四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『集中するためのスイッチ』

2026.09.25

「馬を水飲み場に連れて行くことはできるが、水を飲ませることはできない」という言葉があります。周りがどれだけ環境を整え、やらせようとしても、本人がその気になっていなければ本当の意味では「身につかない」ことを例えた表現で、特に子どもに勉強をさせるときに使われることが多いようです。家庭学習でいえば、気持ちの準備が整っていない状態でお子様を無理やり机の前に座らせても、学習効果は上がらないということになります。


もちろん、気持ちの準備が重要なのは、家庭学習だけではありません。塾での授業に対しても、「今日も頑張ろう!」という気持ちが必要であることはおわかりいただけるはずです。授業に臨む気持ちが高まっていれば、先生の話を聞くときも、問題を解くときも、高い集中力で取り組むことができます。逆に授業に気持ちが向いていない状態では、先生の話を聞いても上の空、問題を解いていても頭が回転していない……そんな状態になってしまうものです。


早稲田アカデミーは「あいさつ」を大切にしています。授業開始時、講師は生徒たちの前で「起立、気を付け、礼」と発声します。それに対して生徒たちは「よろしくお願いします」と発声して礼をすることになっています。声が小さかったり、揃っていなかったりすると、初めからやり直しをすることもあります。この「あいさつ」は授業に臨む気持ちをつくるスイッチなのです。


あるお母様から聞いた話です。お母様には好きなアーティストがいらっしゃいました。そのアーティストの曲のなかで気持ちが高まりそうな曲を、お子様が家庭学習を始めるときの「テーマ曲」として選び、家庭学習を始める時間には毎日アラーム代わりにその曲をかけてあげていたのだそうです。


初めのうち、お子様は「単なるアラーム」として認識していたようで、その曲が流れると「しぶしぶ」といった様子で学習場所に座ったそうなのですが、次第に取り組み姿勢が変わったように感じたとお話しされていました。そしてある日のこと。お子様はお父様と一緒に、スーパーマーケットにお買い物に行きました。すると、館内放送でその「テーマ曲」が流れてきました。その曲を聴いたお子様はお父様に、「なんか勉強したくなってきた!」と言ったのです。お父様はその曲が「家庭学習をスタートさせるテーマ曲」になっていることを知りませんでしたから、「突然何を言い出したのだろう」と不思議に思ったそうです。お子様の帰宅後、その話を聞いたお母様が「なんで勉強したくなったの?」とお子様に尋ねたところ、「〇〇〇(曲名)が聞こえたからだよ」と答えたそうです。


「子どもがなかなか集中して机に向かえなくて……」「座ってから勉強を始めるまでに時間がかかるんです」と、ご相談いただくことが多くあります。そのときには、「家庭学習を始める前に習慣的に行うことを決めるとよいかもしれません」とお答えしています。お子様の性格やタイプ、ご家庭の環境などで効果的なものは異なりますが、いくつか例を紹介させていただきます。


①軽く体を動かす
これは保護者の皆様もご経験があるのではないでしょうか。私も集中して原稿などを書こうとする前には、体を動かすことがあります。私の場合は、「背筋を伸ばす」「肩や首を回してみる」、といったレベルですが、小学生の場合は「軽い運動」というレベルでもよいと思います。昔担当していた生徒からは、勉強前に縄跳びをするという話を聞きました。雨などでできないときは、なんとなく集中できていない様子だとお母様からも伺いました。体を動かすことで血行が良くなり、頭の働きもよくなるという生理学的な裏付けもあるようです。


②15分間お手伝いをする
「この子、大根おろしが得意なんですよ」と、あるお母様から伺ったこともあります。家庭学習を始める前の習慣として「お手伝い」を取り入れているご家庭も多いようです。キッチンでお母様とちょっとした会話をしながらお手伝いをすることで、気持ちが切り替わるのでしょう。「体を動かす」という点も考えると、「お風呂掃除」などもよいかもしれません。


③机の上を整理する
私も集中して作業をしようというときには「机の上を片付ける」ところから始めます。きれいに片付けたところで、「よし頑張るぞ」と背筋を伸ばして取り掛かるわけです。目の前の机に、今日の勉強内容と違うものが置かれていれば集中できないのは当たり前です。きれいに片付けた机に、今日学習する分の教材・筆記用具を並べる、それも集中するための一つの手段だと思います。


また、「部屋の空気を入れ替える」というお話を伺ったこともあります。窓とドアを開けて、空気を入れ替えてから深呼吸をして勉強をスタートするということでした。頭を働かせるためには新鮮な空気(酸素)が必要ですので、これも生理学的に理にかなった方法だと思います。勉強中に眠くなってきたときなどにも、窓を開けて新鮮な空気を吸うようにすると効果的です。それ以外にも、「机の前に貼ってある『目標』を声に出して読む」「カレンダーの今日の日付に×をつける」「決まった飲み物を飲む」「小学生新聞に目を通す」といった習慣も伺ったことがあります。ぜひ、お子様にあった勉強を始める前の習慣をつくり、スイッチを切り替えていただければと思います。

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