
『テスト成績の見方 ~全国統一小学生テストに向けて~』
2025.10.31
11月3日(月祝)に「全国統一小学生テスト」が実施されます。全国規模で実施される「民間最大の公開模試」ですので、毎年たくさんの小学生が挑戦しています。お子様の成績が気になるところだと思いますので、今回はその成績帳票の見方に関して触れさせていただきます。
まず気になるのは得点・偏差値・順位などの数字でしょう。全国規模のなかでお子様がどれくらいの位置にいるのかはとても気になるところだと思うのですが、ここでご留意いただきたいのは、テストを受験している「母集団」です。「全国統一小学生テスト」は、日本全国の規模で実施されています。2000を超える受験会場の多くが「塾」であることを考えると、その受験者層は平均的な小学生と比較をすると高いレベルにあるはずです。しかし、そこにおいても大きな学力差が存在します。今後返却される成績帳票には都道府県ごとの平均点や順位なども載っていますので、詳細はそちらをご覧いただきたいのですが、やはり「中学受験のための塾(進学塾)が中心」の地域と、「中学受験のための塾が少ない」地域とでは差がついています。
同じような学習環境で学んでいる生徒のなかでの偏差値は、その母集団における位置を確認するためにはある程度の意味を持っているわけですが、「全国統一小学生テスト」の母集団は非常に幅が広いことを考えると、ひとつの参考数値というようにご覧いただくのがよいと考えます。
では、偏差値を参考程度と考えると、成績帳票のどのようなところを見ればよいのでしょうか。私はどのようなテストでも、結果を次の学習につなげていくためには、「正答率」を見ていただくことをお勧めしています。どれくらいの割合の受験生が正答したかがわかるのが「正答率」です。設問ごとにこの正答率とお子様の答案を比較分析していくと、お子様の状況がよくわかってくるはずです。単純にどの単元内容の理解が不足しているかだけではなく、そのテストを受験したときの精神状態まで見えてくることもあります。普段はほとんどしないようなミスを連発しているときは、「集中して受験できていなかったのかな」といった感じです。
正答率に注目して分析をすると、全体の得点や偏差値が持つ意味も変わってきます。「正答率40%以上」の問題に全部マルがついていての偏差値60と、「正答率」が低い問題(30%以下)でも正解はあるが、60%台の問題でミスをしての偏差値60では、その対処法も違ってくるわけです。
正答率をチェックすると、テスト結果のなかで「評価するべきポイント」も見えてくるようになります。「正答率が低い=難しい」問題ということになりますので、その問題にマルがついていればほめてあげることができるわけです。しかし、極端に正答率が低い(5%前後)問題の場合は、「正しく考えて正解にたどりついて『解けた』」というよりも、「なんとなく答えを書いたら『当たった』」というケースもあります。この場合は、手放しでほめてしまうと、お子様には納得がいかないことでしょう。「なんでもいいから書いて当たればいいんだ」というように考えてしまう危険性もあります。
さらに、小学生の場合、テスト結果を左右するのは「学力」「学習定着度」だけではありません。むしろ、「テストを受けたときの精神状態」が一番大きなファクターになると、私は考えています。ある程度精神的に成長してくれば(高校生くらいになってくれば)、どんな状態でもその時点の100%の実力をテストにぶつけることができるようになります。しかし、小学生の段階では、なかなか100%でテストを受けることは難しいものです。普段の教室とは違う会場で受験した、出掛ける前に親子ゲンカをしてしまった……、そんなこともテストの結果に大きく影響するのです。
今回の「全国統一小学生テスト」でも、いつもとは違う校舎の雰囲気のなか、より気合が入って集中できるお子様もいるでしょうし、普段とは違う雰囲気や環境で緊張してしまう方もいるはずです。お子様が集中して、持っている力の100%が発揮できるように、テストに送り出していただければと思います。
- 2025.10.31 『テスト成績の見方 ~全国統一小学生テストに向けて~』
- 2025.10.29 『天高く馬肥ゆる秋』
- 2025.10.24 『「わかる」だけではなく「できる」ように……』
- 2025.10.22 『中学入試学習についての「誤解」』
- 2025.10.17 『音読、黙読 ~読解力を育てるための読み方~』
 
 
 
 
 
 

 
 
 

 


 
 
 
 
