
『科目による成績差』
2025.11.21
以前、セミナー後に実施したアンケートに、小学4年生の男子生徒のお母様から次のような相談をご記入いただきました。
「科目によって成績の差が大きく、心配です。特に算数と国語で、偏差値が10以上違うこともあります」
科目によって成績に差が出てくるのは、ある意味当たり前のことです。もちろんお子様のタイプや性格によって、どの科目も平均的に得点が取れるという方もいらっしゃいますが、得意・不得意があり、成績差があるのは、おかしなことではありません。
中学入試本番を考えると、どの科目も差がなく、全科目で合格ラインを超えなくては……と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、決してそうではありません。
各科目100点満点の学校があり、その学校の合格最低点が240~250点程度だとします。合格最低点ギリギリを目標にすることはできませんので、260点を最低目標ラインとして設定すると、平均では一科目65点ということになります。平均的に得点できるお子様であれば、全科目65点以上を目指して組み立てていけばよいのですが、科目によって差がある場合は、科目ごとの目標点を設定し、その目標をクリアできるよう学習を進めていく方が合格には近付くものです。算数が得意で75点を目指せるのであれば、国語は55点を目指そう、と考えればよいわけです。それが、合格のための「戦略」です。私は「合格のための設計図」と呼んだりもしています。
小学6年生の二学期以降は、志望校の出題傾向なども考えながら、こういった戦略に合わせたトレーニングをしていくのが効果的です。満点を目指して学習すると(つまりどんな問題でもできるように仕上げていこうとすると……)、必然的に無駄な学習が多くなってしまうのです。
さて、上記のように「科目による成績差があるのは当たり前」という前提の上で、苦手単元克服について書かせていただきたいと思います。
一般的に、小4までは苦手科目の克服よりも、得意な科目を伸ばすことに焦点をあてて学習を進めた方がよいと思います。この時期に一番大切なのは、「学習に対するやる気を高めること」ですので、前向きに(楽しく)取り組める科目に時間をかけるのがよいと思います。また、この時期は成長過程にあり、分野(科目)による成長差が大きいケースもありますので、無理をして苦手なことをやってもなかなか頭に入らない……ということもあるはずです。
一方で、小5になったところからは苦手科目に時間をかけるようにしていくことが必要です。やはり得意なものよりも、苦手なものの方が時間はかかりますので、家庭学習の配分も変えていくことが大切です。小5になれば精神的にもある程度は成長してきますし、目標へ向けて学習する意欲も高まってきます。将来の中学受験という目標も意識し始めるでしょうし、短期的には「カリキュラムテスト」や「組分けテスト」の成績という目標もはっきりしてきます。スポーツでも、試合という目標のために、大変な基礎トレーニングも続けられるように、目標があれば苦手科目の学習も継続できるようになってくるはずです。
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