあるのですが。たとえば「算数が難しくなってきて大変だ」という相談を受けたときに、「うん、君の気持ちはわかるよ。大変だよね。」と声をかけること自体は、決して悪いことではないと思います。ただ、大切なのはその先です。「気持ちはわかるよ」と言いながらも、その後に続く言葉がお子様の心にきちんと届くものでなかった場合、「なんだ、結局わかってくれていないじゃないか……」という失望感を生んでしまうこともあるのです。最初の「わかるよ」が丁寧であればあるほど、その後の言葉がズレたときの落胆は大きくなりがちです。


塾の講師は、一人ひとりのお子様の背景をすべて把握しているわけではありません。ご家庭の状況や環境、学校での過ごし方や先生との関係、友人関係や塾以外の習い事など、わかっていないことの方が多いわけです。そう考えると、安易に「気持ちがわかる」という言葉を使うことができないようにも思うのです。そういった場面において、私は「気持ちに共感する」というよりも、「君が今つらい状況にいることはわかった、理解した」というスタンスで話をするようにしています。塾の講師という視点で書いてしまいましたが、ご家庭におけるお子様への接し方にも応用できる部分があるとも思います。


保護者の皆様からも、いろいろなご相談をいただくことがあります。学習の仕方や志望校の選び方、成績を上げるためにどのように進めていけばよいか、といった塾での学習に関するご相談が多いのですが、ときにはもう少し幅の広いお話をいただくこともあります。学校でのことや、先生や友達との関係、さらにはご家庭の環境やお子様の過去のお話などをうかがうこともあります。


以前、「学校の先生から、お子様の行動について専門家の診断を受けたらどうかという話があった」というご相談をいただいたことがあります。お話しいただいたお母様はとても動揺されていらっしゃいました。私からは塾でのご様子などをお伝えすることはできたのですが、専門家ではありませんのでアドバイスをすることは控えました。学校でのご様子などもわかりませんし。ただ、お母様は私にお話しされたあと、少し安心なさったようでした。きっと私に対して、「何かをしてほしい」というご相談ではなかったのだと思うのです。


いろいろなご相談をいただいたときに、以前の私は「講師として、どう解決すればよいのか」ということをいつも考えていました。どのようなご相談も「対処」や「解決」を求めているものと考えていたのです。もちろん「学習に関する相談」はそういった性質のもののはずです。しかし、そうではないご相談もあることがわかりました。ただ「聞いてもらいたいだけ」というご相談です。「この先生には知っておいてもらいたい」、そんな想いからお話しいただくこともあるのだということに気がついたのです。そして、そういうお話をさせていただくことによって、お互いの信頼関係もより高まることにも気づいたのです。


ご家庭においても、お子様からの相談に「どう解決すればよいか」と考えてしまうことがあるのではないでしょうか。しかし、お子様からすれば単に「お父さん、お母さんにわかっていてもらいたい」と思うだけのお話もあるのではないかと思います。たしかにお子様が「困って」いたり「つらい」と感じていたりすることがあれば、それが友人関係でも勉強についてのことでも、なにか救いの手を差し伸べたくなるのが、親の心理だと思います。ただ、本当にお子様がそれを望んでいるのかどうか、現時点における何らかの対処や解決を望んでいるのかどうか、逆に「わかっていてもらいたい」だけなのかどうか、そういった視点を持つことも必要だと思うのです。

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